悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

文字の大きさ
370 / 404
最終章 BLよ、永遠なれ

179-4

しおりを挟む
「ええ? 君まで何を言い出すんだ、メルヴィン。えっと……そう、学院でだって君が『生徒会長』で僕は『副会長』だ。これだって君の方が僕よりリーダーシップがあると、皆が判断したからじゃないか?」

「それはあくまで、高等学院の学生としてのリーダーシップだ。俺の方がお前より、はっきりとものを言うから、皆がそう思っただけだ。でも、それが通用するのは学生だから……。いざとなったら、教師や学院が責任をとってくれる、それが前提だからなんだよ」

「言っている意味が、わからない」

 頭を振るアルフレッドの顔を両手で挟み、正面から目を見つめながらメルヴィンが説得する。

「国王は、国のトップだ。勢いがある、主張が強いというだけで、国民を引っ張っていく資質があるとは言えない。お前のように慎重で穏やかで、誰のことも取りこぼさないよう、目配り気配りできる人間の方が向いている、と俺は思う」

「お兄様、さすがですわ。わたくしも、お兄様の言う通りだと思います!」

(こ、こここれは、キス寸止め! もっとアルたんにグイグイ行っちゃってー、お兄様!)

 メルヴィンがアルフレッドの顔を手で挟み、近い位置で見つめあっている図に反応したメリーローズが、後先考えずに賛成した。
 そこに、メリーローズから発せられた邪気に気付いたシルヴィアも正気に戻り、慌てて主人を止める。

「お嬢様! ご自分が何を言っておられるか、わかっていますか?」

「へ? 今にもキスしそうな二人のじれじれを堪能しているんだけど?」

「時と場所を考えてくださいませー!」

 禁断の温室で再開したメリーローズとシルヴィアの漫才に、エメライン女王がクスクスと笑いながらアルフレッドの肩に手を置く。

「あなたの未来の奥方も、あなたが国王になることを賛成してくれましたわよ」

「へ?」

 メルヴィンとアルフレッドの顔の近さにウットリしていたメリーローズは、そこで初めて、自分が何を言ってしまったのか気がついた。

「こら! メリー! 陛下に対して『へ?』はないだろう!」

 父に叱られるが、それ以上に、現実の波に流されてしまいそうだ。

(え、待って。アルたんが国王になって、わたくしがその婚約者だから、えーっと……もしかしてだけど、わたくし未来の王妃殿下ということじゃないの?)

「おっ……お待ちくださーい!」

 今更あわててみるが、時すでに遅し。

「メリーローズやメルヴィンがそこまで言うなら……、国王の件、考えてみるよ」

「頼む。私もこれまでに学んだことを生かして、お前を支えていくから」

「僕も、僕にできる精一杯で兄上を補佐します!」

 兄と弟からも協力の申し出を受け、アルフレッドが頷く。

「私も、勿論お助けいたします。お前も私同様、新しい次期国王に協力していくだろうな? リントン」

 ヒューストンの言葉に、大司教もまた頷くしかない。

「まま、待って。わたくし、心の準備がー……」

「大丈夫ですわ、メリーローズ嬢」

 振り向けば満面の笑みの女王押しがいる。

「今すぐ王妃になるわけではありません。これから手続きがありますし、アルフレッドはまだ学生ですから、少なくとも国王就任は学院を卒業してからになります。心の準備をする時間は、たーーーーんとありますわ!」

 コロコロと笑う女王の横で、ミルドレッドがサムズアップした。

「頑張りなさい。応援するわよ。なんなら、わたくしが書く『アル攻め本』を、陣中見舞いに差し入れするわ」

「なに言ってんの! それって最悪じゃない!」

「ミルドレッド様、よろしくお願いいたします」

「シルヴィア! なに、敵にお願いしているのよー!」

 メリーローズの慌てぶりをよそに、一同はめでたしめでたしの雰囲気に包まれた……かに見えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

乙女ゲームの悪役令嬢は前世の推しであるパパを幸せにしたい

藤原遊
ファンタジー
悪役令嬢×婚約者の策略ラブコメディ! 「アイリス・ルクレール、その波乱の乙女ゲーム人生――」 社交界の華として名を馳せた公爵令嬢アイリスは、気がつくと自分が“乙女ゲーム”の悪役令嬢に転生していることに気づく。しかし破滅フラグなんて大した問題ではない。なぜなら――彼女には全力で溺愛してくれる最強の味方、「お父様」がいるのだから! 婚約者である王太子レオナードとともに、盗賊団の陰謀や宮廷の策略を華麗に乗り越える一方で、かつて傲慢だと思われた行動が実は周囲を守るためだったことが明らかに……?その冷静さと知恵に、王太子も惹かれていき、次第にアイリスを「婚約者以上の存在」として意識し始める。 しかし、アイリスにはまだ知らない事実が。前世で推しだった“お父様”が、実は娘の危機に備えて影で私兵を動かしていた――なんて話、聞いていませんけど!? さらに、無邪気な辺境伯の従兄弟や王宮の騎士たちが彼女に振り回される日々が続く中、悪役令嬢としての名を返上し、「新たな人生」を掴むための物語が進んでいく。 「悪役令嬢の未来は破滅しかない」そんな言葉を真っ向から覆す、策略と愛の物語。痛快で心温まる新しい悪役令嬢ストーリーをお楽しみください。

処理中です...