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最終章 BLよ、永遠なれ
184 公爵令嬢のライバルの追い打ち
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ミルドレッドは悶えるメリーローズの横に仁王立ちになり、腰に手を当てて怒りだした。
「あのさあ言っておくけど、私だってあんたには、たくさん文句があんのよ!」
今度はこっちからの攻撃か、とメリーローズは身構える。
「な、なに?」
「私はねえ、あの頃プロのラノベ作家になるっていう夢があったの。私の本が出たその暁には、絶対YoYo様に表紙と挿絵を描いてもらうつもりだったのよ! そのために、同人活動以外にも公募とか必死で頑張ってたんだから!」
「すごーい。あんたの小説、『アル攻め』なのはいただけなかったけど、よく書けているなーって、実はこっそり感心してたのよ。で? 小説家にはなれたの?」
ミルドレッドは大きく鼻を膨らませて、ふんぞり返った。
「小説家にはなれたわ。人気シリーズもいくつか出したし、アニメ化もしたんだから」
「すごい、すごーい!」
メリーローズは無邪気に手を叩くが、そこでミルドレッドは萎んでしまった。
「だけど一番の夢、YoYo様の表紙と挿絵は叶わなかった……」
「え、なんで? ヨッちゃん、描いてくれなかったの?」
「あんたが死んですぐ、YoYo様は筆を折ったのよ」
「…………え?」
驚いて振り返ると、エメラインは静かに頷いた。
「うん、そうなんだ」
「う……嘘でしょ? マンガ家になるのは、子供のころからの夢だったじゃない! どうして? なんで諦めちゃったの?」
頭から血の気が引いていく。
――あんなに真剣に、一途に追い続けていた夢だったのに?
――ストーリー作りに役立つからと、わざわざ大学の専攻に苦手な分野を選ぶほど、真面目に追い続けていた夢だったのに?
「だって、もう、無理だったの。なっちゃんが亡くなって……私は、同人誌もだけど、それ以来マンガなんて描けなかった……。自分がなっちゃんを追い詰めて、死なせたんだって思ったら、自分だけマンガ家になる夢を追い続けるなんて、できなかった」
「そんな……! 私、てっきりヨッちゃんはプロになったと思っていたのに!」
――またしても自分のせいで、友人の人生を変えてしまった。
――一番大事な、一番夢を叶えて欲しかった人が、自分のせいで夢を諦めた……。
「いや……、えーっとゴメン。やっぱり、なっちゃんのせいじゃないよ」
「でも……」
「本当のところは、自分でも薄々限界を感じてたの。プロになるって決めて、そのために時間を自由にとれるフリーターで生活たてて、同人誌作りながら投稿や持ち込みの原稿描いて……」
「そうだよ、編集さんがついたって、言ってたじゃない! プロまであと少しだって」
「でも、私よりずっと若い子が、どんどんプロになってデビューしていくのを見て、焦らずにいるなんて無理だった」
メリーローズはハッとする。
十代でのデビューも多いマンガ業界では、二十代後半はかなり年が高めだ。
もちろん、三十代以上でプロになる人もいるにはいるが、出版社は若くて長く描ける人材を欲しがる。
「編集さんに言われたんだ。『同人くささが抜けない』って。私ら同人は二次創作じゃない? オリジナルの一次と、同人の二次では、話づくりとか展開とかセオリーとか、色々変えなきゃいけないのに、私のはどうしても二次創作から抜けきれてないって」
「そんな……」
「編集さんには『同人活動を止めなさい』って言われてたんだ。でも、止められなかった。なっちゃんに、止めるって言えなかった。……ううん、違う。結局私が、楽しい方に流されてただけなんだ」
「あのさあ言っておくけど、私だってあんたには、たくさん文句があんのよ!」
今度はこっちからの攻撃か、とメリーローズは身構える。
「な、なに?」
「私はねえ、あの頃プロのラノベ作家になるっていう夢があったの。私の本が出たその暁には、絶対YoYo様に表紙と挿絵を描いてもらうつもりだったのよ! そのために、同人活動以外にも公募とか必死で頑張ってたんだから!」
「すごーい。あんたの小説、『アル攻め』なのはいただけなかったけど、よく書けているなーって、実はこっそり感心してたのよ。で? 小説家にはなれたの?」
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「すごい、すごーい!」
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「だけど一番の夢、YoYo様の表紙と挿絵は叶わなかった……」
「え、なんで? ヨッちゃん、描いてくれなかったの?」
「あんたが死んですぐ、YoYo様は筆を折ったのよ」
「…………え?」
驚いて振り返ると、エメラインは静かに頷いた。
「うん、そうなんだ」
「う……嘘でしょ? マンガ家になるのは、子供のころからの夢だったじゃない! どうして? なんで諦めちゃったの?」
頭から血の気が引いていく。
――あんなに真剣に、一途に追い続けていた夢だったのに?
――ストーリー作りに役立つからと、わざわざ大学の専攻に苦手な分野を選ぶほど、真面目に追い続けていた夢だったのに?
「だって、もう、無理だったの。なっちゃんが亡くなって……私は、同人誌もだけど、それ以来マンガなんて描けなかった……。自分がなっちゃんを追い詰めて、死なせたんだって思ったら、自分だけマンガ家になる夢を追い続けるなんて、できなかった」
「そんな……! 私、てっきりヨッちゃんはプロになったと思っていたのに!」
――またしても自分のせいで、友人の人生を変えてしまった。
――一番大事な、一番夢を叶えて欲しかった人が、自分のせいで夢を諦めた……。
「いや……、えーっとゴメン。やっぱり、なっちゃんのせいじゃないよ」
「でも……」
「本当のところは、自分でも薄々限界を感じてたの。プロになるって決めて、そのために時間を自由にとれるフリーターで生活たてて、同人誌作りながら投稿や持ち込みの原稿描いて……」
「そうだよ、編集さんがついたって、言ってたじゃない! プロまであと少しだって」
「でも、私よりずっと若い子が、どんどんプロになってデビューしていくのを見て、焦らずにいるなんて無理だった」
メリーローズはハッとする。
十代でのデビューも多いマンガ業界では、二十代後半はかなり年が高めだ。
もちろん、三十代以上でプロになる人もいるにはいるが、出版社は若くて長く描ける人材を欲しがる。
「編集さんに言われたんだ。『同人くささが抜けない』って。私ら同人は二次創作じゃない? オリジナルの一次と、同人の二次では、話づくりとか展開とかセオリーとか、色々変えなきゃいけないのに、私のはどうしても二次創作から抜けきれてないって」
「そんな……」
「編集さんには『同人活動を止めなさい』って言われてたんだ。でも、止められなかった。なっちゃんに、止めるって言えなかった。……ううん、違う。結局私が、楽しい方に流されてただけなんだ」
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