13 / 36
12
しおりを挟む不可思議な出会い、未知との邂逅。
視界先のベルウルフ見ては、つくづくそう思うです。
「ところで、お前は何故この場所に?」
「狩りです」
「狩り?」
「そうです。村の食事事情を脅かすモンスターを狩りに来たのです」
と言っても?
「どうやら、貴方が倒してくれたみたいですけどね?」
私は駆逐されたグリーズの群れを眺めてそうは言います。
「このグリーズ達がニジマスを悉く食らっていたみたいなのですよ」
「ああ、そういうことか」
ベルウルフは拳を打って頷きました。
「別に頼んでわけじゃありませんが、結果として助かりました。有難う御座います」
「どうもどうも。俺としてはいきなりこいつらが襲ってきたもんだから、ただ無我夢中でやっつけたに過ぎない」
ですか。
「では、私はこれで」
と、私は立ち上がります。
流石の寝坊助ピコもそろそろ起きている頃合いでしょう。
当初の目的も達成されましたし、これ以上長居は無用です。
「いや、ちょっと待てよ!」
帰ろうとして、切羽詰まった口振りのベルウルフに呼び止められました。
「えっと、何ですか?」
「いやいやいや……もう、行ってしまうのか?」
「え?そのつもりですが?」
見たらわかるでしょう?そうは言って上げるのです。
「日が暮れてはいけません。日の落ちた山とは、それはそれは恐ろしい場所なのです」
と、これはお爺さんの受け売りですが。
「ベルウルフ、貴方もいくらそのアサルトライフルがあると言って油断してはいけませんよ?夜はモンスターの行動が活発となる魔の時間帯です」
それに、なんと言っても恐れるべきは魔物の存在、ですね。
「忠告はしておきましたよ?では」
「待て!」
腕を掴まれました。
「???」
「あ、いやこれはその……あれだ、つまり、俺はこう言いたい」
出来れば、明日も会えたりしないか?
とのことを、ベルウルフは必死な形相で提案してきました。
正直に、私はこう尋ねてあげるのです。
「何故?」
と。
するとベルウルフは、
「……とある、事情がある」
ブツブツと呟きます。
「そうは言われましても、私も暇ではないのです」
「ぐ、具体的には?」
守秘義務です、って程ではないので教えてあげましょう。
私は村のハンターです、とは前置きに、
「最近、この付近一帯には大量のモンスター達が集まって来ているようなのです。私はハンターとして、それらモンスターを掃討しなければなりません。それと、モンスターが大量発生している理由の調査を少しばかり」
「モンスターの大量発生、か……」
おや?
「ベルウルフ、貴方もしや何か心当たりが?」
「いや、全く」
「そうですか。ではさようなら」
「だから待てっての!」
またまた腕を掴まれました。物凄い力で、です。
「乱暴な男は嫌われますよ?」
「あ、すまん。でも、俺だって引けない理由があるんだ。分かってくれ」
「それは、その守秘義務とやらの事ですか?」
ベルウルフは頷きます。
また、こうは言うのです。
「分かった。では、こうしようじゃないか。俺はお前のその仕事とやらを全面的にバックアップする」
ベルウルフはアサルトライフルを構え見せます。
「遅れは取らない」
そんな自信満々には言われても……
「……そうして頂けたらすごく助かりはしますがね、貴方がそうする理由が理解できません」
どうせ守秘義務が~とは、そうは言うのでしょう?
「貴方の事は口外しないと約束しますので、貴方は貴方で単独行動した方が動きやすいのでは?」
「いや、それはそうなんだがな……実を言うと、この地域についてを詳しく知りたかったりする」
「……あれ、守秘義務はいいのですか?」
「ああ、この際そうも言ってられんからな」
えぇ……守秘義務の義務性とは。
「兎に角、明日、この辺りで待ってるから」
ベルウルフは私の肩に手を置いて、「よろしくぅ!」とは親指を立てました。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる