剣と魔法とデスゲーム -転生先の異世界でデスゲーム勃発!?絶対に死にたくねぇ…だったら敵の能力を奪って生き残ってやる!-

泥水すする

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第3章 波乱の幕開けとデスゲームの狼煙

4話 ラクスマリア王国

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「ささ、たけし!たくさんあるから遠慮なく食え!」

 それは俺の座るテーブルの向かい側から発せられた少女の声。豪華な食事がズラリと並べられたテーブルを対面する形で、俺はその少女に苦笑いを浮かべて答えた。


「で、では遠慮なくいただきます…様」


「ん?何でそんなかかしこまってるわけ?」


 そう言ってラクシャータは続けて、「せっかく周りの者たちには下がってもらったのに」と部屋を見回した。
 ラクシャータの言う通り、今この部屋にはラクシャータと俺しかいない。


 アルテマの記憶を思い返してみると、どうやらラクシャータと二人きりの時は随分とフランクな接し方をしていたようだった。

 
 成る程な、だったら俺もそうしなきゃ変だもんな?
 なら、お言葉に甘えて…


「ららららラクシャータぁあ?」


「…めっちゃ声裏がえってんぞ?」


 













 
 今でははっきりと思い出せるラクスマリア城の内情について。
 それは昨晩にもスキルレベルが上がった【称号スキル】アルテマ・スコットスミスのおかげとみていいだろう。
 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 ステルニアの大地にこのラクスマリア王国が建国されたのは今から200前も昔の話である。
 ラクスマリア王国が繁栄されるまで、ステルニアの大地には自然豊かな緑に覆われたのどかな風景が広がっていた。
 また人々は自然と共存した生活を営み、争いのない穏やかな日常を送る日々。
 そんなステルニアの大地に黒い影が迫る。


 それは当時、世界で大流行していた『魔素汚染』と呼ばれ
るものである。

※魔素汚染ーー魔法の媒体となる魔素とはこの世界に住む人間であれば絶対と言って体内に有しているものとされているが、魔素汚染とはそんな人の体内には蓄積された魔素が原因不明の突然変異を起こしてしまった結果、人を魔物と呼ばれる化け物に返してしまった状態を指すものである。人が魔物へと変化してしまった場合、理性はなくなり、体は制御を失う。破壊欲求にのみに突き動かされ、目につくもの全てに強い敵意を剥き出しにするとされていた。


 当時、魔素汚染にて魔物と成り代わってしまった人間を元に戻す手段はなかった(それは現代でも変わらない)。
 それこそ唯一の救いがあるとすれば、それは死による安らぎでしかない。
 当時の人は武器を取り立ち上がったはものの、いざ魔物となってしまったかつての友人やら恋人やらを前にして武器を置いたという。
 
 原因不明の伝染病『魔素汚染』に、魔物となっては襲いくるかつて同胞たち、次第には勢い増していくこれらの不幸な現実を前に、いつしか人々は匙を投げた。

 もう我々は死ぬしかないのだと、皆は口々にそう呟いた。

 『魔素汚染』の影響を受けて、ステルニアの大地もまた滅びの道を辿る形となった。


 ただそんなとき、滅びかけたステルニアの大地に颯爽と現れて、人々に救世主と呼ばれた一人の男がいた。

 その男、名を『イミタール・ラクスマリア』。
 
 『イミタール・ラクスマリア』は滅びかけたステルニアの大地にどこからともなくフラリとやって来ては、『魔素汚染』で苦しむ国の内情に酷く哀れんでたという。


 そんな中、『イミタール・ラクスマリア』は一人立ち上がり、絶望する人民一人一人の元へ駆け寄っては、「まだ諦めるには早い』と励まし回った。

 口では何とでも言える、不意にそんなことを履いて捨てた民に『イミタール・ラクスマリア』はこう言った。

「なら、覆してみせようか?」

 自信満々にはそう言って、ニヤリと笑っては民草に説いた。

「覆えそうじゃないか、不条理を』

 そう言った『イミタール・ラクスマリア』の言葉は真実、原因不明とされた『魔素汚染』を根絶した。
 どうやったかはわからない。
 ただ、ある日を境に突然には「根絶した」のだと伝えられている。

 そうして『イミタール・ラクスマリア』は滅びかけたステルニアの大地に国を造るべく尽力し、遂には民から国王と崇められるまでに国土を再生させたのだという。
 
 それがラクスマリア王国の始まりであり、またルコンド城下町の始まりでもある。

 このラクスマリア城はその時にも建造されたラクスマリア王国の象徴であり、国を見晴らし、また国のどこからでも見えるようにも天高くそびえ立つ。

 200年経った今でも、ラクスマリア城はその場所にあった…

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 それはいわゆる伝説。
 ラクスマリア王国の建国にあたるおとぎ話のようなものだ。
 ただ嘘か本当かは別にして、『イミタール・ラクスマリア』という人物は確かに存在していた。
 その確固たる証明こそが彼女ーー俺の目の前ではテーブルに置かれた食事類類をバクバクとは暴食するラクシャータ・ラクスマリア王女である。

 つまり初代王『イミタール・ラクスマリア』とは現王位継承者『ラクシャータ・ラクスマリア』王女のご先祖様であたる…というわけだ。

 また現在でも尚続くラクスマリア王国の歴史は、このラクシャータ・ラクスマリア王女があってこそだと言える。
 何故こんなにも幼い少女が一国の主にならなくてはならなかったという点について、それはラクシャータ・ラクスマリア王女の親にあたる先代の王、『クルシュマルタ・ラクスマリア』、並びに王妃『リルタリルバニア・ラクスマリア』が一か月前突然にも失踪してしまったことが原因だった。

