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第六章~鳥籠の愛~
四百二話【SIDE:宏章】
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宍倉さんは笑って、頭を振った。
「いえいえ、そんなつもりはありません。私も、蓑崎を首になった身です。あとは野となれ、山となれですよ」
ははは、と笑い合い――同時に真顔になる。
俺は膝の上で手を組み、首を傾げる。
「と、まあ……冗談はさておき、本当のところはなんですか?」
「……すべて冗談ではありませんが」
宍倉さんは居住まいを正し、真剣な顔になった。先までと一転、大事な商談相手に接するような態度だった。
「今夜、お会いしたいと申しましたのは、お願いしたいことがあったからです」
「……俺にですか?」
「はい。単刀直入に申し上げます――野江さん、玻璃様を助けていただけないでしょうか」
「――!」
俺は、思わず頬を書く。
「……さっきも言いましたが、俺は権力のような物は」
「いえ。野江家のお力を借りるつもりはありません。あなたの力を借りたいのです、宏章さん」
「どういうことです?」
宍倉さんは、蓑崎でのことを話し始めた。蓑崎家の現状、彼がなぜ放逐されたか。そして、若さんの置かれている状況を、つらつらと。見ず知らずと言っていい間柄の俺に話すには、濃すぎる内容だ。
――それほど、切羽詰まっていると言うことかね……?
とはいえ、納得せざるを得ないところもある。
彼の話によると、若さんの家での立場はそうとう難しいようだからな。
「玻璃様は、不憫な方です。横暴な現当主と実の兄に搾取され、母君にも公的にしか省みられておりません。名家の跡取りとして重責を課されながら、その見返りは殆どなく……それでも、懸命に励んでおられます。私を始めとする、先代からお仕えする者達はみな若様を慕い、あの方の時代を夢見ておりました。ですが……」
若さんのことを嬉しそうに話していた顔が曇りだす。
「……なにか、状況が変わったんですか?」
「……」
宍倉さんは一瞬、険しく顔を歪めた。すぐに穏やかな顔に戻ったので、幻かと思うほどの変化だった。
「若様の兄ぎみ――晶様の件です。あの者が、蓑崎の血縁である限り……若様が蓑崎の後継である限り、あの方は生涯自由になれないと、気付いてしまいました」
膝の上で、関節が白むほどに握りしめられた拳を見ながら……俺は問う。
「しかし……噂では、晶さんは椹木家に嫁ぐんでしょう? 椹木家が彼の身柄を国から買い取ってしまえば、蓑崎との縁が切れるのではないですか?」
「宏章さんのように、その腕一つで奥様を娶られた方なら良かったのですが……後見人の制度があります」
「……ああ、そうか!」
「いえいえ、そんなつもりはありません。私も、蓑崎を首になった身です。あとは野となれ、山となれですよ」
ははは、と笑い合い――同時に真顔になる。
俺は膝の上で手を組み、首を傾げる。
「と、まあ……冗談はさておき、本当のところはなんですか?」
「……すべて冗談ではありませんが」
宍倉さんは居住まいを正し、真剣な顔になった。先までと一転、大事な商談相手に接するような態度だった。
「今夜、お会いしたいと申しましたのは、お願いしたいことがあったからです」
「……俺にですか?」
「はい。単刀直入に申し上げます――野江さん、玻璃様を助けていただけないでしょうか」
「――!」
俺は、思わず頬を書く。
「……さっきも言いましたが、俺は権力のような物は」
「いえ。野江家のお力を借りるつもりはありません。あなたの力を借りたいのです、宏章さん」
「どういうことです?」
宍倉さんは、蓑崎でのことを話し始めた。蓑崎家の現状、彼がなぜ放逐されたか。そして、若さんの置かれている状況を、つらつらと。見ず知らずと言っていい間柄の俺に話すには、濃すぎる内容だ。
――それほど、切羽詰まっていると言うことかね……?
とはいえ、納得せざるを得ないところもある。
彼の話によると、若さんの家での立場はそうとう難しいようだからな。
「玻璃様は、不憫な方です。横暴な現当主と実の兄に搾取され、母君にも公的にしか省みられておりません。名家の跡取りとして重責を課されながら、その見返りは殆どなく……それでも、懸命に励んでおられます。私を始めとする、先代からお仕えする者達はみな若様を慕い、あの方の時代を夢見ておりました。ですが……」
若さんのことを嬉しそうに話していた顔が曇りだす。
「……なにか、状況が変わったんですか?」
「……」
宍倉さんは一瞬、険しく顔を歪めた。すぐに穏やかな顔に戻ったので、幻かと思うほどの変化だった。
「若様の兄ぎみ――晶様の件です。あの者が、蓑崎の血縁である限り……若様が蓑崎の後継である限り、あの方は生涯自由になれないと、気付いてしまいました」
膝の上で、関節が白むほどに握りしめられた拳を見ながら……俺は問う。
「しかし……噂では、晶さんは椹木家に嫁ぐんでしょう? 椹木家が彼の身柄を国から買い取ってしまえば、蓑崎との縁が切れるのではないですか?」
「宏章さんのように、その腕一つで奥様を娶られた方なら良かったのですが……後見人の制度があります」
「……ああ、そうか!」
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