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第2章 ラクスマリア城とラクシャータ王女の剣
12話 特殊エージェントみたいな俺
しおりを挟む俺はグインの言葉を聞いて耳を疑った。
「えっ、犯人に大体の目星がついてんのかっ!?」
「しっ!声が大きい!」
「あ、すまん…」
グインの話によると、犯人らしき人物の目星は大方ついている、とのことらしい。
では何故捕まえに行かないのかについて、グインは深刻そうな雰囲気を醸し出しては話し始めた。
「一週間前、つまり殺人が発生した日のことだ。その日の外来記録にどうしてか魔力の痕跡を確認した」
そう言って、グインは一枚の洋紙『外来記録』を机に置いた。
それは城に出入りをした者を記し残すもののようで、何の変哲もないよう思える。
「普通、この外来記録から魔力の痕跡が残る事はまずありない。そもそもこの外来記録とは城に出入りした者の名を残すだけに過ぎないのだからな」
確かにな。
「でもこの外来記録には何故か魔力の痕跡が残っていた。それは普段なら見落としていたやも知れない程に微々たるものに過ぎないがね…たけし、君はどうしてだと思う?」
そこで俺に振るのかよ!?
「どうしてって聞かれてもな~」
「……」
え、何?
この『学校の先生に理解不能の数学問題の答えを問われてる』感じ…
黙りは禁止なのか?そうなのか?
「……」
グイン。
成る程、禁止なのね。
わかったよ、だったら素直に答え合わせといこうじゃねーか。
こういう時はシンプルに答えるってのが相場で決まってたんだ(俺の中ではね)。
つまり、あれだよあれ!
「……誰かが魔法を使ったから、じゃないのか?」
「……成る程。やはり鋭いな、たけし」
えっ、アタリ?
よ、よっしゃ…何かしてやった気分だよ。
「では、何故こんなものにに魔法を使用する必要があると思う?」
て続くんかーい。
……
「つまりね、こういうこと」
そう言って、グインはブツブツとは呪文のようなものを口ずさみ始めて…あれだ、これは確か魔法提唱!
魔法提唱が終わって、グインの掌を青白い閃光が迸った。
「それは…何の魔法?」
「これは”開示の魔法 ルールペイン”といってね、こうすると…」
グインはそう言いかけて、青白い閃光を放つ掌を外来記録へと翳した。
翳して、青白い閃光が外来記録の洋紙を包み混みーーー
ーーー瞬く間には青白い炎となってはメラメラと外来記録に燃え始め広がっていった。
「え、ちょグイン!めっちゃ燃えてんだけどっ!?」
「大丈夫。これは魔法による隠蔽だけを暴くただ唯一の炎だから」
「現にほら、みてごらんよ」とグインは平然とした様子では青白い炎を上げる外来記録の洋紙を手にとった。
手にとって、グインは笑う。どうやら何ともないらしい。
「大丈夫。これはね、体には全くといって無害な炎なの。変化があるとすればこの洋紙」
「ほらここ」とはグインは外来記録のある箇所を指差した。そこはさっきまで空白だった箇所。
だったとは、もちろん過去形である。
そんな空白だった箇所とは、次第には広がる青白い炎にて照らされて、ゆっくりとは文字が浮かび上がってきているようだった。
それは一見して炙り焼き。火に炙れば文字が浮かぶ上がってくるというあれだ。
これはそれの魔法バージョンであり、何故だか魔法によって隠されてしまって文字をグインは開示の魔法『ルールペイン』とやらで暴き出した。
そして外来記録にジリジリとは浮かび上がる文字、それは何者かの名前。
「あ、そういうことか…」
そこで俺はようやくといって理解した。
外来記録に残った魔力の痕跡とは、ラクスマリア城に入ったはずの何者かが自身の入城記録を隠蔽するために使用した魔法の残り香、にしてその入城記録を隠蔽したかった何者かとは、つまりは…
「…その浮かび上がった名前が犯人の正体、ということでいいだな?」
「それはまだ分からない。ただ入城の際には名前と身分を証明する開示書が必要だから、少なくとも無関係ではないだろうね」
成る程、確かにその通りだ。
それだけで犯人と決めつけるのは考えが甘いとな。
「…でも、何でそこまで分かっといて何で動かなかったんだ?1週間もあれば何かしらの行動を起こせたと思うんだが?」
「もちろん何も策を講じなかったわけでない。ただ不確定要素が強い現状、監視するのが限度と判断した。それと、これはまだ憶測の域を出ないのだが…我々側にはもしかしたら本当にスパイがいて、此度の件を手引きした者がいるという可能性が高いと見ている」
お、おいおいまじかよ…
「お、俺じゃないかんな!?」
「分かっているわ!でないとこんな話したりするもんかい」
あ、あははは…そう言って頂けてホッとしました。
「もし スパイがいた場合、こちらの作戦が漏洩してしまう恐れがある。だからこそ表に出っての行動はできなかったわけ。更に言えばその者とて何の警戒網を張ってないわけでもないだろうしな。いやはや、八方塞がりだったわけだよ…でも、たけし。幸運にも君という存在がここにいる」
光明がさしたと言わんばかりの顔色で、グインは俺の肩を叩いた。
「時にだよたけし。君は偶然にもあの時あの場にいなかった。また君はラクスマリア城でも秘匿されている存在だ。仮にスパイがこちら側にいたとして、「たけし」というラクシャータ様専属の護衛がいると知られていたしてもだよ?流石に顔までは暴かれていないと思うんだ」
「分かった分かった。要するにあれだろ、俺はその犯人と疑わしき奴のとこへ行って情報を聞き出すないし、ひっ捕らえればいいわけだ?」
「そういうこと」
「最悪の場合は?」
「…というと?」
「あれさ、抵抗してきた場合だよ。敵さんもみすみす捕まったりするわけないだろうし、仮に戦闘になった時、俺はそいつを傷つけてしまうかもしれないわけだが」
何せ相手は人5人も殺しちゃうようなぶっ飛んだ野郎だ。どんな手を使ってくるか分かったもんじゃねぇ。
「…極力なら無傷で、と言いたいところだが、そこの判断はたけしに任せる。実際に何が起こるのか分からないしな…」
「了解した、では早速…」
ん、でも待てよ…
「俺がそんなことをして大臣達は黙っちゃいないんじゃないか?」
「もちろん黙ってはいない筈だ。たけしには現状謹慎命令が出されているからね。ただ、大臣達はたけしが意識が戻っているをまだ知らない。知っているのは私とラクシャータ様だけ…この意味、分かるなたけし?」
おいおい、なんだよその悪そうな目は…
「…つまりは秘密裏に行動せよ、というだな?」
「その通り」
まるで海外ドラマの特殊エージェントだな俺は。
何だか面白くなってきたじゃねーの。
「よし、名誉挽回といこうじゃねーか!」
「君はほんと頼もしい奴だな…ただ無理だけはしないでくれよ?君の身に何かあったとなれば、ラクシャータ様にグチグチ言われるのは私の方なんだからね」
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