どうしても宝くじ高額当選したいから異世界行っても宝くじを買い続ける

たろたろぬ

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一章

異世界にきても宝くじ

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「………………………………………………さい」
「にゅむしゃい」

 ぼんやりと聞こえてくる声。
 俺はまだ寝てたいと思う気持ち抑えられず寝返りを打つ。
 そんな俺の態度にカチンときたのか……

「はよ起きんかい!!」
「あたっ!?」

 突如聞こえてきた低い声の直後、俺の体はふかふかなベッドから硬い床に落とされた。
 それも思いっきり蹴飛ばされてだ。正直言って落ちた衝撃よりも蹴飛ばされたダメージの方が大きい。

「痛ええぇぇな、こんちくしょう!!」

 俺は頭をかきながら、堂々とベッドの上にたたずむ見知らぬ暴力女をにらみつける。

「いつまでも寝てるのが悪いのです。もうお昼過ぎですよ」

 冷静な機械のような声が淡々とそう告げる。 

「時計を、時計を見せてくれ」

 俺は右手で机の上にいつもおいてある時計をとろうとする。
 ん? おかしい。そもそも机がない。
 ベッドと机の距離を考えれば手に届く距離にあると思うのだが………………えっ、

「て、ここどこだああぁぁぁぁぁぁーーーーーーー」


 思わず上げた俺の奇声はおそらく相当なものだったはずだ。
 真っ白い壁に包まれた部屋。なんというか現代のかけらを全く感じさせない。テレビもないし何より俺が必死にレイアウトをつくった風水だとかがすべてなくなっている。
 なんというかこの部屋には全く物がない。

「今頃ですか、遅いですね。ここはもう異世界。そしてここはあなたがネクロマンサー様より命じられた任務を達成するための拠点です」

 その一言に俺の頭は一瞬真っ白になった。
 確か俺が買い物にでたのは火曜日だ。そして今ちゅんちゅん鳴いている何かの鳥から推測するに今は朝に違いない。

 つか、ちょっと待てよ。なんだよ………………………異世界って。
 異世界、異世界ってことはだ。
 それじゃあ、それじゃあ……………………………


「今日のミニ○トの抽選結果はどうなるんだああぁぁぁぁぁぁぁぁーーー」

 再び部屋に盛大な爆音が響き渡る。
 本来の俺の部屋なら確実に苦情のノックが数回行われたに違いない。

「言っとくがな、今回のミニ○トは違う。いいか、常に777円しか入れていない財布の中に入れ続け、さらには運気の上がる壺を購入して迎えたミニ○トだったんだ。俺に、俺に当選結果をよこせええぇぇぇぇぇーーーーーーー」
「外れてましたよ」
「な、なんだと?」
「外れていたと言ったんです」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」

 どたっ。
 俺は体中の力がすぅっと抜け、地面に倒れこむ。
 
「どうかしましたか。お腹でも空いたのですか」

 見知らぬ少女の声。だがそんなものなど今の俺には入ってこない。
 あ、頭が真っ白になって何も考えられない。
 おかしい。おかしい。おかしい。

「……………………………………いいか。お前に教えてやる」
「はい?」
「宝くじにおいてもっともしてはいけない禁忌。それはな」

 俺はまるですべての骨がなくなったかのようにぐにゃっと、人形のように立ち上がる。
 そして見知らぬ少女をじっと笑顔でみつめたのち、



「人さまの宝くじの当選結果を先に見て、それを教えることだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー」

 はぁはぁ、と俺は呼吸を乱す。

「ほうほう、それは勉強になります。宝くじというものは、他人に結果を先に教えられるといやなものなのですね」
「そうだ。それと怒鳴って悪かった。悪気があってのことじゃないんだよな」
「はい、私には宝くじの知識があまりありません」
「そうなのか、つか自己紹介がまだだったな。俺は直江新太郎。高額当選を夢見る26歳だ」
「私はネクロマンサー様の使いでこのスカンプティシア大陸の秩序を守ることを仰せつかった、アルク・マルク・ド・コルシアーヌ・ベルア……………………………」

 いつまでも続くよくわからない文字群。
 さすがの俺もこれにはしびれを切らし割って入る。

「なんです? まだ自己紹介の途中ですよ?」
「あれが名前!? 長いわ! 普段はなんて呼ばれてるんだ?」
「ネクロマンサー様には犬と呼ばれております」
「ああそうか。じゃあ俺も犬と呼ばせてもらおう」
「それはやめてください。あなたみたいな下賤な民にそのように呼ばれたくはありません」
「下賤だと!? どこが下賤だというんだ」
「ネクロマンサー様以外は下賤な民です」
「ああはいはい。じゃあその下賤な民にはなんて呼ばれてるんだよ」
「神」

 犬(自称神)は少し誇らしげにそう言い放った。
 まあここで納得して神と呼べばいいわけなのだが、さすがにそれは俺のプライドが許さん。
 おっとそういえばこいつの特徴を言うのを忘れていたな。
 
 きれいな美しい青髪は腰ほどまで伸びていて、よく手入れも行き届いている。少々幼い顔で身長は135ほど。ちなみに胸はない。顔だちはそこそこいい。強調するが、そこそこだ。

「神はさすがに呼びづらい。そうださっき言ってた名前を短くしてマドコ。これはどうだ」
「ほう、新太郎にしては良い名を考えたものですね」
「マドコ気に入ってもらったようでなによりだよ」
「マドコ。これは私が昔担当した世界では神を統べる統帥者という意味で用いられていました。まったく、新太郎もいきな計らいをするものですね」

 
 えっ、そうなの? 普通にマルク・ド・コルシ何とか。略してマドコって言っただけなのだが。ま、まあいいか。
 つかいきなり名前呼び捨てかよ。

「そうだマドコ。さっきから言ってるネクロマンサー様? っていうのは?」
「あなたが先ほど会ってきたお方です」
「あいつか!?」

 ぼんやりとした記憶だが確か俺を宙に浮かしてバイバイしてたやつだよな!?
 なんか微妙にあいつに殺意がわいてきそうなのだが……。

「てか待てよ。なんで俺は異世界にいるんだ」
 
 あー。なんかあのネクロ(ネクロマンサーの略)が説明してた気がするけど思い出せん。きっとさっきベッドから落とされたからだ。
 そんな痛いことを思い出し、俺はぎろっとマドコをにらみつける。

「あなたはこの世界の大陸宝くじの調査をするために選ばれたのです」

 俺が睨んでいることなどまったく気にもとめていないマドコ。

「あーそういえばそんなことをネクロも言ってたな」


 うっすらだがそんなことあった程度には思い出してきたぞ。


「十年前のことです。私はこの世界に秩序安定のために派遣されたのですが、五年ほど前でしょうか大陸宝くじが発売されたのです」
「大陸宝くじ、ねえ。でそれはどんな代物なんだい?」 
「まあ実際に見てもらうのが早いと思います。今から出かけますよ」

 俺はマドコの後ろについていき、外への扉を通り抜けた。
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