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最終章 BLよ、永遠なれ
177-2
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「うーん、そうだな。……まず、ある程度家柄がよくないといけないな。俺と結婚する女性は将来公爵夫人になる。社交術や家内の切り盛り、領地経営の補佐など、こなさなければいけない仕事が多い。最初からすべて上手くこなせなくてもいいけれど、それらの仕事を理解して、こなせるように努力する気持ちを持っている人でなければ困る」
「なるほど。しかしミュリエル嬢くらい優秀な方ならば、例え平民出身でも、いずれ成長が見込めるのでは?」
「そりゃ、ミュリエル嬢くらい能力があればね。でもそんな子はそうそういないし、彼女はフィルバートの恋人だ」
「……確かに」
「ああ、それからやはり容姿端麗な方がいいな。それと……」
聞き流しながら、シルヴィアは(アーネスト様の理想のタイプに似ているな)と評した。
結局のところ、世の貴族男性が求める女性がそういうタイプなのだろう。
鼻白んだシルヴィアは、「はー」だの「へー」だの「ほー」だのと、いかにも気の入らない相槌を返した。
「それから、やっぱりメリーと仲良くやっていける女性じゃないと。これは必須だな」
(ふむ、そこは他の人とは違うのだな)
しかしシルヴィアとしても、メリーローズが気の合わない義姉とのつきあいで、実家に顔を出しにくくなるような事態は避けて欲しい。
「それは確かに、大事ですね」
そう笑って見せると、「そうだろう!」と嬉しそうに返す。
(無邪気が過ぎる……)
シルヴィアはついからかいたくなって、提案してみた。
「では、うってつけのご令嬢がいます」
「え? 誰だ、誰だ」
「ずばり、アデレイド様です!」
そう言った途端、メルヴィンが渋い表情になる。
失礼な奴だ。
「いけませんか? アデレイド様ならメリーローズ様を心から慕っておられますよ」
「いや、しかし、うーん……俺の好みからは、少し外れているというか……」
「先ほど挙げられた理想のタイプの条件はクリアしていると思いますが? 高位貴族出身、お顔も可愛らしいし、メリーローズ様のことが大好き。メルヴィン様や公爵様ご夫妻がお屋敷に軟禁されているとき、連絡をとるための式神を作る手伝いをアデレイド様がされたのですよ?」
「う……それは、聞いている。しかし……」
煮え切らない様子のメルヴィンに、イライラしたシルヴィアは彼から離れてしまった。
「アデレイド嬢も可愛らしいとは思うが、俺としては、そう、もっと大人っぽい女性の方が……あれ?」
「もう、いないよ?」
フェリクスに笑われて、メルヴィンは所在なさげに「ちぇ」と呟いた。
「わたくしからも、お一人提案いたしますわ」
メルヴィンに新たに声を掛けたのはミルドレッドだ。
彼女は「奇跡のバラ」を自分も見たいと主張し、同行している。
「へえ、誰だい?」
あまり期待していない様子で、一応メルヴィンが聞いてみる。
「身分が高く、容姿端麗。アデレイド嬢よりも大人っぽくて、頭脳明晰。そしてメリーローズ様を慕っておられる方」
「ええっ? いるのかい? そんな人が!」
「ええ、勿論! それは……アルフレッド殿下ですわ!」
今度こそ理想の女性を紹介してもらえるかと勢い込んだメルヴィンは、ワサワサと頭を掻きむしった。
「それこそ、メリーの小説じゃないか! 俺は女性がいいんだ!」
「まあ、つまらない」
くすくすと笑うミルドレッドを、メルヴィンは苦い表情で見る。
この少女は、少し前までの印象とはまるで別人のようだ。
父の政敵であるブロムリー公爵の一人娘。
成績優秀ではあるが、自分から人に話しかけるところなんて、ついぞ見たことがなかった。
それが今日は女子学生を先導して率いてきたと言うし、自分から「奇跡のバラ」を見に行きたいと女王に直訴するし、こうして自分をからかってきたりしている。
(そういえばこの子が女王に直訴したときに、メリーまでそれを陛下に後押ししたときは、驚いたな)
今までメリーローズとミルドレッドが仲良くしているところなど、見たことがない。
