血染めの復讐劇

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最終話 知る。

虚しさを胸に、

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「…何じゃ、今更後悔しとるのかえ?」

涙を流す彼女を見て、綴は呆れたようにため息混じりで言葉を漏らす。
彼女は、流れる涙を拭った。何度も何度も、

「…これで、良かった筈なのに…、憎かった筈なのに、あんなにも殺してやりたいって、思ってたのに…っ、終わってからずっと…、楽しかった時の思い出とか…っ、そういうのばっかり思い出して…、!」

そう。復讐を終えた彼女の心は晴れるどころか、虚しさだけが募り、涙が溢れて止まらなくなっていた。

「…人間とは何と脆い事か…、」

大きなため息一つついては、再び呆れる。
これで何度呆れたやら。数えるつもりはないけれど、ついそう言ってしまいまくなるほど綴は呆れた様な気がしていた。

しかし、綴は彼女に何もしない。
ただ彼女が泣いているのを眺めているだけだった。

彼女は拭っても拭いきれぬと悟ったか、顔を手で覆い肩を震わせながら声を漏らさぬよう静かに泣いた。
まるで自分が泣いていることを、世界中の誰にも気取られたくないと言わんばかりに。

きっと彼女は気付いているのだろう。
己が望み、己の手で殺めた。
その事実は曲げられないもので、その者達を思い泣く資格など自分には無い事を。
それでも、涙は止まらない。

全てを自ら捨て去った代償に彼女は、自分の望む結果を手に入れた。
もう戻る道など消え去り、進む道さえ失った。
彼女に出来ることはもう何も無いのだ。
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