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第三章 BL小説の存在、世に知られる
103 公爵令嬢のメイドの弟と、魔力持ちの謎の男
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ミュリエルが顔を上げ、大司教とその連れに顔を向けた瞬間、異変が起きた。
大司教は特に変化はなかったが、シルヴィアの弟のロナルド、ロナルドの横の背の低い魔力持ちの男、そしてもう一人の男(四人分の荷物を持っていたので、荷物持ちとして駆り出されたようだ)、その三人の視線がうっとりとミュリエルに釘付けになったのである。
「……あ?」
思わず、シルヴィアの声が漏れた。
(魅了、されちゃった……!)
メリーローズも息を飲んだ。
そして鏡の向こうでは、空気を読まない一言が学長から発せられる。
『これ、ミュリエル・ルーカン。黙っていないで、大司教様にご挨拶しなさい』
『はい。……聖女候補のミュリエル・ルーカンです。よろしくお願いいたします……』
『ああ、よろし……』
『よろしくお願いしまっす!』
大司教に割り込んだのは、ロナルドの声だ。それに魔術師の男も続く。
『よ、よろしくおっおっお願……。ぜっぜひ……ぜひ……』
なにやら必死な様子である。
さらに荷物持ちの男も、左目を痙攣させながら、ミュリエルにアピールしてきた(もしかしたら、ウインクのつもりなのかも知れない)。
『お、お前たち、どうしたというんだ?』
大司教が慌てて、声をひっくり返しながら叫んだ。
こうなってくると『魅了』ボイスも台無しである。
『コ、コホン! では、校内を見回りましょうか? 聖女候補殿』
『はい。ご案内いたします……』
まだ術が掛かっているミュリエル、「なんだか変な調子だな」と首を捻る学長、体裁を取り繕った大司教、ミュリエルにデレデレする三人組と、妙な一行が学内を歩き回った。
普段であれば二時間目の授業の時間帯であるが、この日は前の週から急に臨時休講のお達しが出ている。
勿論、ミュリエルが起こす奇跡を、できるだけ多くの学生に目撃させるためだ。
「しまった! 移動しだすと、彼らを捕まえるのが難しくなるぞ!」
フィルバートがオロオロと動き回るのを、アルフレッドが宥める。
「とりあえず、彼らが噴水の広場に行くことは確定しているのだから、そこで待とう」
憔悴した表情を隠せないものの、フィルバートはその言葉に従うことにし、皆も一緒に広場へ向かった。
鏡を布に包んで持ち、シルヴィアは皆の後ろを付いていく。
歩きながら、眉を顰めていた。
(昨日考えていたプランに、余計なオプションがついてしまった。ミュリエル嬢に惹かれる男が三人も! しかもそのうち一人はうちの弟で、一人は強力な魔法持ちとは……。これは事態がどう転ぶか、見極めて動かないと)
大司教は特に変化はなかったが、シルヴィアの弟のロナルド、ロナルドの横の背の低い魔力持ちの男、そしてもう一人の男(四人分の荷物を持っていたので、荷物持ちとして駆り出されたようだ)、その三人の視線がうっとりとミュリエルに釘付けになったのである。
「……あ?」
思わず、シルヴィアの声が漏れた。
(魅了、されちゃった……!)
メリーローズも息を飲んだ。
そして鏡の向こうでは、空気を読まない一言が学長から発せられる。
『これ、ミュリエル・ルーカン。黙っていないで、大司教様にご挨拶しなさい』
『はい。……聖女候補のミュリエル・ルーカンです。よろしくお願いいたします……』
『ああ、よろし……』
『よろしくお願いしまっす!』
大司教に割り込んだのは、ロナルドの声だ。それに魔術師の男も続く。
『よ、よろしくおっおっお願……。ぜっぜひ……ぜひ……』
なにやら必死な様子である。
さらに荷物持ちの男も、左目を痙攣させながら、ミュリエルにアピールしてきた(もしかしたら、ウインクのつもりなのかも知れない)。
『お、お前たち、どうしたというんだ?』
大司教が慌てて、声をひっくり返しながら叫んだ。
こうなってくると『魅了』ボイスも台無しである。
『コ、コホン! では、校内を見回りましょうか? 聖女候補殿』
『はい。ご案内いたします……』
まだ術が掛かっているミュリエル、「なんだか変な調子だな」と首を捻る学長、体裁を取り繕った大司教、ミュリエルにデレデレする三人組と、妙な一行が学内を歩き回った。
普段であれば二時間目の授業の時間帯であるが、この日は前の週から急に臨時休講のお達しが出ている。
勿論、ミュリエルが起こす奇跡を、できるだけ多くの学生に目撃させるためだ。
「しまった! 移動しだすと、彼らを捕まえるのが難しくなるぞ!」
フィルバートがオロオロと動き回るのを、アルフレッドが宥める。
「とりあえず、彼らが噴水の広場に行くことは確定しているのだから、そこで待とう」
憔悴した表情を隠せないものの、フィルバートはその言葉に従うことにし、皆も一緒に広場へ向かった。
鏡を布に包んで持ち、シルヴィアは皆の後ろを付いていく。
歩きながら、眉を顰めていた。
(昨日考えていたプランに、余計なオプションがついてしまった。ミュリエル嬢に惹かれる男が三人も! しかもそのうち一人はうちの弟で、一人は強力な魔法持ちとは……。これは事態がどう転ぶか、見極めて動かないと)
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