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第4章 騒乱と死闘
2話 アジトへ進入
しおりを挟む俺とバホメットの足はとある建物の前では止まった。
止まって、俺はその建物を凝視する。
「バホメット、ここ、なのか?」
「ええ、そうよ。ここはかつて法に触れた犯罪者を収監する建物として使われていたようだけど、ここがスラム街がなってしまった頃にも捨てられてしまったみたいね。今ではほら、反乱軍の縄張りってわけ」
「反乱軍?」
「そ、反乱軍。ラクスマリア王国の転覆を狙う人達ってことね。まさかこのラクスマリア王国にそんな人達がいないとでも思ってた?」
見た感じ、かなりデカイ建物であった。
縦に、というよりは横広な建物で、建物の外観は見るも無残には映る。
今にも崩れ落ちてしまいそうで、建物の外壁には至るかしこにはヒビ割れは多々見受けられる。
本当にこんなところに、ノブナガがいるだろうか?
「見張りはいないようだが…」
「見張り?ははは、たけし君何言ってるの?既に私達は侵入者としてずっと警戒されてるわけなんだけど?」
「は、はぁ!?」
俺はバホメットの言葉を聞いた次の瞬間にも辺りを見回した。
見回して、このスラム街にはいるあらゆる人間たちの視線に気づいた。
それは物陰だったり、建物の中からだったり、ただ一貫して、その視線は俺たちへと注がれているようだった。
「バホメット、まさかと思うが…こいつらって…」
「ええ、想像通り。このスラム街に住む人間たちは皆んな反乱軍に属した者たち。ただこの建物が本元のアジトってだけで、私達は既に敵さんの渦中には飛び込んでしまってるというわけ」
そうサラリと言ったバホメット。
「…はぁ、そういうことは早く言ってくれよな…」
「何よ、聞かなかった貴方が悪いんじゃないの?」
「ま、まぁな…」
確かにその通りである。
「というわけで、行こうか、たけし君」
「お、おい!このまま入ったりして大丈夫なのか!?」
「え、何?今更怖気ついたわけ?」
「いやそうじゃなくて!敵に見つかってるわけだし!」
「いやいや、だったら尚更どうしようもないでしょ?」
「……」
その通りだと思った自分が悔しい。
アジトへと入って、ヒンヤリとした空気が肌につく。
外の空気とは全くとは違って、建物の中は恐ろしい程に静かで、別世界と思える程には寒い。
まさかここに人が居るだなんて想像もつかなかった。
明かり一つないアジト内を進んで、俺たちは取り敢えず一階に当たる部分の探索に乗り掛かった。
中に入って改めて思ったが、この建物はやはりと言ってかなり広い。また廊下と部屋があちらこちらに入り組んだ造りとなっており、探索には結構な時間を要しそうな感じである。
「お前はここに来たことはあるのか?」
「いや、初めてよ。ある事は知ってたんだけどね、大体私こんなジメジメした場所嫌いなの。こっちまで陰気臭くなりそうじゃない?」
バホメットはそう言って、汚物を見るような目線では辺りをキョロキョロと見回して、「やっぱり予想通りの汚さね」とは唾を吐きつけた。
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