悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

096 公爵令嬢のメイド、逃げる

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 自分より視力のいいアルフレッドに望遠鏡を渡し、メルヴィンが隣から尋ねた。

「どんな様子だ?」

「うーん。……例の小柄な人が、他の人から何か受け取って、広場の入り口近くにある木の枝に差し込んでるようだ。……あ、今度は噴水の横の花壇に何かしている」

 聞いているとムズムズするらしく、メルヴィンが「やっぱり貸して」と望遠鏡を奪う。

「うん、確かに何かしている。が、何をしているのか、さっぱりわからん!」

「お兄様、ここは視力のいいアデレイドに見てもらった方が」

 渋々またアデレイドに望遠鏡を渡す。

「わー! 今度はヒバリが飛んでいます!」

「やっぱり、返して」

「あ、シルヴィアさんが到着しました」

「どれどれ」

 アデレイドから望遠鏡を奪うように受け取り、メルヴィンが覗き込んだ。

「ん? どこだ?」

「広場の手前の、植込みの所です。向こう側から見えないように、しゃがんでいます」

「いたぞ、見つけた。司教たちに隠れて、覗いているようだ。コソコソ隠れるのが、上手いぞ」

 メルヴィンの評価に、思い当たる節があるメリーローズが、つい、と目線を逸らす。

「なんだ? 様子が変だな」

「司教たちの様子がか?」

 アーネストの質問に、メルヴィンが首を横に振った。

「いや、シルヴィアだ。一度、司教たちの方をうかがった後、急にこちらを向いて、口を手で塞いだまま動かない」

「表情は見えませんの?」

「俺の視力じゃ、そこまでは見えん」

「ということは、アデレイドの出番ね」

 望遠鏡を渡されたアデレイドが叫ぶ。

「わー、スズメが……」

  皆まで言わせず、メリーローズが望遠鏡の角度を下げた。

「シルヴィアさんが見えました。何だかすごく、驚いた顔をしています!」

「驚いた顔?」

「あ、植込みから移動しました。司教さんたちから、離れていきます」

 アデレイドの実況に、その場にいた皆が顔を見合わせた。
 ちなみに、このとき生徒会室にはミュリエル、ヘザー、エルシーはいない。
 ミュリエルが学長からのお達しで、部屋に待機しているようにと言われていたのだ。

「一体、どうしたんだ?」



 そのときのシルヴィアは衝撃と危機感で、その場を離れるのが精いっぱいという状況であった。

(なぜ、彼が……? それに、あの男は、誰だ?)

 珍しく背中に冷や汗が流れるのを、シルヴィアは感じていた。
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