いつでも僕の帰る場所

高穂もか

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第七章~おごりの盾~

四百四十二話

「あのう、パーティのことなのですが――」
 
 帰りのお車のなかで、ぼくはお義母さんにパーティについて尋ねてみた。ちなみに、今日は宏ちゃんがお仕事なので、お義母さんがお家まで送ってくれてます。
 お義母さんは、笑顔で頷かはる。

「うん! そりゃあもちろん、招待されてるよ。野江は儲けがでかい家なぶん、支援はどっさりさせて貰ってるからね。ぼくも綾くんも、スピーチ頼まれちゃってさあ。おかげで、スーツを新調していく羽目になっちゃったよ」
「ははぁ、そうなんですかぁ」
 
 お義母さんのお言葉に、ぼくはふむふむと頷いた。
 詳しいお話によるとね、一世帯ごとに招待状が届いてきたんやって。となると、宏ちゃんにもこれから届くんやろうか……?
 思案していたら、お義母さんが不思議そうに言った。
 
「あれ? もしかして。宏にはまだ、招待状が届いてないのかい?」
「えと。はい、そうなんです」

 正直に頷くと、お義母さんは合点がいった様子で、「ははあ」と何度も頷かはる。

「それで、さっきも困った顔してたんだねえ……大丈夫だよ! 心配しなくても、じきに届いてくると思う。たぶん、宏のやつは野江で支援してないからタイムラグがあるんだろうね」
「えっ?」
 
 どういう事かわからなくて、きょとんとしてしまう。
 すると、お義母さんはニヤリと笑って、親指と人差し指でわっかを作らはった。
 
「宏はねえ、ずい分前から椹木に個人的に支援してるんだ。オメガの幸福は自分にとって他人事じゃないからって、格好つけちゃってさあ。だもんで、あの子の分は僕たちもノータッチなんだよ」
「え……!」
「けっこう出資してるはずだよ。順番だとしたら、そろそろじゃないかな?」
「宏ちゃん……」
 
 ぼくは、まだ知らなかった夫の優しさに、胸を打たれてしまう。
 
 ――宏ちゃんって……なんて優しいんやろう。

 オメガへの支援をしてくれてるなんて、長い付き合いやのに聞いたことなかった。
 宏ちゃんはいつも、黙って優しいことをしているんやなあって思う。
 控えめで、すすんで自分を立派に見せようとしない夫が、誇らしくて――とても愛おしい。
 
「お義母さん、ありがとうございます! お家に帰ったら、宏章さんに聞いてみますっ」

 はやく宏ちゃんを抱きしめたい――ふわふわした気持ちで言う。
 
「そうしてごらん。てか届いて来なかったら、抗議もんだよ! こうやって、金返せっ、て殴ってやったりして」
「あはは、お義母さんってば」
 
 拳を振り回すお義母さんに、ぼくはふきだした。

「……うん。向こうも、そこまで馬鹿じゃないと思うから、大丈夫だと思う」
「え?」
 
 どこか含みのある口ぶりに、目を丸くする。――どういうことやろう? 聞き返す前に、明るく笑い返されて、聞けずじまいになってしもた。
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