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第二章 ゲーム開始
048 公爵令嬢のメイド、感心する
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大聖堂に到着した一行が、さっそくお祈りのための聖壇に行こうとすると、鈴の鳴るような声が止めた。
「皆様、お待ち下さい! まずは聖水で手を清めなければ!」
見るとミュリエルが真面目な顔で、聖水の湧き出ている手水鉢を指さす。
その手水鉢は花を象っていて、花びらと花びらの間の凹んだ箇所から水が流れ落ちるようにできている。
聖堂では、その流れ落ちた水で手を浄めてから、祈りを捧げるのが正式な作法とされていた。
「お祈りは手と手を合わせて行います。その合わせた手の中から私たちの思いが精霊様に届き、願いをかなえてくださると聞きます。そのため、お祈りの前には必ず手を浄めなければいけません!」
真剣そのもののミュリエルに、一同「は、はい」と手水鉢に行き、順番に手を洗った。
その様子に満足げに頷くミュリエルに、フィルバートが来て囁く。
「お前、結構細かいな」
「何ですって! フィルバート先輩こそ、精霊様への敬意が薄いですよ!」
ピシ! と言い返すミュリエルにフィルバートが怯んだ。
「おおー」
「言うねえ」
アーネストやメルヴィンが、しっかりと意見を言うミュリエルに感心する。
「勿論! 私だって、言うときは言います!」
「ミュリエルは、普段は優しいけど、芯はしっかりしているんですよね」
エルシーが言い添えた。
手を浄め終わった者から順番に聖壇へ行き、祈りを捧げる。
ミュリエル以外は付き添いでやってきただけなので、祈りの時間も短めだ。
メリーローズが見ていると、その中でアルフレッドは皆より少し長めに祈りを捧げていた。
(アルたんは、王位継承権第二位という立場ですものね。『奇跡のバラ』に願いを託すほどの重大な何かをお願いしているのね)
女王の病気は、王家のごく近しい側近の者しか知らない極秘事項である。
ゲームの知識があるとはいえメリーローズも知らないほどの極秘事項(単に菜摘が忘れただけだが)は、多分兄のメルヴィンも何も聞かされていないだろう。
(アルたん……、あんな細い肩に重責を背負っているなんて。なのに、いつも明るい笑顔でふるまって……ううっ)
アルフレッドの健気な祈りの姿に、涙をぬぐうメリーローズを見て、メルヴィンが驚いた。
(メリー、アルフレッドが祈っている姿に涙するとは……そんなに彼が好きなのか。そうか、うんうん)
斜め上方向に勘違いする。
(アルたん、苦しいときはお兄様に相談するのよ。きっと優しく抱きしめてくれるわ。お兄様でなければ、フィルフィルでもアネアネでも……ぐふふ)
その頭上に邪気が噴き出ているのを見て、シルヴィアだけがメリーローズの心の内を見抜いていた。
(しかし、お嬢様の頭からこんなに邪気が噴き出ているのを見るのは、久しぶりだな)
別に執筆活動を自粛しているわけではない。
寮の自室では、彼女は相も変わらず「今日のアルたんのダーリンは、誰にしようかなー」とかふざけたことを言いながら、毎日ニヤニヤとデスクに向かっている。
(もしかして、学院に漂う邪気のせいで、お嬢様の邪気が相対的に薄く感じるのだろうか?)
いやしかし、と考え直した。
(学院内の邪気も、薄まっていた。違うか)
生徒会メンバーたちに対する警戒感を少し緩めたシルヴィアだったが、やはり周囲の環境の変化は気になるところである。
「皆様、お待ち下さい! まずは聖水で手を清めなければ!」
見るとミュリエルが真面目な顔で、聖水の湧き出ている手水鉢を指さす。
その手水鉢は花を象っていて、花びらと花びらの間の凹んだ箇所から水が流れ落ちるようにできている。
聖堂では、その流れ落ちた水で手を浄めてから、祈りを捧げるのが正式な作法とされていた。
「お祈りは手と手を合わせて行います。その合わせた手の中から私たちの思いが精霊様に届き、願いをかなえてくださると聞きます。そのため、お祈りの前には必ず手を浄めなければいけません!」
真剣そのもののミュリエルに、一同「は、はい」と手水鉢に行き、順番に手を洗った。
その様子に満足げに頷くミュリエルに、フィルバートが来て囁く。
「お前、結構細かいな」
「何ですって! フィルバート先輩こそ、精霊様への敬意が薄いですよ!」
ピシ! と言い返すミュリエルにフィルバートが怯んだ。
「おおー」
「言うねえ」
アーネストやメルヴィンが、しっかりと意見を言うミュリエルに感心する。
「勿論! 私だって、言うときは言います!」
「ミュリエルは、普段は優しいけど、芯はしっかりしているんですよね」
エルシーが言い添えた。
手を浄め終わった者から順番に聖壇へ行き、祈りを捧げる。
ミュリエル以外は付き添いでやってきただけなので、祈りの時間も短めだ。
メリーローズが見ていると、その中でアルフレッドは皆より少し長めに祈りを捧げていた。
(アルたんは、王位継承権第二位という立場ですものね。『奇跡のバラ』に願いを託すほどの重大な何かをお願いしているのね)
女王の病気は、王家のごく近しい側近の者しか知らない極秘事項である。
ゲームの知識があるとはいえメリーローズも知らないほどの極秘事項(単に菜摘が忘れただけだが)は、多分兄のメルヴィンも何も聞かされていないだろう。
(アルたん……、あんな細い肩に重責を背負っているなんて。なのに、いつも明るい笑顔でふるまって……ううっ)
アルフレッドの健気な祈りの姿に、涙をぬぐうメリーローズを見て、メルヴィンが驚いた。
(メリー、アルフレッドが祈っている姿に涙するとは……そんなに彼が好きなのか。そうか、うんうん)
斜め上方向に勘違いする。
(アルたん、苦しいときはお兄様に相談するのよ。きっと優しく抱きしめてくれるわ。お兄様でなければ、フィルフィルでもアネアネでも……ぐふふ)
その頭上に邪気が噴き出ているのを見て、シルヴィアだけがメリーローズの心の内を見抜いていた。
(しかし、お嬢様の頭からこんなに邪気が噴き出ているのを見るのは、久しぶりだな)
別に執筆活動を自粛しているわけではない。
寮の自室では、彼女は相も変わらず「今日のアルたんのダーリンは、誰にしようかなー」とかふざけたことを言いながら、毎日ニヤニヤとデスクに向かっている。
(もしかして、学院に漂う邪気のせいで、お嬢様の邪気が相対的に薄く感じるのだろうか?)
いやしかし、と考え直した。
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