悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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最終章 BLよ、永遠なれ

163-2

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 * * *

 最後にウォルターの番となった。

「被告ウォルター・モリスン。そなたはどうして同性愛の本を販売したのかね?」

 数秒の沈黙の後、ウォルターは伏せていた目を上げ、ゆっくりと発言する。

「私自身が、同性愛者だからです」

 これには今まで以上に傍聴席がざわめいた。
 彼らの声には非難の色が滲み出ている。

 エメライン女王の表情は曇り、ヴィンセント王太子の眉がピクリと動く。

 メリーローズやシルヴィアも驚いたが、キンバリーやセルマの目も見開かれていた。
 きっと彼女たちも知らなかったのだろう。

 特にセルマの驚きは大きかった。
 妹でありながら、今の今まで兄の秘密に気がつかなかったのだ。

 運悪くウォルターの発言の直前に、大司教アンブローズ・リントンが遅れて入廷していた。

 彼は法廷で堂々と「同性愛者」と告白するウォルターに、嫌悪感で身体を震わせ、顔を紅潮させる。

「なんと! 恥知らずにもおのれを『同性愛者』と名乗ってはばからない、痴れ者が!」

「リントン大司教。遅れて来たうえに、許可を取らないままの発言は、控えてもらいたい」

 ヒューストンが諫めるが、大司教は怒りがおさまらないようだ。

「ヒューストンよ! これが発言せずにおられようか!」

 喚き散らす大司教に対し、ウォルターは静かに反論した。

「お言葉を返すようですが、大司教様。私は今まで、むしろ周りをはばかり続けながら生きて参りました。自分が同性愛者であることは、私の妹にさえも秘密にしておりました」

「それがどうしたというんだ! 破廉恥な同性愛者め!」

「大司教! 落ち着かれよ」

 再度ヒューストンが注意するが、まだ大司教は声をあげてウォルターをののしり続けている。

 屈辱的な言葉を投げつけられながら、ウォルターは静かに言い返した。

「破廉恥と言われましても、今まで同性の恋人を作ったこともなく、ただただ日陰の身として誰にも迷惑にならぬよう、ひっそりと暮らしておりました。それを罪だと仰るのですか?」

「同性愛は罪だ!」

「でも『生まれつき』のものなのです。先ほどランズダウン公爵令嬢が仰った通り、ただそのように生まれてきたというだけなのです。言ってみれば、大精霊が、私をそのようにお造りになったということだと思います。……それでも、罪なのですか?」

「『大精霊がそう造った』だと? なんと不遜な! 罪だ。お前の存在自体が罪だ!」

「そんな言い方って、ないわ!」

 我慢できず、メリーローズが反論する。

「静かに」

 ヒューストンが一言だけ放った。

「静かになんて、していられないわ! ねえ、お偉い大司教様。あなたも貴族の生まれたと聞いていますけど、親が貴族だから罪だって言われたらどう? 男に生まれたから罪だって裁かれたら、どう思うの?」

「同性愛は、罪だ! でなければ病気だ! 治療し、反省させなければいけない存在だ!」

「じゃあ、あなたも男を辞めなさいよ! 貴族の生まれを恥じて、治療なさいよ! そう言っているのと同じじゃない!」

「被告人メリーローズ・ランズダウン。『静かに』と言ったのが聞こえませんでしたか?」
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