とある男に惚れた女の末路

エピローグ

「どうした？」


俺に話しかけてくるのは長くらいだと思い、顔をあげた。


「別に…んでもねぇーけど。」


今となっては山田美奈として現れた長に殺された怒りなどなかった。
それはきっと長も同じだろう。
長の顔には、俺への敵対心がなくなったように思う。


「そういえば、今更なんだがハルがこの村の人々を殺した理由を知ってるか？」

「まあ、手紙に書いてあったからな。」

「へぇ…って誰からの手紙だ!?」

「長の可愛い可愛い妹さんからですよ。」

「あー…だからあいつ、ミナがいなくなった後もいたんだな…。」

「長の妹って、意外と頭いいですよね。預言者の能力でも持ってたんじゃないですか？」

「だろうな。ミナならそのくらいの能力を持っていても不思議じゃない。」

「そういう特別な能力って、誰が授かるとか決まってるんですか？」

「成長しない死者が持っていることが多いな。心残りのない死者が持つらしい。」

「確かに、ミナは幼かったですね。」


ちょうどその時、目の前に幼いハルが現れた。
きっといい天気だから虫取りにでも来たんだろう。


「お兄さんたち、誰？」


長と俺は顔を見合わせて笑った後、それぞれ自分が誰なのかを言った。


「殺人者。」
「未来のお前。」