悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

097 公爵令嬢のメイド、説明する

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「え? 弟さんがいたの?」

「はい、驚きました。 彼が『大精霊教』に傾倒していたなんて、一度だって聞いたことがございませんでしたのに」

 偵察から戻ってきたシルヴィアを、皆が囲んで何があったのか問い質したことへの答えだった。

「やけにあのとき驚いていると思ったら、まさかあの場に弟君がいたなんてな」

 しみじみと頷くメルヴィンに、メリーローズが突っ込む。

「お兄様は驚いている表情は見えていらっしゃいませんよね? 驚いているって言ったのは、アデレイドでしたわよね?」

「アデレイドが実況してくれたので、あのときシルヴィアが何かに驚いていたことは、ここにいる全員で情報共有されていた、ということだ」

(いや、わたくしが驚いていた程度のことを、そこまで大袈裟に言わなくても……)

 益々メルヴィンを鬱陶うっとうしく感じるシルヴィアであった。

「しかし、弟さんがいたからといって、急に逃げて来なくてもよかったんじゃないか? 見つかりそうにでもなったの?」

 アルフレッドの質問に、シルヴィアはあのときの情景を思い出して、総毛立つような感覚を覚える。

「どうしたの? 顔色が悪いわ」

 心配するメリーローズに、シルヴィアは静かに頷く。

「一人、ものすごい魔力を持つ男がいました。……一見男性に見えないくらい、背が低くて痩身の男だったのですが」

「例の、三つ編みの男か」

「そこまで見えておられましたか」

「ええ、お兄様じゃなくてアデレイドがね」

 軽口はそこまでで、アルフレッドがシルヴィアにもう一度確認する。

「大聖堂が派遣してきた男に、ものすごい魔力があった……というのは、本当か?」

「はい。間違いございません。……わたくしは今まで会った中で、彼以上に魔力の強い人間を知りません。魔力量ではわたくしの曾祖母以上かも。魔力を持つもの同士は、磁石がくっつこうとするように、引力を感じるのです」

「ええー? わたくしは魔力がありますけど、他の方に魔力とか感じたことはありませんよー?」

「それは多分……アデレイド嬢の魔力が、そこまで強くはないからですよ」

 アデレイドが「なんだー、わたくしの魔力は弱いんですね」とブツブツいじけている横で、アーネストが眉間にしわを寄せた。

「……ということは、それを察知出来るシルヴィア嬢も魔力が強い。つまり、その男に察知された可能性があるということでしょうか?」

「……はい」

 震えながら答えたシルヴィアに、皆の間にも緊張感が走る。
 そこにフェリクスとランドルフが、生徒会室に連れだってやってきた。

「魔力を否定する大聖堂の子飼いに、強い魔力を持つ男がいる……とは、剣呑な話だな」

 ツーショットでやってきた二人に、メリーローズが瞳をキラつかせて、シルヴィアから「こんなときに!」とコッソリどつかれる。
 しかし、おかげでシルヴィアの緊張が少し和らいだ。

「フェリクス殿下とソーントン先生がいらしたところで、わたくしが見たものを、再度ご説明いたします」
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