95 / 112
第二章 淫紋をぼくめつしたい
キスしてほしい⑫(完)
しおりを挟む
「シゲルー、大丈夫かあ」
晴海の真黒い目が、心配そうにのぞき込んどる。
おれは、寄っかかった晴海の肩に甘えつつ、Vサインをした。
「だいじょうぶ。ちょっと、気がぬけてもて……」
いっぱい泣いて、いっぱいわがまま聞いてもろたおかげかな。エッチして体はぐったりなんやけど、心は爽快になっとった。
そう言うたら、晴海は穏やかに微笑んだ。
「そうか。立てへんかったら、負ぶったるから遠慮すんなよ」
「うんっ。ありがとうなぁ」
うりうりと肩にほっぺをすりつけると、晴海はくすぐったそうに笑い声をあげた。
おれは腕にひっつきながら――ちょっと熱をもつ唇に触れる。
――晴海、いっぱいキスしてくれた。
じんわりと嬉しさがこみあげてきて、にやけてまう。
だって、ずっとキスしてほしかったんやもん。
おれ、晴海にその気になってほしくて、一生懸命誘ったんやで。めっちゃスキンシップしたり、「ここや!」ってときにキス待ち顔してみたり。
まあ、そう言うおれの気持ち……たぶん、晴海はちーっとも気づいてへんかったみたいやけどっ。
――なんや、シゲル。甘えたさんやな~。ははは。
のんきな声を思い出して、ぴきっと米神が痛うなる。
傍目で見とる竹っちが気づくくらい、アプローチしてたのにこれやで。ええかげん、心折れるわい。
ほんで今日。おれの意図に気づいた竹っちが、スーパーアドバイザー真柴くんを呼んできてくれて。「キスしたくなる唇大作戦」を決行したわけやねんな。
「……なあ、唇痛いんか?」
「えっ?」
色々と思案を巡らしとったら、晴海に不意に尋ねられる。思いのほか、真剣な声にびっくりして、きょとんとしとったら――親指で口の端を触れられた。
くすぐったくて、ぎゅっと目を閉じてまう。
「ん……なに?」
「ここ、赤くなっとる。ごめんな、俺がアホなこと言うたせいで……」
晴海は、沈痛な面持ちで。懺悔するみたいに静かな声で言うた。
アホなこと――? 一瞬、ポカンとして、「天ぷら食った」のことかと思い至る。
おれは、ぷっと噴き出した。
「なーんや。そんなん気にしてたん? ええよもう」
そりゃ、おれとしては誘ってたからさ。全然、ユーワク出来てへんくてショックやったけど。いっぱいキスしてもろた今となっては、何時もの軽口やってわかってるし。
って、手を振り振りしながら、「気にせんでええよ」って言うのに、晴海は苦し気な顔のまま。
「いや。ホンマに可愛かったんや。せやのに……俺の下らん嫉妬のせいで、お前を泣かしてしもて」
「しっと?!」
信じられん言葉を聞いて、鸚鵡返しに叫んだ。しっとて、まさか嫉妬のこと……?
すると、晴海はばつが悪そうに頬をかいた。
「すまん……お前が、真柴のリップクリーム使ったんやと思ったら。何してんねん、間接キスやんけって、腹立って」
「……!」
「ごめんな。それで、心にもない事言うたんや。不甲斐ないわ……」
晴海はしょぼくれて、俯いてまう。かわいいつむじを見ながら、おれは全身がぱーって熱くて熱くて、どうしようもなかった。
――晴海、お前……おれのために、そんな風に思うんや!
胸の奥から、甘やかな感情が湧いてきて、居てもたってもいられへん。
「晴海~!」
「うお!?」
おれは、昂る感情のまま晴海に飛びついた。
晴海はぎょっと叫びつつ、しっかりとおれを受け止めてくれる。
「晴海、晴海っ。大好きやで!」
「ええ!? お、俺も大好きやぞ……?」
おれのテンションに戸惑っとるみたい。それでも、ちゃんと好きやでってお返ししてくれんねんな。
優しいなあ、晴海。
おれは、へらへら笑いながら、ぎゅっと厚い胸に抱きつく。
「し、シゲル? どうしたんや?」
「なんもないよ~」
はぐらかしたら、恐る恐るって感じに頭を撫でられる。気持ちいい。
おれは、うっとりと目を閉じながら――上着のポケットにあるリップクリームを思う。
真柴くんのおススメで、新調したばっかの……レモンの香りのリップ。
――間接キスちゃうよって伝えたら、喜んでくれるかな……?
