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第3章 波乱の幕開けとデスゲームの狼煙
10話 円卓会議 続き
しおりを挟む俺とグインが円卓の座に就くのを皮切りに、「では、始めようか…」とはナールバル大臣は話を切り出した。
そうして総勢5人による円卓会議は始まる。
会議の内容はもちろん此度の一連の騒動について、またラクスマリア王国に迫りつつ脅威についてが専らの議題である。
最初、口を開いたのはシャルテ大臣。外交に精通しているシャルテ大臣は今現在の他国から見てのラクスマリア王国の状態についてを話し始めた。
…
シャルテ大臣は一頻り話し終えて、一回咳払いを挟んでは「…僕から以上です」と締め括った。
俺はナールバル大臣の話を聞いて、とりあえず話の内容を頭の中で整理してみることに。
その結果、俺は1つの答えにたどり着いた。
『うん、さっぱり何言ってんだか理解できてないな俺』
と、そんな俺を他所考え込むような面持ちではグインが口を開いた。
「…となると、ラクスマリア王国の内情が他国に漏れつつあると…つまりはそういうことでしょうか?」
「随分とざっくりきましたね…まぁ、要約するとその通りですが…」
と、シャルテ大臣は首を縦に振っては頷いた。
へーなるほどね、そういう内容だったわけか。
「どうしてそんなことに?情報漏洩については充分に気を付けていたはずだ」
眉山を寄せたナールバル大臣がシャルテ大臣に尋ねた。
「どうして…か…理由は様々に考えられますがーー」
と、シャルテ大臣の話を続けようとした時だった。
「…やはり、内通者がいるんじゃないのか?えぇ?」
シャルテ大臣の話を遮断せて、そう言ったのはブルドック大臣。そうしたブルドック大臣の視線と俺の視線は重なった。
ギラギラとした鋭い眼光を放つブルドック大臣に睨みつけられて、うん、つまり何が言いたい?
「おいおい、まさかとは思うがブルドック大臣、俺がその内通者やらとでも思ってるんじゃないだろうなぁ?」
若干の怒りを露わにしてはそう口にした俺を、ブルドック大臣は「ふんっ」と鼻で笑う。
「全くその通りだ。内通者として怪きはたけし、貴様を於いて他ならない。だってそうだろ?貴様のここ1週間については些か謎が多すぎる。多すぎて、むしろそれは逃れられない何よりの証拠と呼べるのではないか、たけしよ?」
「ち、違う!俺じゃねぇ!」
「ほう…では聞くが、貴様が1週間前倒れていたとされる森、貴様はあそこで何をしていたんだ?また何で倒れていた?どうしてそうなった?」
はぁ?どうしてだと?
そんなのアルテマに[スキルドレイン]を使ったからに決まってんだろ!
『とまぁ、そんな事は口が裂けても言えないがな!』
「…どうしたたけし、答えられぬのか?では私が当ててみせようか?貴様はあの日、森の中で密かに内通者として知り得た情報を他国の者に売っていたのでないか?また倒れたことも自演、アリバイ工作と私は睨んでいる」
ブルドック大臣は挑発するような強い口調でそう吐いて捨てた。正直言って、ムカついた。ムカついたが、何も言い返せばしなかった。それがまたムカついて仕方がなかった。
それはブルドック大臣に対して、そして俺にもである。
「ぐぬぬ…」
言葉に詰まる俺をブルドック大臣が卑しくあざ笑った。
「ほーらみろ、やはり貴様なのだろう、たけし?正直に白状したらどうだぁ…ええ?」
畳み掛けるようにはブルドック大臣がそう言った、次の瞬間、
「あの日たけしは剣の稽古に森に入っていて、そのまま日射病で倒れていた…だろ、たけし?」
そんなグインの助け舟がやってきて、俺はすかさず頭を激しく縦に振った。全く、グインには助けられてばかりだ…
「ブルドック大臣。貴方がそう言い切る根拠はどこに?根拠もなくそう言い切るのは些か無理が過ぎるというものでは?」
「根拠?根拠はこいつの存在、そしてその行動の全てが物語っているではないか。1週間前の件を抜きにしたってそうだ…大体だなグイン、お前とてそこにいる内通者の仲間ではないのか?」
そんなブルドック大臣の発言に流石のグインも腹を立てた様子だった。
「…何を言っているのかさっぱり理解できない。どうしてそうなるのですか?」
その口振りは普段と何1つとして変化がないようで、ただ俺にはグインの吐いた言葉一文字一文字に静かなる怒りが存分に込められているようには聞こえていた。
「…それは決まっている。グイン、お前は昨日我々には内緒でたけしをルコンドへと出したであろうが。確か名目は城内で狼藉を働いた殺人鬼の捕縛であったな…で、その殺人鬼やらにはどうも逃げられたようじゃないか?それはどういうことだ?」
嫌みたらしくブルドック大臣がそう言ったことに同調する形で、シャルテ大臣もまたグインに疑問を呈した。
「…その件については私も疑問を思っていました。グイン、何故君は勝手にたけしをルコンドへやったのですか?そういった重要な任務はちゃんと皆で話あった上で決めると、そういうことになってた筈ですよ?」
「そ、それは…」
ここにきて初めて、グインは困った顔を見せはじめていた。
そんなグインを見ているのが苦しかった。自分が責められるならまだいい。ただ、自分の事で誰かが責められるのは本当に嫌だった。
だからである、俺はゆっくりと手を上げては、ゆっくりと口を開いた。
「それに関しては…全て俺が独断で決めたことです。だからグインに責任はない」
「た、たけし!君は何を言ってーー」
グインは焦る素振りでは俺を見てそう言いかけた。
ただ言いかけて、俺はグインの言葉を断ち切っては話進めた。
「…俺は国の一大事に、あろう事か気絶して意識を失っていた。だからグインからその話を聞いた時、俺は自分に対して激しい怒りを覚えたのです」
自分で何を言いたいのかも分からず、それでも何か言わずにはいられなかった。
「ラクシャータの剣という名誉ある地位を与えられておきながら、俺はその役目を果たすに叶わなかった。またもしも俺がラクシャータの剣としての使命を全うできていれば、もしかしたら仲間は殺されずに済んだのではないかと…そう思ったのです。思って、俺は自分を叱咤せずにはいられませんでした」
後から何を言ったってもう遅いかもしれない。しれないが、それでもグインが悪者にされるのは嫌だから、俺は口を開かずにはいられなかったのだ。
「だから汚名返上にと、俺は一人ルコンドへと繰り出し、犯人と疑われていた人物と接触、接触して、やはりそいつが此度の事件に深く精通していることを知りました。だから、俺はーーー」
俺は、そいつを殺した。
「俺は…」
「どうしたというんだ、言ってみろ」
ブルドック大臣が怒り口調では言った。
「た、たけし…」
グインがひどく心配そうには見つめていた。
「…話の続きを、たけし殿」
シャルテ大臣は冷静な態度ではそう言葉を発した。
最早言い逃れはできない。
俺はそう思った。思って、腹をくくった。
ここまでくれば、もう隠しきれねぇよ。
そうだよ、俺はーー
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