いつでも僕の帰る場所

高穂もか

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第七章~おごりの盾~

四百四十一話

 椹木主催の、新薬発表パーティ。
 皆さんのお話によると、支援者さんへのお礼を込めて開催されるんやって。さすが椹木さん、律儀やなあ。
 
「何着ようかな。着物だと叶夫さんにかぶっちゃうか」
「そんなうるさい人じゃないでしょ~」
 
 皆さん、パーティで何を着るかで盛り上がってはる。楽しそうな雰囲気に、ぼくの心も浮き立ってくる。
 
 ――すごい、華やかなお話やなあ……! オメガにとって、いち大ニュースやもんね。
 
 もちろん、アルファにとっても。
 と言うのも、熱心なオメガへの支援者のほとんどが、オメガを家族に持つアルファなんよ。大企業の社長さんとか、芸能人さんとか――昔、先生に教えてもらった受け売りなんやけどね。
 このフラワーアレンジ教室に通ってる皆さんは、その最たるところの方々。
 きっと、新薬開発にもたくさんの支援をしてくれはったんやなあって思う。ありがとうございます……!
 心の中で拝んでいると、「成己さんは?」と声をかけられる。
 
「はいっ、なんでしょう?」
「成己さんも、パーティに参加するよね。野江さんは、最も大きい支援者だもの」
「そうなんですか!?」
 
 す、すごい。さすが野江家や。呆けてしまうぼくに、皆さんがずいと詰め寄せる。
 
「叶夫さんと、朝匡さんのパートナーの綾人さんも、登壇してスピーチもするんだって聞いたよ。成己くんもするの?」
「え、えっ」
「成己さんのスピーチ、楽しみだわ! センターでの暮らしとか、是非聞かせてほしいもの」
 
 期待を込めた目で見つめられ、ぼくはおろおろしてしまう。内心は、大パニックやった。
 
 ――す、スピーチ? って言うより……ぼく、何も聞いてへんで?!
 
 パーティのことも、初耳やったもの。野江家が招待されているなら、宏ちゃんも招かれているのかもしれないけど。

 ――どうしよう? 宏ちゃんの都合も聞いていないのに、勝手に答えるわけにも行かへんし。

 どう答えたものかと思っていると、後ろから肩を引き寄せられた。
 
「わあっ?」
「ほらほら、皆。盛り上がるのはいいけど、これじゃあ鍵を閉められないよー」
 
 いつの間にか戻って来はったお義母さんが、苦笑していた。
 
「あ、叶夫さん。ごめんね!」
「いけない、早く出ないとだったな」
 
 皆さん、ハッとわれに返り、それぞれの作業に戻らはる。さっきまでの賑やかさはどこへ――超特急で用事を済ませると、にぎやかに散会していきはった。すごい早業や。
 
「さあ、成くん。ぼくらも帰ろうか!」
「はいっ」
 
 掃除と施錠を終わらせて、ぼく達はビルを後にした。
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