悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

115-2

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 その、高等学院女子寮に隣接している庭では、数人の女子学生が連れだって歩いていた。
 メリーローズたち生徒会メンバー女子の面々である。

「あの植え込みで迷路を作ってある一画に、小さい郵便用の箱を隠してあるんです」

 ヘザーが指さした先は、迷路の中でも行き止まり近くにある場所である。
 慣れない新入生ならまだしも、迷路の構造に慣れた者ならわざわざ行き止まりには行かないので、ほとんど人が来ない場所だ。

(というか……そもそも貴族のお嬢様は、迷路で遊んだりはしないな)

 シルヴィアはいつだったか、メリーローズと迷路の中に隠れて相談していたとき、二人を見つけたアデレイドが無理やりやって来ようとしたときのことを思い出し、微苦笑していた。

 ヘザーが迷路の中に入り、改めて箱の中を確認したが、やはり手紙は無くなっていない。

「どう考えても、おかしいです。何も報告することがなくても、週に一度は必ず連絡を取るという決まりになっているのです。彼女の身に何かあったとしか、思えない……」

 あの騒ぎの直後から、ヴァイオラと接触が出来ていない……

 皆の頭の中には、学長や大司祭に、彼女が自分たちの間者であることを気づかれた、という最悪の事態しか思い浮かばなかった。

 * * *

 その頃、ヴァイオラ――になりすました大司教――とアンガスは、学院の門番と揉めていた。

「ですから、ブラックウェル女史をお通しすることができますが、その後ろにいる男を中に入れることはできません」

「なぜですか。わたくしがいいと言っているのです。早く彼を中に入れなさい」

「学長がご一緒なら、その言葉を聞くこともできますが、ブラックウェル女史のみではその権限はございません。身元を確認できない人物を通すわけには、いかないのです」

 この調子でもう十分ほどは言い争っていただろうか。

 大司教にとっては、アンガスをすぐ近くに置いておく必要があった。
 今現在ヴァイオラの体を乗っ取っているが、それは大司教の声に付与された『憑依』の魔術を行使しているからだ。
 その力を発揮するためには、魔力の源であるアンガスが、近くにいなければいけない。

「あの……」

 見かねたように、アンガスが大司教に声を掛けた。

「あの、俺が近くでなくても、この中くらいだったら、『目』か『耳』のどちらかは使えて、あとがちょっとニブくなります」

「……よくわからない。もう一度説明してみろ」

 どうにか聞き出した話によると、アンガスから離れると五感が弱くなるらしいが、視力か聴力のどちらかだけは、正常に働かせることができる……と言いたかったようである。
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