 それが誘拐なのか、はたまた王達の意思による亡命行為なのか、理由については未だ不明である。ただとある晩にも『クルシュマルタ・ラクスマリア』『リルタリルバニア・ラクスマリア』が姿をくらませたのは事実として、もしもそんな事実が国内に知れ渡ろうもんなら国民の不安を駆り立ててしまうことだろう。
 また国外に漏れてしまえば、国の体裁を保てなることは必須だった。

 そこでラクスマリア王国の大臣達は考えた。
 「どうにかして、王の所在が分かるまでの間この事実を隠し通せはしないのか、仮の王位に就く人間が必要なのではないか」と。
 問題は誰が王位に就くかであったが、大体が王族原理主義者達で占められているラクスマリア王国では王位は王族の直系が即位するべきだという意見が大多数であった。
 そうなった場合、候補者は二人。
 王子『タタニクス・ラクスマリア』と王女『ラクシャータ・ラクスマリア』の二人である。

 代々王位に就く人間は純血統にある男子のみであるとの習わしがあり、例にならえば王子であるタタニクスが有利な候補であった。ただラクシャータの弟にあたる王子『タタニクス・ラクスマリア』は8つとまだ幼い。肉体的にも精神的にも未熟なタタニクスでは荷が重いとの判断が濃厚しされていた。
 
 白羽の矢の先に、彼女ーーラクシャータ・ラクスマリア王女はいた。そう、王位に就くべきと選ばれた人物は若干12歳のラクシャータだったのだ。
 ラクシャータが若くして聡明な頭脳を持ち、国の情勢についてをよく理解しているのはラクスマリア王国でも有名である。年齢や見た目の幼さを感じさせない程の威厳は流石王族の人間と言ったところであろうか。

 確かにラクシャータもまた王位に就くには些か幼すぎるのではないかとの意見はあったが、「とりあえず」という意味ではこれ程に条件の揃った候補者が他にはいない。

 そうして選ばれたラクシャータ・ラクスマリアはこの一か月間、王位継承者として充分すぎる程の役をこなしている。 
 こなして、平然とした素振りでは普段と何一つ変わりない明るい王女様のままである…
 
 











「ん、どした?食わぬのかたけし?」
 ラクシャータは首を傾げてはそう言った。


「あ、いや…いただきます」
 俺は思い出したかのようには口に肉を運ぶ。
 うん、くっそ無味。まっずっ!!


「あはは、美味しいな~」
 それでも俺は嘘吐いてやり過ごす。
 ただそんな俺の涙ぐましい努力を裏切るように、ラクシャータは俺の目の前に馬鹿でかい骨つき肉が差し出した。
 

「そうか!?ならもっと食えたけし!いっぱい食って早く元気になれよな!」
 

 ちょい待て!それ拷問だぞ!?


「なら遠慮なく……っんぐぅ、美味い美味い…美味…い…」


 あー、吐きそうだ。
 吐きそうだが、ここは無理をしてでもラクシャータに俺の元気な姿を見せなければならない。
 ラクシャータの剣たけしが復活したことを、ここに示すために。


 
 

 
「あははは!たけしの食いっぷりはいつ見ても惚れ惚れするなぁー!!」


 そう言って、尚も愉快そうにラクシャータは笑った。
 見ているこっちまで楽しくなるような、そんな笑顔。
 俺は何故かその時、その笑顔がもっと見たいと思ってしまった。
 魔が差したか、多分食い過ぎて思考が狂ってしまったのだろう。
 
 俺はテーブルに並べられた飯をはしから順にはズカズカと胃袋の中へと押し込んだ。
 もちろん味を感じなくとも胃袋に食物が溜まる感覚はある。生前はあまり食う方ではなかったからに尚更苦しかった。
 そんな俺の異常なまでの食いっぷりを見て、やはりといってラクシャータはゲラゲラとは大声を上げて笑うのだった。
 
 

『それにしても本当によく笑うなこの子は』


 初めて会った時も思ったが、ラクシャータは喜怒哀楽の表現の仕方がかなりデカイ。
 笑いたい時はうざいぐらい笑っている癖に、唐突には泣き出したり、怒ったり、楽しそうだったりと、それはそれは大忙しだ。
 記憶を通してーーアルテマがそんなラクシャータの事をよく見ていたことが分かる。よく見て、ラクシャータの気分に合わせてはラクシャータの望む自分を演じていたようだった。それはまるで我が儘な子供のご機嫌をとろうと悪戦苦闘する父親のような、そんな雰囲気。



 それがアルテマとラクシャータの関係。 
 ラクシャータの剣としてのアルテマの責務とはただラクシャータに迫る脅威を排除するだけの存在に非ず。常にはラクシャータのそばに控えては彼女の一挙手一投足に目を配るのもまた自身の役目であるとは思っていたようだ。
 では何故そこまでしてアルテマはラクシャータに尽くすのか?ただの主従関係にしては行きすぎてやしないだろうか?


 俺はまさぐるようにはアルテマの記憶を思い返した。
 思い返して、その答えとはすぐにも見つかった。
 アルテマの記憶の中で笑う少女の姿こそがその答えであろう。


 記憶の中の少女ーーラクシャータとの同い年程の女の子。長い黒髪に、白いワンピース、そしてその面影はどこと無くアルテマに似ていた。
 記憶の中で少女はアルテマ向かって叫んでいた。
 「お兄ちゃん」と。
 つまりだ…


『…つまりアルテマはラクシャータの姿に故国に置いときた実の妹の影を重ねていた…ということだろうな』


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