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一章
のどかな村
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少し鼻を刺激するような肥料のにおい。
ちょうど目の前の畑からしてくるものだ。
「どうじゃ、のどかなものだろ?」
老人が隣に並びかけてきて話しかけてくる。
「あ、ああ。なあここはどこだ?」
「ここは帝都ロルディアに近い位置にあるソン村じゃよ。見ての通り、女子供、老人しかいないしがない村じゃ」
「帝都ロルディア?」
「なんじゃおぬし帝都を知らんのか? さては隣国からきたのかの。めづらしいの。ほっほっほ」
ここがどこなのか。そんなのは正直言ってもどうでもいいか。だってあの地獄の世界に俺はいないのだから。それだけでどれだけ幸せと言えるだろうか。
それから夜が来た。
「ふひぃ、疲れたぜ」
俺はシャワーを浴び終え、居間に入る。
今日は畑仕事を手伝って、それから牛の世話をしたりなんだりでかなり忙しかった。そんなことは初めてやったもんで、手つきはかなりおぼつかなかったが楽しかったな。
なんつうかこうして暮らしていくのも悪くないってもんだ。
「おう、お前さんの分のご飯もできているぞい。さあ一緒にご飯でも食べようかの」
またあの気味の悪いような食べ物が出てくる。
昨日のやつは不味くて全部食べ切れなかったんだよな。今日はじいさんの前だし食べなきゃな。
「いただきます」
俺はまず一口、口に入れる。
うげっ、まずい。なんつうか変な感じだ。
「どうしたのかの?」
「い、いや。なんでも」
ご飯にあまり手をつけず、茶碗を置いた俺を心配してくれているようだ。
そして俺がちょうどこいつらをどう処理するか、と悩んでいるときだった。
コンコンッ。
ドアをノックする音が部屋に響いた。
「誰かの? こんな時間に。ちょいと見てくるとするかの」
じいさんがひょいっと立ち上がり、家を出る。
チャンス。俺はそう思った。じいさんには悪いがこれは捨てさせてもらう。
まずはじいさんが戻ってこないか確認のために……………………。
「おい、馬鹿! もっと声を下げろ。きかれたらどうする」
「ああ、すまねえ」
若い男二人の声が耳に入ってくる。
「で、どうなってる」
「今睡眠薬入りの食事を食わしている。効き目の強いやつだ。すぐに寝ちまうことだろうよ」
「本当にうまくいくんだろうな。昨日しくじりやがって」
「大丈夫、大丈夫。あいつは俺のことを信用しきっているからな」
「ああ、あいつを生贄にしなきゃ、おれたちが生贄になっちまうんだ。絶対にしくじるなよ」
足音がこちらに返ってくる。
「ま、まずいって」
何がどうなっているかなんてわからない。
でもこのままここにいるのはまずいと本能が必死に叫んでる!!
ちょうど目の前の畑からしてくるものだ。
「どうじゃ、のどかなものだろ?」
老人が隣に並びかけてきて話しかけてくる。
「あ、ああ。なあここはどこだ?」
「ここは帝都ロルディアに近い位置にあるソン村じゃよ。見ての通り、女子供、老人しかいないしがない村じゃ」
「帝都ロルディア?」
「なんじゃおぬし帝都を知らんのか? さては隣国からきたのかの。めづらしいの。ほっほっほ」
ここがどこなのか。そんなのは正直言ってもどうでもいいか。だってあの地獄の世界に俺はいないのだから。それだけでどれだけ幸せと言えるだろうか。
それから夜が来た。
「ふひぃ、疲れたぜ」
俺はシャワーを浴び終え、居間に入る。
今日は畑仕事を手伝って、それから牛の世話をしたりなんだりでかなり忙しかった。そんなことは初めてやったもんで、手つきはかなりおぼつかなかったが楽しかったな。
なんつうかこうして暮らしていくのも悪くないってもんだ。
「おう、お前さんの分のご飯もできているぞい。さあ一緒にご飯でも食べようかの」
またあの気味の悪いような食べ物が出てくる。
昨日のやつは不味くて全部食べ切れなかったんだよな。今日はじいさんの前だし食べなきゃな。
「いただきます」
俺はまず一口、口に入れる。
うげっ、まずい。なんつうか変な感じだ。
「どうしたのかの?」
「い、いや。なんでも」
ご飯にあまり手をつけず、茶碗を置いた俺を心配してくれているようだ。
そして俺がちょうどこいつらをどう処理するか、と悩んでいるときだった。
コンコンッ。
ドアをノックする音が部屋に響いた。
「誰かの? こんな時間に。ちょいと見てくるとするかの」
じいさんがひょいっと立ち上がり、家を出る。
チャンス。俺はそう思った。じいさんには悪いがこれは捨てさせてもらう。
まずはじいさんが戻ってこないか確認のために……………………。
「おい、馬鹿! もっと声を下げろ。きかれたらどうする」
「ああ、すまねえ」
若い男二人の声が耳に入ってくる。
「で、どうなってる」
「今睡眠薬入りの食事を食わしている。効き目の強いやつだ。すぐに寝ちまうことだろうよ」
「本当にうまくいくんだろうな。昨日しくじりやがって」
「大丈夫、大丈夫。あいつは俺のことを信用しきっているからな」
「ああ、あいつを生贄にしなきゃ、おれたちが生贄になっちまうんだ。絶対にしくじるなよ」
足音がこちらに返ってくる。
「ま、まずいって」
何がどうなっているかなんてわからない。
でもこのままここにいるのはまずいと本能が必死に叫んでる!!
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