剣と魔法とデスゲーム -転生先の異世界でデスゲーム勃発!?絶対に死にたくねぇ…だったら敵の能力を奪って生き残ってやる!-

泥水すする

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第3章 波乱の幕開けとデスゲームの狼煙

2話 夢のような記憶のような

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 俺はとやかく考えるのは止めた。
 それはいくら考えたって仕方たってがない問題だったからだ。
 とりあえず、ベッドに潜り込む。
 潜り込んだ瞬間にも、急激な睡魔に襲われた。
 そのまま俺はどうやら眠ってしまったらしい。
 眠って、俺の目の前に知らない情景が広がっていた。


『これは…夢?』


 俺は黒い装束を身に纏い、薄暗い一室で同じく黒い装束の二人の男女と共に会話を交わしているようであった。
 俺はその二人に見覚えはない。


 「………は完了………」


 うまくは聞き取れない口調で、一人の男ーーボサボサと纏まりのない茶髪の若い男がそんな事を口にする。何が「完了」したのか、夢の中の俺は自然としたままにはコクリと頷いていた。
 そうしてもう1人の女ーー顎下まで伸びた黒髪のこれまた幼い風貌をした女が俺の肩に手を置いて、口元を緩めては薄ら笑いを浮かべていた。
 
 

「……期待してるよ……」


 先ほどの男同様に、聞き取りづらいままには女性の声が聞こえた。
 「期待」しているとは確かに聞こえたのだが、果たして何に期待しているのかは定かではない。
 ただそうだと言うのにも関わらず、やはりと言って夢の中の俺は分かりきった様子で、女性に対して「…うん」と一言、そんな了承の意思を伝えるのだった。


 ふと、夢の中の俺が視線を移した。
 移して、部屋の壁にデカデカと吊るされた真っ赤な旗を見る。
 真っ赤な旗には竜?らしき姿がかたどられた黒い紋章が描かれていた。
 見ると、二人の黒装束の肩に同様の紋章が刻まれている。
 

 それは全く意味の分からない夢の一コマ。
 理解しようにも理解し難いそんな夢の中で、俺はどういった存在なのだろうか?彼らは何者なのだろうか?
 また黒い竜の紋章の意味するところは?


 分からない。
 分からないから、俺はとりあえず、深く考えるのを止めた。


 その内夢は淡く薄く、幻影のようにはユラユラとボヤけて、消失していく。
 消失していく夢の最後で、俺は二人に背を向けて部屋を後にしようとしていた。
 そんな去り際の俺の背に、二人の男女の声が重なって聞こえてきた。


「…首尾良く頼むよ…

  





Now loading…
---------------------------


【称号スキル】
・アルテマ・スコットスミス LV:3
(LevelUPレベルアップしました)
※記憶の閲覧権限が更に解除されました。


----------------------------




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「っうわ!!」


 夢から覚醒して、俺は直ぐさま飛び起きた。
 飛び起きて、辺りを見回す。
 変わらずといって今いる場所は見慣れたラクスマリア城の自室で間違いはない。
 そう、間違いない…筈なのに、どうも妙な胸騒ぎがしてならない。

 
 胸を撫で下ろすと、額の汗をを袖元で拭った。
 どうやら俺は寝ている間にも尋常ない程の汗をかいていたらしい、おかげで服は汗でぐっしょりと濡れていた。
 それもこれも全ては夢のせい…いや記憶か…
 

loading…
---------------------------


【称号スキル】
・アルテマ・スコットスミス LV:3
(LevelUPレベルアップしました)
※記憶の閲覧権限が更に解除されました。


----------------------------


「にしてもどうしてこんな急に…」

 
 睡眠時にも【称号スキル】アルテマ・スコットスミスのレベルが上がったようで、俺は更にアルテマの記憶を引き出せるようになったみたいだ。


 引き出せる分には別にいいんだが、夢にまで出てくるとかなり気持ち悪い。
 何せ他人の記憶がまるで自分の事のように感じるわけで、しかも夢である為に俺には制御のしようがないのだ。


 また今更ながらに思うが、今の俺は俺個人の記憶とアルテマとの記憶の2つを1つの体で共有している。しかも記憶だけじゃない、スキルも、人格も、全てを俺はアルテマから奪った。それっていうのは実際問題大丈夫なのか…もちろん身体的な意味で。



『”異世界仕様のイメージを植え付けるにあたって貴方という人間のキャパシティを大幅に超えてしまいまして…いや、人間の蓄積できる情報量には致命的なまでの限界値がございまして…”』



 最初、確かにアンヘルはそんな事を口にしていたような…
 くそ、やはりjokerジョーカーとしてスキルもまだまだ未知数過ぎる。
 確かに強大な力だ。でも、やはりリスクがないわけないんだよな…
 

「にしても最悪だよ…さっきの記憶は一体…」


 明らかに穏やかな雰囲気じゃなかった。
 それもその筈、あれはかつてのアルテマの記憶。
 アルテマがラクシャータの剣となる前に所属していた組織の記憶なのだ。
 そしてその組織、名称を『ドラゴンテール』。
 決して明るみには出せない依頼をこなす団体、いわゆる闇組織というやつだ。


