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一章
なんでこんなに買ってるのに当たらねえんだ!
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「なんでこんなに買ってるのに当たらねえんだ!!」
俺はむしゃくしゃした気持ちが収まらず、道端の石ころを蹴飛ばした。
俺の名前は直江新太郎26歳。普段は深夜のコンビニでバイトしている。趣味は宝くじを買うことで、高額当選を夢見ていつも買うが最高当選額は5万円。当然だが今までの収支は大幅にマイナスだ。
「何が今は一等が当たりやすいだ。200円しか当たらねえじゃなえか」
今日はコンビニに昼飯を買いに行くついでに、スクラッチをした。結果は6000円つぎこんで当たったのは600円。
ふざけてやがる。
俺の夢はスポーツ振興くじとかジャ○ボで一発あてて億万長者になって、フリーターでも老後を安定させること。
だがかれこれ8年。毎月生活費以外のお金を宝くじに回している。おそらく毎月10万近くは宝くじを買っている。しかし百万すら当たったことがない。
宝くじは夢を買うものと言うやつがいるが、俺はそんなことは思わない。絶対に当てる。この十年以内に必ず億単位の高額当選をものにする!
そう力強く思った時だった。
ごおぉぉぉぅぅ、と強い風が俺を襲った。
これにはびっくりしたもので、思わず俺は腕の中に顔をうずめた。
「はっ、しまった!」
ちょうど右手に握っていた宝くじが、風にのり天空へと飛んでいく。
俺は突風が吹き荒れる中も必死に宝くじを目で追い、風がやむやいなやすぐに足早にその場所へ向かう。
「確かこっちの方だったようなきがしたが…………」
きょろきょろとあたりを見渡す。
幸い周りに人影はなく、持ち去られたという危険はなさそうだ。
「あった。あれか」
それらしき紙切れが反対の歩道をゆっくりジャンプしながら動いている。
「よおし、今行ってやるからな」
俺は他のものになんか目もくれず、ただ目の前を舞う宝くじめがけて車道へ飛び出す。
………………その直後だった。
ぷうぅぅぅぅぅぅぅ、ぷ、ぷぷううぅぅぅーーーー。
晴天のもと、無常に鳴り響くクラクションの音。
「……………………………………………………うそだ」
蝉の声がうっとおしいほどに聞こえる今日、八月一日。俺の人生の幕は閉じた。
いてぇ。まるで頭の中をピンポン玉が何回もはねているかのような感覚だ。それに足も手も胸も、体中のいたるところが痛い。
もうそれしか考えられないほどにやばい。
声もでない。体のどこも動かせない。
だ、誰か助けてくれ。
それからどれくらいの時が経っただろうかわからない。
ただ声がした。だがよく聞き取れない。
「…………ぉx……………………ぉぉい」
また声がした。今度は少しわかるようになってきた。
ああ、ずいぶん楽になってきたなぁ。
「おおいってば。まだ聞こえないの?」
「い、 いや、聞こえてる」
声が出る。
さっきまでの間隔がうそのようだった。
まるで声帯をそっくりそのまま抜き取られたかのような、あの感じは二度と体験できないだろうよ。
「こ、ここは」
まだかすみかすみの目で周りを見る。
自分の周り以外は白い霧のようなもので包まれていて、目を細めてじっと見てみても何も見えない。
「ここは冥界に行く前の選択の間。あなたのこれからの運命を決める場所よ」
日本人離れしたきれいな赤い髪。モデル体型と言えるほどすらりとしたルックスの少女はそう告げた。年は高校生くらいで、顔だちはかなりいい。
ようは俺とは無縁なやつってことだな。
「そ、そうだ! 俺は確か宝くじを追って………………」
「トラックにはねられたのよ」
俺はさらっと出てきたその一言に、思わずつばを飲んだ。
そしてじっと少女を見つめる。
悪気のない純粋無垢なような表情だ。
真実を告げているのか、それとも嘘がうまいのか。まったく判断がつかない。
「う、うそだろ!? だって俺は生きてる。今生きてるじゃないか!」
「そうね。だってこれから死後の世界に行くのだから」
「………………………………は、はぁ」
や、やべえまったく言ってることがわからん。
いつもなら子供の戯言と流したいところだが今はそうは言えなかった。
理由は単純明快。ひかれたことをなんとなく覚えていること。
そしてこの不思議な空間は現実のものとは思えないこと。
俺はとりあえず、この少女の話を逆らわず聞いてみることにした。
「俺はこれからどうなる?」
「最近、あなたの世界でいう宝くじに関して少々よくない噂が絶えない世界がありまして。あなたにはそこの世界の調査に向かってもらいたいのです」
「どうして俺が?」
「宝くじ好きで最初に死んだ若い人があなただったからです」
む、むむっ。
俺は胸の底から沸き起こる怒りの感情を必死に抑える。
「ほ、ほう。ま、なあ宝くじのことなら俺に任せとけ。なんせ前の世界では億万長者だったからな」
「当選歴についてこちらはすべて把握しておりますが」
「そ、それはすまんかった。本当に俺でいいのか?」
「はい、何せ変わりはいっぱいいますもの」
くっ、どうしてだ。無性に殴りたいという気持ちが。
「このままでいるといつか殴られてしまうかもなので、あなたを異世界に飛ばしますね」
「はっ!? ちょっと待て、せめてだなその世界の話につい―――――ふぁ!?」
突如俺の体は宙に浮いた。
俺はバランスがとれず手足をじたばたさせる。
「それではよい旅を」
「ちょっとまてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー」
その後、少女の姿が見えなくなるのに時間はかからなかった。
俺はむしゃくしゃした気持ちが収まらず、道端の石ころを蹴飛ばした。
俺の名前は直江新太郎26歳。普段は深夜のコンビニでバイトしている。趣味は宝くじを買うことで、高額当選を夢見ていつも買うが最高当選額は5万円。当然だが今までの収支は大幅にマイナスだ。
「何が今は一等が当たりやすいだ。200円しか当たらねえじゃなえか」
今日はコンビニに昼飯を買いに行くついでに、スクラッチをした。結果は6000円つぎこんで当たったのは600円。
ふざけてやがる。
俺の夢はスポーツ振興くじとかジャ○ボで一発あてて億万長者になって、フリーターでも老後を安定させること。
だがかれこれ8年。毎月生活費以外のお金を宝くじに回している。おそらく毎月10万近くは宝くじを買っている。しかし百万すら当たったことがない。
宝くじは夢を買うものと言うやつがいるが、俺はそんなことは思わない。絶対に当てる。この十年以内に必ず億単位の高額当選をものにする!