双方の父親が敵同士とはいえ、それを自分たちの関係にまで持ち込むことはなかったが、せいぜい顔を見れば挨拶くらいは交わす、程度のつきあいだったはずだ。
(どういう風の吹き回しだろう)
「なるほど。しかしミュリエル嬢くらい優秀な方ならば、例え平民出身でも、いずれ成長が見込めるのでは?」
「そりゃ、ミュリエル嬢くらい能力があればね。でもそんな子はそうそういないし、彼女はフィルバートの恋人だ」
「……確かに」
「ああ、それからやはり容姿端麗な方がいいな。それと……」
聞き流しながら、シルヴィアは(アーネスト様の理想のタイプに似ているな)と評した。
結局のところ、世の貴族男性が求める女性がそういうタイプなのだろう。
鼻白んだシルヴィアは、「はー」だの「へー」だの「ほー」だのと、いかにも気の入らない相槌を返した。
「それから、やっぱりメリーと仲良くやっていける女性じゃないと。これは必須だな」
(ふむ、そこは他の人とは違うのだな)
しかしシルヴィアとしても、メリーローズが気の合わない義姉とのつきあいで、実家に顔を出しにくくなるような事態は避けて欲しい。
「それは確かに、大事ですね」
そう笑って見せると、「そうだろう!」と嬉しそうに返す。
(無邪気が過ぎる……)
シルヴィアはついからかいたくなって、提案してみた。
「では、うってつけのご令嬢がいます」
「え? 誰だ、誰だ」
「ずばり、アデレイド様です!」
そう言った途端、メルヴィンが渋い表情になる。
失礼な奴だ。
「いけませんか? アデレイド様ならメリーローズ様を心から慕っておられますよ」
「いや、しかし、うーん……俺の好みからは、少し外れているというか……」
「先ほど挙げられた理想のタイプの条件はクリアしていると思いますが? 高位貴族出身、お顔も可愛らしいし、メリーローズ様のことが大好き。メルヴィン様や公爵様ご夫妻がお屋敷に軟禁されているとき、連絡をとるための式神を作る手伝いをアデレイド様がされたのですよ?」
「う……それは、聞いている。しかし……」
煮え切らない様子のメルヴィンに、イライラしたシルヴィアは彼から離れてしまった。
「アデレイド嬢も可愛らしいとは思うが、俺としては、そう、もっと大人っぽい女性の方が……あれ?」
「もう、いないよ?」
フェリクスに笑われて、メルヴィンは所在なさげに「ちぇ」と呟いた。
「わたくしからも、お一人提案いたしますわ」
メルヴィンに新たに声を掛けたのはミルドレッドだ。
彼女は「奇跡のバラ」を自分も見たいと主張し、同行している。
「へえ、誰だい?」
あまり期待していない様子で、一応メルヴィンが聞いてみる。
「身分が高く、容姿端麗。アデレイド嬢よりも大人っぽくて、頭脳明晰。そしてメリーローズ様を慕っておられる方」
「ええっ? いるのかい? そんな人が!」
「ええ、勿論! それは……アルフレッド殿下ですわ!」
今度こそ理想の女性を紹介してもらえるかと勢い込んだメルヴィンは、ワサワサと頭を掻きむしった。
「それこそ、メリーの小説じゃないか! 俺は女性がいいんだ!」
「まあ、つまらない」
くすくすと笑うミルドレッドを、メルヴィンは苦い表情で見る。
この少女は、少し前までの印象とはまるで別人のようだ。
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成績優秀ではあるが、自分から人に話しかけるところなんて、ついぞ見たことがなかった。
それが今日は女子学生を先導して率いてきたと言うし、自分から「奇跡のバラ」を見に行きたいと女王に直訴するし、こうして自分をからかってきたりしている。
(そういえばこの子が女王に直訴したときに、メリーまでそれを陛下に後押ししたときは、驚いたな)
今までメリーローズとミルドレッドが仲良くしているところなど、見たことがない。
双方の父親が敵同士とはいえ、それを自分たちの関係にまで持ち込むことはなかったが、せいぜい顔を見れば挨拶くらいは交わす、程度のつきあいだったはずだ。
(どういう風の吹き回しだろう)
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