剣と魔法とデスゲーム -転生先の異世界でデスゲーム勃発!?絶対に死にたくねぇ…だったら敵の能力を奪って生き残ってやる!-

泥水すする

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第4章 騒乱と死闘

3話 反乱軍

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 でも確かにバホメットの言うようにこの場所はかなり不気味な雰囲気を醸し出していた。
 異世界ベルハイムに来てこれ程に不気味な場所に来たのはこれで2回目、アルバートのいた鍛冶屋以来だ。


 生前、まだ俺が小学生だった頃、興味本位で足を踏み入れた無人の廃屋並みにこの場所スラムのアジトは陰湿な場所である。
 それは雰囲気をはじめとして、空気だったり臭いだったりと、全てが併さってこの場所を不気味さ足らしめているみたいだった。
 

 そのまま少し歩いて、二階へと続く階段が目についた。
 大方一階を見て回ったが何もなかったからに、順当を踏めばこのまま二階に登るのが妥当だろう。
 その考えにはバホメットも同意見だったようで、俺たちは目線だけで合図を送りあっては、そのまま二階へと足を進めていった。
 段差の低い階段を登っている最中、ふと、俺は気になっていることを聞いてみた。


「ところで、外にいた連中が襲ってこなかったのは何でだ?」


「…さぁね、もしかしたら様子を見ていたのかも」


「様子?」


「そう、つまり私達がどういった存在なのかを遠目から伺っていた。またはそれを誰かに伝える役目なんじゃない?だってほら、見た感じ戦闘が得意そうな感じには見えなかったでしょ?」


「あー、確かにな…」


 スラム街の人々は皆ガリガリには痩せ細っていた。
 俺も人の事を言えたたちではなかったが、それにしても痩せ過ぎていたように思える。
 それはつまり、普段からあまり食べ物を口にしていないということの証で、そりゃあスラム街に住んでるぐらいだから当然と言えば当然なんだが…
 そんな彼等が戦闘とは確かに無理がある。反乱軍と言ったって、ただただ数だけいればいいって問題でもないだろうし。


「…そんな奴らが、どうしてラクスマリア王国の転覆なんて考えてるのかなぁ…」
 ボソリと、そう口にした俺に対し、バホメットはあざけたような薄い笑い声を交えては応えた。


「幸せな人には、不幸な人の気持ちは分からないものよ。人のそういうところって、本当に残酷よね」


「…何だよそれ、まるで幸せな奴が悪いみたいな言い方じゃねーか?」


「いや、別に悪いとは言ってないの。ただね、見てて残酷だなって、そう思うわけ。私はそういうの嫌いじゃないし、むしろ好きな方だけど、それは使い魔である私だから言えることよ?もしも私が人間だったら…ふふ、早々にも死を選ぶわね。だって辛いじゃない、生きるのって」


 バホメットは少しだけ寂しそうな口振りではそう言って、続けて、


「スラム街の彼等だって本当はああ成りたくてここにいるわけじゃない筈よ。だってそうじゃない?誰だって幸せに成りたいと思って生きている筈、でもそれが叶わないと知れば、幸せそうな人達が憎くて憎くてたまらなく思うの。傷つけたくなる、壊したくなる、…」


 バホメットの言葉を聞いたその瞬間、心臓がズキンッと刺激された。心臓を針でチクチクと突かれたような、そんな痛みである。
 そんな痛みの正体、それは正しく動揺の表れであろうか。
 動揺した事について、その理由は明白。というのもバホメットの言葉とは、まるで自分の事を言われているように思えてならなかったからだった。
 

 生前で不幸を味わった自分には、人を憎む気持ちがよく分かっていた。もしもそんな気持ちをこのスラム街の人達が抱いているとするならば、ラクスマリア王国の転覆を狙うことも分からなくはない。


「何だよ、そういうこと…なのかよ…」

 
 途端に、ない気持ちがドッと押し寄せてきた。
 押し寄せて、本当に今から俺がやる事は正しいのかと、自問自答を繰り返していたーーそんな時。


「ーーー静かに」


 唐突に、バホメットは静かな声では俺を制した。
 また身をかがめては、俺にもその行為を促して、俺はバホメットに従うように身を潜めた。


 俺はヒソヒソとした小声ではバホメットに尋ねた。


「どうしたんだよ、急に…」


「あそこの物陰、誰かいるみたい」


「……そう、なのか?」


 バホメットの指差したあそこの物陰とは、二階を登りきった先にはある踊り場のようである。俺には暗くてよく見えないが、バホメットには何でか分かるようであった。
 それが使い魔であるからなのかは定かではない。もしかしたら人の気配を感知できる辺りバホメットもまた[スキル]のようなものを使えたりするだろうか?


 あれ、そういえばだが、俺にもそんな[スキル]あったような…



---------------------------

【通常スキル】
・エリアドロップ

[概要]
制限された範囲で、周囲のエリア情報を認知することができる。その認知度はレベルによって比例する。

----------------------------


 そうそう、これだこれ。
 確かレベルは3、範囲がどこまでかは知らないが、取り敢えず使ってみるか。


 物は試しにと、俺は[スキル]エリアドロップを発動。
 発動して、エリアドロップはそこまで広い範囲では認知出来ないことを悟った。
 今のレベルで、エリアドロップの認知できる範囲とはせいぜい10メートルいくかいかないかのそこら。認知できる情報と言えば建物の構造だったり、置かれた物の配置だったり、そしてーーー


「成る程、階段の影に、一人いるみたいだな…」


 それは人の気配。
 二階へと続く階段の上、階段を登り切った先の踊り場にはある貨物の物陰に一人、誰かが息を潜めているようだった。
 しかもこれは…子供か?


 俺は相変わらずの小声ではバホメットに尋ねた。


「…バホメット、どうする?」


「どうするも何も、突破する以外方法はないでしょ?」


「…間違いねぇ」


 ただ問題は方法。どうやって突破するかだ。


「因みに、何か策はあったりするのか?」


 そう聞いた俺に対し、バホメットは首を傾げては聞き返してきた。


「…ん、何か勘違いしてない?悪いけど、戦闘に関して私は手を貸すつもりはないのだけれど?」


「…は、はぁ?」


 聞いてねーよそんなの!


「お、おい、協力するって、ありゃ嘘だったのか?」


「いやいや、現時点でも充分にこうして協力してあげてるじゃない?まさか貴方、全てを私にやらせるつもりだったわけ?」


「い、いやそうじゃない。そうじゃないけど…」


「そうじゃないけど?」


「……」


 俺は少し言い訳を考えて、その無意味さを悟った。
 自身の非を認めた方が早いと、そう思ったのだった。


「……そうかもしれなかった。すまん」


 俺は素直に、謝罪した。



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