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第5話 約束
しおりを挟む取り返しのつかない事になってきた。
今では痛みでどうにかなってしまいそうなぐらいに、全身が痛い。それでも、俺はその事を誰にも打ち明けることはできない。
どうせ言ったって無駄だと分かっているからこそ、俺はただひたすら痛みに耐えることしか出来ない。
頼むから、誰か助けて、お願いだ、誰でもいいんだ…誰でもいいから…
俺を、助けてくれ。
◆◇◆◇
俺はその夜にも、エルフ族の里に現れるという、例の男を倒しに行く事にした。
リリーナが見送りに来てくれている。その顔はすごく不安そうで、見ていられなかった。
だから俺は、リリーナのそばまで歩む寄ると、その華奢な体を、ソッと抱きしめてあげた。
「リリーナ、心配するな。俺がきっと、その男を倒す。そしてまた、戻ってくる。」
「…や、約束ですよ?」
「ああ、約束だ。リリーナ、待っててくれ。」
「はい!スバル、私はいつまでも、あなたの帰りを待っています!」
リリーナは目を赤く腫らして、俺の体をギュッと、強く抱きしめた。俺はリリーナに負けないぐらい、強く抱きしめ返した。
「じゃあ、行ってくる!」
「はい!スバル!あなたに、精霊の加護があらん事を!」
俺はリリーナに微笑みかけ、その場を後にした。
しばらく進んで、振り返ってみると、そこにはまだリリーナがいて、ずっと手を振っていた。
全く、可愛い奴だ。
俺は別に、女とかに興味なかったけど、リリーナなら付き合ってもいいかな?
「はは、なんてな。よし、行くぞ!」
俺はアルティメットソードを握り締め、前へと進んで行った。
目的地は、森の中にはある、沼地である。沼地までのルートは族長ルバに言われた通りで、迷う事はなかった。
にしても、夜の森は酷く静かだ。今にも魔物が飛び交ってきそうな、そんな感じがする。
しばらく歩いて、目的地の沼地は見えてきた。魔物は出てこなかった。
「よし、あそこか!」
俺の目に、一軒の小屋が見えてきた。
沼地の辺(ほと)りにある、ボロ小屋だ。
何でもあの小屋に例の、漆黒の鎧を着た、白髪の男がいるらしい。
「どういうわけか知らねーがな、リリーナを泣かせる奴は、この俺が許さねぇッ!」
俺は迷う事なく、ボロ小屋へと向かって、足を進めた。
ボロ小屋に近付くにつれ、異様な臭気が漂ってきた。魚臭いというか、生臭い?そんな臭いだった。
ただ、今更、臭いがどうだとか、言ってらんねぇ!
俺はボロ小屋の扉に手を掛け、勢いよく扉を開いた。
そして、叫んでやった。
「出て来い!お前を倒しにきた、冒険者だ!」
ゴソリと、小屋の中で何かが動いた。
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