 にしてアルテマの受け持っていた仕事とは暗殺。
 アルテマはかつて『ドラゴンテール』の暗殺屋としては凶刃を振るっていたらしい。
 望んでやっていたわけではなく、ただ生きる手段としてその道を選んだようだ。当時のアルテマには人を殺めることに対して感情を殺しきっているように感じた。
 

 まるで今の俺のようには、生き抜くために、人を殺す日々。
 そこに人としての情はない。
 虫だろうが人間だろうが、アルテマにとってはただの殺すべき命に過ぎなかったようなのだ。


 アルテマに限ってまさかそんな事に身を突っ込んでいたなんて信じられなかった。
 でもあれは間違いなくアルテマの記憶であり、真実だった。
 そこまで非常に徹さないといけない程、アルテマの人生は壮絶に満ち溢れていたらしい。
 知らなかった。
 俺はアルテマの存在を奪っておきながらも、まだまだ知らないアルテマ・スコットスミスの一面がたくさんあるのだと気付かされた。
 気付かされて、俺は少しだけ「怖いな」と、そう思った。




 




 次の日の朝、ふと目の覚めた同タイミングでドアをノックする音を聞いた。
 寝ぼけた頭を必死に正してドアを開けた。
 開けて、俺は相変わらず凛々しい表情を浮かべるグインを見た。


「おはよう、たけし。よく眠れたか?」


 そう言って微笑みを浮かべるグイン。
 「何故こんな朝早くに?」と一瞬考えて、俺は昨晩のやり取りを思い出した。
 そう言えばそうだった、明日部屋に迎えにくるとか何とか言ってたっけ?


「おはよう、グイン…よく眠れたよ」


「…ん、それにしては眠そうだが?」


「まぁな」


 実を言うとまだ眠い。正直眠過ぎて堪らない。
 というのも昨日は久々に体を動かしたせいかまだまだ疲労感が抜けていないのだ。
 ニートだった奴が動くということはそういうこと、人の何倍も燃費が悪いのだ。


「…ということでまだ寝ててもいいか?」


「駄目だ。言っただろ?今日は大変な1日になるって」


「….うん」


 別に忘れていたわけじゃないが、改めて言われると気分が重い。


「とりあえず急いで支度してくれ。朝食の準備はしてある」


 そう言ってグインは続けて「外で待ってる」と言い残すとドアを閉めた。
 別に朝食なんていらないから(食っても仕方ないし)その分眠らせてほしいとか言いたくもあったが…


『言っても仕方ねーか』


 俺はいそいそと制服に着替えると、部屋を出た。
 部屋を出て、グインと肩を並べて廊下を歩く。
 そうしてふと思った。


「あれ、そう言えば俺普通に歩いて平気なわけ?」


「ん?ああ、もう平気。だから」


…って?」


「城の皆にはたけしの意識が目覚めたことは既に伝えてある」


「あー、そういうこと…」


 成る程、お忍び生活も終了ってわけね。肩の荷が少しだけおりて良かったよ。
 城の中を歩いている間、廊下ですれ違う人達(城に支える従者たち)と何回か遭遇した。皆一様には俺とグインの姿を見つけると、立ち止まっては一礼、頭を下げては俺たちが通り過ぎるを待つ。
 何だか随分と偉くなった気分だった。
 

「どうした、たけし?何だか嬉しそうだな?」


「ん?そうか?」


 やば、顔に出てたか。
 たかだか会釈された程度で嬉しいとか、俺って本当に馬鹿。
 分かってる、分かってるけど…ニヤニヤが止まんねぇ…


「社長になったらこんな感じなんだろうな…ふひひ」


「しゃちょう?」


「あ…すまん、何でもない」



 にしても城の中はとてつもなく広い。
 すれ違う人々も様々で、見事な甲冑を見に纏う兵士だったり、丸メガネをした学者のような人だったり、それに、あれは…


「め、メイド…」


 ごくりと唾を飲んで、俺は通り好きと行くメイドの姿を二度見した。
 二度見して、やはりあれはメイド。
 メイドといえば、白と黒のメイド服に見に纏う例のアレ。
 生前はパソコンの画像越しでしか見たことなかったし、てか現実に純正のメイドなんてものは極稀の存在であった。日常で会う事はまず不可能に近かった。
 会えたとしても、それは『メイド喫茶』と呼ばれるコスプレをした女性に過ぎない。


 それがどうだ、異世界ベルハイムにはこうして純正のメイトが生きている。
 フリルの付いたメイド服でもなく、ミニスカートでもない。
 でもでも、その姿一切はまさしくメイド。
 白と黒を基調としたロングドレスに、どこまでも露出を避けたその着こなしは正に圧巻の一言である。
 やばい、興奮が止まらねぇ…


「…ぐ、グイン、めめめ、メイドはこの城に何人ぐらいいらっしゃるのだ?」


「め、メイド?」


「そう、メイドだ」


「…たかだかメイドに対してをつける必要はないのでは?」


「な…何てことを言うんだ!グイン、その言葉はいくらお前とて許さないぞ!?」


「お、おい、何をそんな興奮しているんだ…」


「違う!これは情熱!メイド愛だ!」


「メイド愛?何だそれは」


「知らん!とりあえず言ってみた!」


 あー、やっぱり…この異世界ベルハイムは最高だぜ…
 失いたくねーな…絶対に…


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