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一章
ソン村脱出①
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どうする。逃げるんだ。ここにいてはまずい。
俺は自分が寝た部屋に戻る。あそこなら窓があったはずだ。
「おい、お前どこに行く気だ」
窓を開け、枠にちょうど足をかけようとしたとき、後ろから怒声が聞こえてくる。
さきほどの老人だ。老人が戻ってきたのだ。
「話が聞こえちまったようだな。こうなりゃ荒療治だ!!」
鬼の形相で走って近づいてくる老人。
急げ。急がねえと。追いつかれる。
はっ!?
足が滑って俺は床に全身たたきつけられる。
「天に見放されたようだな坊主」
「くっ、離せ!」
ぐいっと髪の毛を引っ張られるながら、俺は後ろに引っ張られる。
「おら、暴れんな」
老人、いや違う。実際はもっと若々しい男の一撃が頭部を襲う。
ああ、頭がくらくらする。
………………………またか。
ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃ。
天井から地面に落下する雨粒。
俺は意識を取り戻すと、牢獄の中にいた。
上の方で激しい雨の音がする。
どうやらここは地下らしい。
これからどうすっかな。
はあ、と思わずため息がこぼれる。
……………………………ん?
あ、ああ俺寝てたのか……。
カチャカチャカチャカチャ。
何か変な音がする。なんだ?
「目が覚めましたか? 早くここを逃げましょう」
「ん、あんたは?」
「私はミリー・ハシュラー。あなたを助けにきました」
きいぃぃ、と鈍い音をたてながら、鉄格子が開く。
「どうしてだい? 君たちが俺を捕まえてひんむいて、こんな寒いところに入れたんだろ?」
「ひ、ひんむいてはいません!!」
と力強く否定した後、
「あなたをとらえたことは本当に申し訳ないと思っています。私から謝らせてもらいます。本当に申し訳ありませんでした。でも! 状況が変わっているんです。私についてきてください!!!」
すごく必死な物言い。
まあここにいてもしょうがないし、俺はこいつについていくことにした。
「だめです、もっと身をかがめて歩いてくださいそうでなければ奴らに見つかりますよ」
「やつら? やつらってのは?」
「見てください。あいつらですよ」
こいつの指さす先、よく見慣れたあいつらがいる。
ぼろぼろの服装。そして口元と手元にはいつも血がついていやがる。悪臭をまき散らし、とにかく睡眠を妨害する声。
ああ、忘れたくても忘れられねえ。あれはゾンビだ。
へっ、へへせっかくいつの間にかゾンビのいない平和な場所にいたと思ったらこれかよ。神様ってのはずいぶん俺とやつらを結び付けたいみたいだな。まったく。
俺は自分が寝た部屋に戻る。あそこなら窓があったはずだ。
「おい、お前どこに行く気だ」
窓を開け、枠にちょうど足をかけようとしたとき、後ろから怒声が聞こえてくる。
さきほどの老人だ。老人が戻ってきたのだ。
「話が聞こえちまったようだな。こうなりゃ荒療治だ!!」
鬼の形相で走って近づいてくる老人。
急げ。急がねえと。追いつかれる。
はっ!?
足が滑って俺は床に全身たたきつけられる。
「天に見放されたようだな坊主」
「くっ、離せ!」
ぐいっと髪の毛を引っ張られるながら、俺は後ろに引っ張られる。
「おら、暴れんな」
老人、いや違う。実際はもっと若々しい男の一撃が頭部を襲う。
ああ、頭がくらくらする。
………………………またか。
ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃ。
天井から地面に落下する雨粒。
俺は意識を取り戻すと、牢獄の中にいた。
上の方で激しい雨の音がする。
どうやらここは地下らしい。
これからどうすっかな。
はあ、と思わずため息がこぼれる。
……………………………ん?
あ、ああ俺寝てたのか……。
カチャカチャカチャカチャ。
何か変な音がする。なんだ?
「目が覚めましたか? 早くここを逃げましょう」
「ん、あんたは?」
「私はミリー・ハシュラー。あなたを助けにきました」
きいぃぃ、と鈍い音をたてながら、鉄格子が開く。
「どうしてだい? 君たちが俺を捕まえてひんむいて、こんな寒いところに入れたんだろ?」
「ひ、ひんむいてはいません!!」
と力強く否定した後、
「あなたをとらえたことは本当に申し訳ないと思っています。私から謝らせてもらいます。本当に申し訳ありませんでした。でも! 状況が変わっているんです。私についてきてください!!!」
すごく必死な物言い。
まあここにいてもしょうがないし、俺はこいつについていくことにした。
「だめです、もっと身をかがめて歩いてくださいそうでなければ奴らに見つかりますよ」
「やつら? やつらってのは?」
「見てください。あいつらですよ」
こいつの指さす先、よく見慣れたあいつらがいる。
ぼろぼろの服装。そして口元と手元にはいつも血がついていやがる。悪臭をまき散らし、とにかく睡眠を妨害する声。
ああ、忘れたくても忘れられねえ。あれはゾンビだ。
へっ、へへせっかくいつの間にかゾンビのいない平和な場所にいたと思ったらこれかよ。神様ってのはずいぶん俺とやつらを結び付けたいみたいだな。まったく。
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