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第1章
11 推測
しおりを挟む「お兄様はどうしていられるの?」
起きた私はコレットに紅茶をもらった。
「アルベルト様はまた、ご自分のお部屋に引き込まれていらっしゃるようです。」
「そう…」
コレットから話しを聞くに、お兄様はほとんど部屋から出てこない。トイレもお風呂も部屋に付いているし、ご飯も使用人に自分の部屋に運ばせている。
お父様は朝早くに仕事に行き、私たちが寝る頃に帰って来るので知らないのだろうか。それとも知っていて無視をしているのか。
(はぁ…どうしよう)
このどうしようとは、私は思いついてしまった。
よく考えてみれば、お兄様は7歳の時に社交を迎える。形だけでも出席はしなきゃならないのでお父様に命じられて渋々行くのだが。
だが、社交を迎えた後でも引きこもりは治らず仕事をしたらすぐに部屋に戻り出てこない。この世界は13歳になると学校に行くことになるのだが、あまり行かずに不登校気味になる。
そこでヒロインが登場する。
学校で(主に男子の)絶大な人気を持っていたヒロインは第1王子達がいる生徒会に抜擢され、庶務として所属する。そこで第1王子にヴェルナー公爵令息いわゆる、私のお兄様を学校に連れてきてほしいと言われる。そこからはゲーム:お兄様のルートに入る。
まぁ、そこからは在り来りな話だがヒロインが何回もヴェルナー家を訪ねてきてお兄様の部屋のドア越しに話しかける。話しかけると言うよりかは、一方的に褒める感じだが。一応、この世界でのヒロインの地位は男爵令嬢。1.2度パーティでお兄様を遠目から見かけたらしく、外面の事を美しいですだの、自分に自信を持ってだの褒めまくる。ただ褒めまくる。それから何度かしてお兄様はヒロインをウザったく思い、学校に行くようになる。そこから、またいろいろなイベントがある訳だが…
ということは!!!今からお兄様を部屋から出して引きこもり脱却させれば、ヒロインがお兄様に関わることも無いかもしれんし、私がヒロインに暗殺者なんて派遣するきっかけがなくなる!(しないけどね)
何度も言うが他の攻略者は関わらないようにすればいいが、お兄様は実の兄弟だから今からは変えられない。ならば少なくとも殺されるリスクを減らしとけばいい。
ただなーここで問題なのがどうやって部屋から出させるか。ヒロインみたいに褒め倒せって?
私にそんな特技はない。自分でみて凄いと思わないと言えないし、そんな口だけの言葉は言いたくない。
(そもそもなんでお兄様は部屋から出てこないのかしら?)
お兄様が部屋から出てこなくなったのはお母様が亡くなってから。だけど、何かが明らかにおかしい。
(さっきの反応も気になるしね。)
コレットにお願いして身支度をする。
(お兄様の部屋に行って実際に話を聞きますか。)
たとえ部屋に入れて貰えなくても出てこなくてもドア越しなら話せる。と思う。
本人に聞かなくては話が全く進まない。
準備を済ました私はお兄様の部屋へと足を運んだ。
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