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第三章 BL小説の存在、世に知られる
071-2
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真っ赤な顔でモジモジしながら、メリーローズはベッドに腰をかけた。
「お嬢様、言葉は正確に。お嬢様がアルフレッド殿下のファーストキスを奪ったのではなく、アルフレッド殿下がお嬢様のファーストキスを奪ったのです」
「でも……」
「はい、落ち着いて思い出してください」
メリーローズの目の前で、シルヴィアの手がパン! と鳴る。
眼を瞬かせたメリーローズに、シルヴィアがゆっくりと語りかけた。
「ちゃんとそのときの状況を把握してみていただけますか。キスはお嬢様からではなく、アルフレッド殿下からされたのではありませんか?」
「…………そ、そうね。そうだったわ」
「その、……乱暴に奪われたわけでは、ありませんね?」
シルヴィアが一番気になっているところである。
「乱暴……では、なかったと思うわ」
メリーローズはあのときのことを、思い出してみた。
湖でアルフレッドが溺れたことで、もし彼が死んでしまったらと想像したら涙が止まらなくなり、そしてそれを慰めるように抱きしめられ、口づけられた……
「乱暴ではなかったけど、なんというか……情熱的でしたわ」
真っ赤になって両手で顔を隠すメリーローズに、シルヴィアは自分の計画が思った以上に上首尾だったことを確信した。
(この恥じらいの仕草、今まで見たことがないような乙女らしさ。もしかしたら、初めてBLの対象ではなく、アルフレッド殿下に恋情を感じたのではないか?)
期待に胸を躍らせるシルヴィアは、話の続きを急かした。
「そ、それでアルフレッド殿下はどんなご様子でしたか? そしてお嬢様はどう思われましたか?」
「えー? そうね……。アルフレッド様は、思っていた以上に男らしい方だな……って」
「男らしい! ほほう!」
いい傾向だ。
今まで「アルたん」と呼んでいたのに、今は「アルフレッド様」になっている。
それに「受」として愛でてきた彼に、男らしさを感じたとは!
(このまま、アルフレッド殿下を男性として見ることが続けば、それは恋心となり、未来の王子妃としての意識が……)
「ああ! 今すぐBLを書きたい!」
「…………へ?」
シルヴィアは、メリーローズの言葉が一瞬理解できなかった。
「今……えーっと、何と仰って……?」
「だから、BLを書きたいのよ! だって、アルたんの腕や胸や、それに唇の感触まで実地で味わってしまったのよ! これを小説に反映させない手はないわ!」
「……そっち?」
「そっちって、どっちよ?」
「いやその……アルフレッド殿下に、男性らしさを感じたのでしょう?」
「ええ! そうよ!」
「自分の婚約者として、恋人として、見ることはできませんかね?」
シルヴィアの目の前で、ピンと立てた人差し指を左右に振ると、得意げな顔でメリーローズは答える。
「ええ! 今まで以上に男らしさと美しさを兼ね備えた、完璧な受としてアルたんを描くことができるわ!」
これにはさすがのシルヴィアも、がっくりと膝をつく。
(なんてこと……! わたくしの思惑が、全部裏目に……)
なんという頑強なBL砦。
その守りの強さの前に、シルヴィア将軍は撤退を余儀なくされた。
(くっ……。諦めません、諦めたらそこでランズダウン家は終了です……!)
拳を握り決意を新たにするシルヴィアには、そっと頬を染めたメリーローズの呟きは届いていなかった。
「アルフレッド様の唇……温かくて、優しかった……」
「お嬢様、言葉は正確に。お嬢様がアルフレッド殿下のファーストキスを奪ったのではなく、アルフレッド殿下がお嬢様のファーストキスを奪ったのです」
「でも……」
「はい、落ち着いて思い出してください」
メリーローズの目の前で、シルヴィアの手がパン! と鳴る。
眼を瞬かせたメリーローズに、シルヴィアがゆっくりと語りかけた。
「ちゃんとそのときの状況を把握してみていただけますか。キスはお嬢様からではなく、アルフレッド殿下からされたのではありませんか?」
「…………そ、そうね。そうだったわ」
「その、……乱暴に奪われたわけでは、ありませんね?」
シルヴィアが一番気になっているところである。
「乱暴……では、なかったと思うわ」
メリーローズはあのときのことを、思い出してみた。
湖でアルフレッドが溺れたことで、もし彼が死んでしまったらと想像したら涙が止まらなくなり、そしてそれを慰めるように抱きしめられ、口づけられた……
「乱暴ではなかったけど、なんというか……情熱的でしたわ」
真っ赤になって両手で顔を隠すメリーローズに、シルヴィアは自分の計画が思った以上に上首尾だったことを確信した。
(この恥じらいの仕草、今まで見たことがないような乙女らしさ。もしかしたら、初めてBLの対象ではなく、アルフレッド殿下に恋情を感じたのではないか?)
期待に胸を躍らせるシルヴィアは、話の続きを急かした。
「そ、それでアルフレッド殿下はどんなご様子でしたか? そしてお嬢様はどう思われましたか?」
「えー? そうね……。アルフレッド様は、思っていた以上に男らしい方だな……って」
「男らしい! ほほう!」
いい傾向だ。
今まで「アルたん」と呼んでいたのに、今は「アルフレッド様」になっている。
それに「受」として愛でてきた彼に、男らしさを感じたとは!
(このまま、アルフレッド殿下を男性として見ることが続けば、それは恋心となり、未来の王子妃としての意識が……)
「ああ! 今すぐBLを書きたい!」
「…………へ?」
シルヴィアは、メリーローズの言葉が一瞬理解できなかった。
「今……えーっと、何と仰って……?」
「だから、BLを書きたいのよ! だって、アルたんの腕や胸や、それに唇の感触まで実地で味わってしまったのよ! これを小説に反映させない手はないわ!」
「……そっち?」
「そっちって、どっちよ?」
「いやその……アルフレッド殿下に、男性らしさを感じたのでしょう?」
「ええ! そうよ!」
「自分の婚約者として、恋人として、見ることはできませんかね?」
シルヴィアの目の前で、ピンと立てた人差し指を左右に振ると、得意げな顔でメリーローズは答える。
「ええ! 今まで以上に男らしさと美しさを兼ね備えた、完璧な受としてアルたんを描くことができるわ!」
これにはさすがのシルヴィアも、がっくりと膝をつく。
(なんてこと……! わたくしの思惑が、全部裏目に……)
なんという頑強なBL砦。
その守りの強さの前に、シルヴィア将軍は撤退を余儀なくされた。
(くっ……。諦めません、諦めたらそこでランズダウン家は終了です……!)
拳を握り決意を新たにするシルヴィアには、そっと頬を染めたメリーローズの呟きは届いていなかった。
「アルフレッド様の唇……温かくて、優しかった……」
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