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第13話 破綻
しおりを挟む女神の様子が、少し変だなって、そう思った。
でも、どこがどう変なのか、具体的に言い表す事ができない。
強いて言うなら、なんか怖いなって、そう思ったんだ。
「お、おい、女神?」
「何ですか、スバル」
「お前が…今言った事は、冗談か何かか?」
「どう思ってもらうが別に構いませんよ?ただ、神である私の言葉と、お馬鹿なスバルの言葉のどちらが正しいか…なんて、議論の余地はないと思いますが?」
そう言った女神の笑顔が、醜く歪んでいるように見えた。気のせいではない筈。
この女神は、何かがおかしい。いや、ズレている。
「はは、ははは…待てよ…じゃあ何か?俺が偽タケヒコと思っていた奴は、実は本当のタケヒコで、スライムはヒナコで…って、んなもん信じられるかよ!?マジ、意味わかんねーよ!」
「信じるか信じないか、それはスバルの勝手ですけど、真実だけは嘘をつきません。スバルがタケヒコを殺した、またヒナコがスバルを殺して、そしてスバルは、再びこの場所へと戻ってきた。転生の循環、それこそが異世界転生者に与えられた、三回まで死んでいいという、神であるこの私が定めたルールなのです」
「馬鹿言うな!何だよそれ!?大体、タケヒコとヒナコは、俺が助けた筈だ!銀行強盗の乗った車に轢かれそうになったあいつらを、俺が助けたんだ!だから俺は、死んだんだ!それなのに、あいつらが異世界にいて、しかも姿形を変えられていてって、そんなの、デタラメだ!」
「ふふふ、スバルの考えは少し、主観が過ぎるのでは?自分の見ている光景と、他人の見ている光景が必ずしも一緒ではないと、どうしてそう思えないのですが?人間はいつもそうです、巻き起こる出来事の全ての中で、自分が主人公だと勝手に決めつけている。そもそも、それが誤りなのです…」
いいですか、と、女神は人差し指を立てた。
「まず、スバルとタケヒコとヒナコ、それぞれ見ている光景も、またその時々の感情も大きく異なっていたわけです。あの時…つまりスバルが死んだ時ですが、スバルは二人を助けたつもりだったのでしょうし、実際には助けました。ですが、二人の視点から言えば、そうではなかった。タケヒコの視点から言えば、タケヒコはスバルとヒナコを助けて、死んだ事になっています。またヒナコからすれば、タケヒコだけを助けて死んだ事になっていて、スバルは重傷を負い、意識不明の植物人間となっています」
次に女神は「ここで問題です」と、問い掛けてきた。
「では何故、異なる行動を起こした皆が、一同には異世界に転生したのか…スバル、あなたには分かりますか?」
「………」
わからなかった。
それに、今はそれどころじゃなかった。
女神の言葉の一つ一つが、鋭利な刃のように、俺の心臓をグサグサと刺しているような、そんな気持ちでいた。
酷く、気が動転していたのだ。
「…ふふ、お馬鹿なスバルには難しい質問でしたね。では答えましょう。つまりですよ?これは『if』により生じた、世界線の分岐という、ただそれだけの事に過ぎません。スバルが二人を救ったα世界線、タケヒコが二人を救ったβ世界線、そして、ヒナコがタケヒコだけを救ったγ世界線。あの時あの瞬間、一つだった世界線は、3つに分岐した。ただ、死んだあなた方三人に、分岐したそれぞれの世界線の事情なんて、関係ありませんよね?だって、死んだ者が行くつく先はここ、神であるこの私、『アクマ』のいる、この空間でしかないのですから♪」
女神は自身を、『アクマ』だと名乗る。
果たしてそれが本名なのか、はたまた『悪魔』という意味合いなのかは、俺には分からない。聞きたいとも、思わなかった。
どちらにしろ、俺から見える女神『アクマ』とは、トチ狂った異常者でしか、ないのだから。
--------/追記/---------
今日から1話ずつの更新となります。
また、話がどんどんエゲツなくなっていきます。
異世界転生ファンタジー展開を楽しみにされていた方、騙すような真似をしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
今後、楽しい展開は見込めないと思います。ですので、即時お気に入り解除を、強く進言しておきます。これまでのご愛顧、誠に有難う御座いました!
また続行して読まれる方へ、これから酷い話をジャジャン上げていきます。
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