いつでも僕の帰る場所

高穂もか

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第六章~鳥籠の愛~

四百十五話

「あ……っ、んん……」
「成っ……」
 
 ぼくと宏ちゃんは、ベッドの上で折り重なり、抱き合っていた。
 電灯を消して、お昼なのに薄暗い部屋の中……激しい雨音と、ベッドが軋む音が響いている。

「宏ちゃん……」

 逞しい胸に頬をうずめて、呻いた。
 映画を観ようって言っていたのに、気が付けばベッドに引き込まれてたん。じゃれつくように、覆いかぶさって来た宏ちゃんにキスされて……大きな手が服に入って来たと思ったら、もうあっという間やった。
 昨夜の余韻の残るからだは、優しい夫の愛撫にすぐに燃えだしてしもて……
 
 ――あ……熱いよぅ……
 
 宏ちゃんの腕にがっしりと抱きすくめられ、体の奥をずっと指で探られ続けてる。敏感になった襞を撫でられると、泣きたくなるほどに切羽詰ってしまう。

「成、可愛い……もっと見せて」

 宏ちゃんが、嬉し気に囁いた。

「やだぁ……顔見ちゃだめっ……」

 だらしない顔を見られたくなくて、いやいやと頭を振る。
 長い指を一本だけ含まされた其処は、すっかり熱く蕩けていた。何度も頂きに導かれ、とっくにほころんでいるのに……宏ちゃんは”次”をしてくれない。
 
「やぁ……だめ……」
 
 切なさに、啜り泣く。――密着した浅黒い肌から、汗と芳しい木々の香りが上った。浅く呼吸するごとに、ぼくは甘い快感に溺れてしまう。
 もう耐えられなくて、ぼくは広い肩に縋りついた。
 
「ひろちゃん……ぼく、もう……」
「ん……いっていいよ」
「あっ……ち、違うの……」
 
 また、ぼくだけを頂きにつれてこうとする宏ちゃんの腕を、そっと抑える。不思議そうに丸まった切れ長の瞳を見上げて、小さい声で懇願する。
 
「あのっ……宏ちゃんも、して……?」
「……!」
 
 きゅ、と――逞しい腰を太ももで挟むと、宏ちゃんが息を飲む。……は、はしたないって、思ってませんように。でも、ずっと焦らされて、もう耐えられへんかったんやもん。
 火のような顔を両手で覆って、返事を待った。
 すると、熱い腕に抱き寄せられる。
 
「……ありがとな。でも、今日はだめ」
 
 低い、セクシーな声が言う。
 
「なん……っ!?」
 
 があん、と頭に石が落っこちてきたみたいにショックを受けちゃう。
 涙目で見上げると、宏ちゃんはほほ笑んだ。

「ひどい……どうしてっ?」
「成。二日連続は、まだキツいんだろ」
「で、でも……っ」
 
 大きな手に頬を包まれ、眉がへにゃりと下がる。 
 たしかに……二日連続で宏ちゃんを受け入れるのは、からだが辛くて。翌朝、立てなくなっちゃうから、宏ちゃんも気遣ってくれてるん。

――でも……宏ちゃんにも、もっと……

 宏ちゃんが、喉を鳴らして笑う。
 
「俺のことなら、気にするな。お前に触れてるだけで気持ちいいから」

 大きな手が、する……とお腹を撫で上げた。

「あ……っ!」
「な? 俺の好きにさせて」

 蜂蜜のような声が、耳に吹き込まれる。肩を震わせた拍子に、宏ちゃんの指をきつく”握って”、「やぁ」と甘えた声で泣いてしまう。
 楽しそうな笑い声がして、頬が赤らんだ。

「もう……宏ちゃんの意地悪っ」
「はは。お前が可愛いくて、ついな」

 「よしよし」と頬にキスされて、顔をしかめていようとしても、力が抜けてしまう。頬がほころんだのを見計らって、唇にキスが降って来た。

「んーっ」

 ぼくの意地っ張りを甘やかすような、優しいキス。
 ……宏ちゃんは、ずるい。
 
――こんな風にされたら、甘やかされたくなります……

 観念したぼくは、両腕で宏ちゃんの首に抱きついた。
 ぎゅっと抱き返されて、胸の奥が甘く疼く。

「……宏ちゃん。うんと優しくしてね……?」
「ああ、任せろ」

 頼もしく頷いた夫に、ときめきつつ……覆いかぶさって来た体を受けとめた。

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