そう力強く思った時だった。
ごおぉぉぉぅぅ、と強い風が俺を襲った。
これにはびっくりしたもので、思わず俺は腕の中に顔をうずめた。
「はっ、しまった!」
ちょうど右手に握っていた宝くじが、風にのり天空へと飛んでいく。
俺は突風が吹き荒れる中も必死に宝くじを目で追い、風がやむやいなやすぐに足早にその場所へ向かう。
「確かこっちの方だったようなきがしたが…………」
きょろきょろとあたりを見渡す。
幸い周りに人影はなく、持ち去られたという危険はなさそうだ。
「あった。あれか」
それらしき紙切れが反対の歩道をゆっくりジャンプしながら動いている。
「よおし、今行ってやるからな」
俺は他のものになんか目もくれず、ただ目の前を舞う宝くじめがけて車道へ飛び出す。
………………その直後だった。
ぷうぅぅぅぅぅぅぅ、ぷ、ぷぷううぅぅぅーーーー。
晴天のもと、無常に鳴り響くクラクションの音。
「……………………………………………………うそだ」
蝉の声がうっとおしいほどに聞こえる今日、八月一日。俺の人生の幕は閉じた。
いてぇ。まるで頭の中をピンポン玉が何回もはねているかのような感覚だ。それに足も手も胸も、体中のいたるところが痛い。
もうそれしか考えられないほどにやばい。
声もでない。体のどこも動かせない。
だ、誰か助けてくれ。
それからどれくらいの時が経っただろうかわからない。
ただ声がした。だがよく聞き取れない。
「…………ぉx……………………ぉぉい」
また声がした。今度は少しわかるようになってきた。
ああ、ずいぶん楽になってきたなぁ。
「おおいってば。まだ聞こえないの?」
「い、 いや、聞こえてる」
声が出る。
さっきまでの間隔がうそのようだった。
まるで声帯をそっくりそのまま抜き取られたかのような、あの感じは二度と体験できないだろうよ。
「こ、ここは」
まだかすみかすみの目で周りを見る。
自分の周り以外は白い霧のようなもので包まれていて、目を細めてじっと見てみても何も見えない。
「ここは冥界に行く前の選択の間。あなたのこれからの運命を決める場所よ」
日本人離れしたきれいな赤い髪。モデル体型と言えるほどすらりとしたルックスの少女はそう告げた。年は高校生くらいで、顔だちはかなりいい。
ようは俺とは無縁なやつってことだな。
「そ、そうだ! 俺は確か宝くじを追って………………」
「トラックにはねられたのよ」
俺はさらっと出てきたその一言に、思わずつばを飲んだ。
そしてじっと少女を見つめる。
悪気のない純粋無垢なような表情だ。
真実を告げているのか、それとも嘘がうまいのか。まったく判断がつかない。
「う、うそだろ!? だって俺は生きてる。今生きてるじゃないか!」
「そうね。だってこれから死後の世界に行くのだから」
「………………………………は、はぁ」
や、やべえまったく言ってることがわからん。
いつもなら子供の戯言と流したいところだが今はそうは言えなかった。
理由は単純明快。ひかれたことをなんとなく覚えていること。
そしてこの不思議な空間は現実のものとは思えないこと。
俺はとりあえず、この少女の話を逆らわず聞いてみることにした。
「俺はこれからどうなる?」
「最近、あなたの世界でいう宝くじに関して少々よくない噂が絶えない世界がありまして。あなたにはそこの世界の調査に向かってもらいたいのです」
「どうして俺が?」
「宝くじ好きで最初に死んだ若い人があなただったからです」
む、むむっ。
俺は胸の底から沸き起こる怒りの感情を必死に抑える。
「ほ、ほう。ま、なあ宝くじのことなら俺に任せとけ。なんせ前の世界では億万長者だったからな」
「当選歴についてこちらはすべて把握しておりますが」
「そ、それはすまんかった。本当に俺でいいのか?」
「はい、何せ変わりはいっぱいいますもの」
くっ、どうしてだ。無性に殴りたいという気持ちが。
「このままでいるといつか殴られてしまうかもなので、あなたを異世界に飛ばしますね」
「はっ!? ちょっと待て、せめてだなその世界の話につい―――――ふぁ!?」
突如俺の体は宙に浮いた。
俺はバランスがとれず手足をじたばたさせる。
「それではよい旅を」
「ちょっとまてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー」
その後、少女の姿が見えなくなるのに時間はかからなかった。
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