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第六章~鳥籠の愛~
三百八十三話【SIDE:玻璃】
宍倉さんを探すため、社交に精を出しているのだが……いまだ有益な情報は得られていない。
親父に悟られないよう、ご夫人方に話を振るのはかなり骨が折れる。そのうえで、まだ情報はない。映画と盆栽、あちこちの旦那さんの生態にだけ詳しくなっているこの頃だ。
「くっ……簡単に行くわけないのはわかってたけど……私は、こんな情報で頭を満たしたいわけじゃないんだ……」
ご婦人方との会話だけじゃなく、その家の使用人から聞き出しても、手掛かりがないなんて。
ちなみに、使用人からってのは、宍倉さんの受け売り。奈央さんや、宍倉さんと仲の良かった使用人に頼んで、こっそり会ってもらってるんだ――あちこちの家の使用人。宍倉さんの、「友人たち」と。
宍倉さんに友達はいない。それは、家に泊ったり、頼って助け合うような間柄の人はいないという意味で。彼が情報収集のためだけに作った交友関係は、むしろ広かった。
いつか、笑って忠告してくれたことがある。
――『若様、お気をつけなさいませ。使用人にだけは恨みを買わないように。彼らほど、家の内情を知り尽くしているものはいませんから』
蓑崎の使用人である彼は、他家の使用人と知り合っては、気楽に飲みに行ったりする仲になり、その家のご主人の情報を巧みに握っていた。
――パーティ三昧だけど借金があること。ある令息が裏口入学なこと、かなり強引な節税をしてること……使用人の口の軽さにも驚くけど。笑顔で喋ってる宍倉さんが怖すぎで、ちょっと引いたっけな……
思わず、遠い目になる。
彼ほど敵に回しちゃいけない人はいない。外に出してしまうなんて、うちの親父はアホの極みだよ。
……まあ、それは良い。
話を戻すと、奈央さんが持って来てくれた紙も、そういったネタ元から聞き出して貰った情報が書いてあったんだ。
内容は、ほとんど雑談だった。
犬に赤ちゃんが産まれるって何? そりゃめでたいことですが。
「……次、次!」
がっかりしそうになるが、気持ちを奮い立たせる。
私は紙を丸め、白湯で飲みこんだ。情報は常に、食べても害のないないライスペーパーに書いてもらって、証拠を残さないようにしている。これくらいの内容なら、平気で覚えられる。
――……何をしていいか分からなかった頃よりはマシじゃないか。
兄貴のくだらないデートにも付き合わされなくて、済むんだし!
ベッドに寝転んで、スケジュールを確認する。予定もまだまだある、気長にやらないともたない。
「明日は、お茶で……その次はまた、高橋さんちか」
親父に悟られないよう、ご夫人方に話を振るのはかなり骨が折れる。そのうえで、まだ情報はない。映画と盆栽、あちこちの旦那さんの生態にだけ詳しくなっているこの頃だ。
「くっ……簡単に行くわけないのはわかってたけど……私は、こんな情報で頭を満たしたいわけじゃないんだ……」
ご婦人方との会話だけじゃなく、その家の使用人から聞き出しても、手掛かりがないなんて。
ちなみに、使用人からってのは、宍倉さんの受け売り。奈央さんや、宍倉さんと仲の良かった使用人に頼んで、こっそり会ってもらってるんだ――あちこちの家の使用人。宍倉さんの、「友人たち」と。
宍倉さんに友達はいない。それは、家に泊ったり、頼って助け合うような間柄の人はいないという意味で。彼が情報収集のためだけに作った交友関係は、むしろ広かった。
いつか、笑って忠告してくれたことがある。
――『若様、お気をつけなさいませ。使用人にだけは恨みを買わないように。彼らほど、家の内情を知り尽くしているものはいませんから』
蓑崎の使用人である彼は、他家の使用人と知り合っては、気楽に飲みに行ったりする仲になり、その家のご主人の情報を巧みに握っていた。
――パーティ三昧だけど借金があること。ある令息が裏口入学なこと、かなり強引な節税をしてること……使用人の口の軽さにも驚くけど。笑顔で喋ってる宍倉さんが怖すぎで、ちょっと引いたっけな……
思わず、遠い目になる。
彼ほど敵に回しちゃいけない人はいない。外に出してしまうなんて、うちの親父はアホの極みだよ。
……まあ、それは良い。
話を戻すと、奈央さんが持って来てくれた紙も、そういったネタ元から聞き出して貰った情報が書いてあったんだ。
内容は、ほとんど雑談だった。
犬に赤ちゃんが産まれるって何? そりゃめでたいことですが。
「……次、次!」
がっかりしそうになるが、気持ちを奮い立たせる。
私は紙を丸め、白湯で飲みこんだ。情報は常に、食べても害のないないライスペーパーに書いてもらって、証拠を残さないようにしている。これくらいの内容なら、平気で覚えられる。
――……何をしていいか分からなかった頃よりはマシじゃないか。
兄貴のくだらないデートにも付き合わされなくて、済むんだし!
ベッドに寝転んで、スケジュールを確認する。予定もまだまだある、気長にやらないともたない。
「明日は、お茶で……その次はまた、高橋さんちか」
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