晴海の胸にほっぺを埋めて、おれは幸福な予感に酔いしれた。
……キスしてほしい(完)
晴海の真黒い目が、心配そうにのぞき込んどる。
おれは、寄っかかった晴海の肩に甘えつつ、Vサインをした。
「だいじょうぶ。ちょっと、気がぬけてもて……」
いっぱい泣いて、いっぱいわがまま聞いてもろたおかげかな。エッチして体はぐったりなんやけど、心は爽快になっとった。
そう言うたら、晴海は穏やかに微笑んだ。
「そうか。立てへんかったら、負ぶったるから遠慮すんなよ」
「うんっ。ありがとうなぁ」
うりうりと肩にほっぺをすりつけると、晴海はくすぐったそうに笑い声をあげた。
おれは腕にひっつきながら――ちょっと熱をもつ唇に触れる。
――晴海、いっぱいキスしてくれた。
じんわりと嬉しさがこみあげてきて、にやけてまう。
だって、ずっとキスしてほしかったんやもん。
おれ、晴海にその気になってほしくて、一生懸命誘ったんやで。めっちゃスキンシップしたり、「ここや!」ってときにキス待ち顔してみたり。
まあ、そう言うおれの気持ち……たぶん、晴海はちーっとも気づいてへんかったみたいやけどっ。
――なんや、シゲル。甘えたさんやな~。ははは。
のんきな声を思い出して、ぴきっと米神が痛うなる。
傍目で見とる竹っちが気づくくらい、アプローチしてたのにこれやで。ええかげん、心折れるわい。
ほんで今日。おれの意図に気づいた竹っちが、スーパーアドバイザー真柴くんを呼んできてくれて。「キスしたくなる唇大作戦」を決行したわけやねんな。
「……なあ、唇痛いんか?」
「えっ?」
色々と思案を巡らしとったら、晴海に不意に尋ねられる。思いのほか、真剣な声にびっくりして、きょとんとしとったら――親指で口の端を触れられた。
くすぐったくて、ぎゅっと目を閉じてまう。
「ん……なに?」
「ここ、赤くなっとる。ごめんな、俺がアホなこと言うたせいで……」
晴海は、沈痛な面持ちで。懺悔するみたいに静かな声で言うた。
アホなこと――? 一瞬、ポカンとして、「天ぷら食った」のことかと思い至る。
おれは、ぷっと噴き出した。
「なーんや。そんなん気にしてたん? ええよもう」
そりゃ、おれとしては誘ってたからさ。全然、ユーワク出来てへんくてショックやったけど。いっぱいキスしてもろた今となっては、何時もの軽口やってわかってるし。
って、手を振り振りしながら、「気にせんでええよ」って言うのに、晴海は苦し気な顔のまま。
「いや。ホンマに可愛かったんや。せやのに……俺の下らん嫉妬のせいで、お前を泣かしてしもて」
「しっと?!」
信じられん言葉を聞いて、鸚鵡返しに叫んだ。しっとて、まさか嫉妬のこと……?
すると、晴海はばつが悪そうに頬をかいた。
「すまん……お前が、真柴のリップクリーム使ったんやと思ったら。何してんねん、間接キスやんけって、腹立って」
「……!」
「ごめんな。それで、心にもない事言うたんや。不甲斐ないわ……」
晴海はしょぼくれて、俯いてまう。かわいいつむじを見ながら、おれは全身がぱーって熱くて熱くて、どうしようもなかった。
――晴海、お前……おれのために、そんな風に思うんや!
胸の奥から、甘やかな感情が湧いてきて、居てもたってもいられへん。
「晴海~!」
「うお!?」
おれは、昂る感情のまま晴海に飛びついた。
晴海はぎょっと叫びつつ、しっかりとおれを受け止めてくれる。
「晴海、晴海っ。大好きやで!」
「ええ!? お、俺も大好きやぞ……?」
おれのテンションに戸惑っとるみたい。それでも、ちゃんと好きやでってお返ししてくれんねんな。
優しいなあ、晴海。
おれは、へらへら笑いながら、ぎゅっと厚い胸に抱きつく。
「し、シゲル? どうしたんや?」
「なんもないよ~」
はぐらかしたら、恐る恐るって感じに頭を撫でられる。気持ちいい。
おれは、うっとりと目を閉じながら――上着のポケットにあるリップクリームを思う。
真柴くんのおススメで、新調したばっかの……レモンの香りのリップ。
――間接キスちゃうよって伝えたら、喜んでくれるかな……?
晴海の胸にほっぺを埋めて、おれは幸福な予感に酔いしれた。
……キスしてほしい(完)
21
あなたにおすすめの小説
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる