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虐め
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*虐めの描写があります。苦手な人はご注意ください。
その日から、私の身の回りでは嫌なことが多く起こった。
知らないうちにノートや筆記用具がなくなったり、廊下を歩けば知らない男子生徒に足をかけられ転びそうになったり。
数回言葉を交わしたはずのクラスメイトの女子達からは目も合わせてもらえなくなった。
「あ~、セレシアまだ学園に居たのぉ?全然気づかなかったぁ!早く学園なんて辞めちゃえばいいのに~」
虐めはエミリーを中心とした、取り巻きたちに行われていた。エミリー以外は皆男性なので、力では勝てない。だが、彼らは子爵や男爵家で、伯爵家である私にそんなことがよく出来るなと言う話である。
きっと、皆でやれば怖くないの精神なのだろう。
それを見ながら優雅に紅茶を飲むエミリーに訴えた。
「エミリー…こんなことやめてよ。私が説教したのが気に入らないのでしょ?もう貴方に関わるのは辞めるから……」
「んー…やだ。いつも上から目線で気に入らないし、同じ学園、同じクラスなのも気に入らない!なんで私があんたに面倒見られなきゃいけないのか知らないけど、あんたより劣ってるって言われてるみたいで気に入らない!だから、やめないわ。
あんたが学園から消えてよ!私の邪魔をしないで!私は必ず伯爵家以上に地位のある家へ嫁ぐのだから!あんたより上になるのよ!!」
そう甲高く叫ぶと、飲みかけの紅茶を私に掛けた。
熱い紅茶は私の腕にしっかりかかり、痛みで腕を抑える。
「ふ、いい気味だわ!明日学園に来たら次は冷やすためにトイレの水を掛けてあげるわね。あはは!」
そう笑いながら、取り巻きを引連れどこかに言ってしまった。私は火傷した腕を押え、惨めに涙を流すことしか出来なかった。
これはあまりにも酷すぎじゃない。
そんなに私のことが嫌いになったの?
私はそんなに憎まれるほど貴方の邪魔をしてしまったの?
その後、手当てもしないまま、授業を受ける気になどなれず「体調不良」ということで早退した。
家に着いてからは、部屋へ閉じこもり1人ベットで泣いた。ずっと涙が出てきて、止まらなかった。
親友だった。妹のように、家族のように思っていた。だけど、彼女は変わってしまった。
もう、幼い頃には戻れない。私の好きだったエミリーは居なくなってしまった。
ボロボロと涙が止まらない。
コンコン
「セレシア?帰ってきたんだろう?」
聞こえたのはお兄様の声だった。
泣いているのを気づかれないように、手で口を抑える。今声を出せば、震えてしまい泣いているのもバレてしまう。寝ていると思ってくれれば…と思っていたのに、こういう時のお兄様の勘は鋭くて
「…セレシア。入るよ」
無理に入ってきたお兄様に泣いている姿を見られてしまった。いつもこうだ。お兄様は何故か、気づく。私が傷ついている時も、悲しい時も…
「お、おにいさま…うぅ」
「あぁあぁ、私のお姫様がこんなに目を腫らして…」
ギュッと抱きしめてくれる。
そのまま嗚咽を我慢できなくなった私は、小さい子供のように泣きじゃくった。それはもう思い出せば恥ずかしいくらいに泣いた。
お兄様はその間も、ハンカチで涙を拭きながら頭を撫でてくれた。
私が泣き止むまでそばに居てくれて、落ち着くまで私を抱きしめていた。
泣き疲れた私は、そのまま眠ってしまった。
「…私の大切な妹をこんなに泣かしたのはどこの馬鹿かな。」
彼女の手には真新しい火傷のあとがあった。
メイドを呼び付け冷やしたあと、柔らかい素材の布で丁寧手当をしておく。
泣き疲れて眠てしまったセレシアを見つめる。
学園に入った彼女の様子はおかしかった。
いつも思い詰めたように考えており、最近では食欲も少しずつ減ってきており痩せた気がする。
父も母もそれに気づいてはいたが、彼女が話してくれるのを待っていようと様子を見ていた。だが、痺れを切らした母が今夜にも2人きりになった時に聞くと豪語していた。
そのつもりが、彼女は学園から早退してきた。
何かあったのは明白だろう。少し無理矢理ではあるが部屋へ来たら、彼女が泣いていた。
彼女は強く、人前では涙を流さないようにする。いつも隠れて、一人で泣いているんだ。
何かあったのは間違いがない。
最近は笑う回数も減った。
元々、いつも笑っている子ではなかったが、たまに見せる笑顔がとても綺麗で、どの花にも形容しがたいほどに美しかった。
たまに笑ってくれるその笑顔を大切にしていたのに…
私の大事な妹から笑顔を奪った馬鹿を、始末しなくてはいけないね。
そのために、セレシアから話を聞かなくては。
すぅすぅと眠る彼女の髪を軽く整え、ベッドに寝かせる。目には痛々しいほどに涙のあとが残り、目元は赤く腫れてきていた。
メイドに温めたタオルを用意され、彼女が起きた時ように落ち着くハーブティーの用意をさせておく。
そうして、眠る彼女の傍らで馬鹿どもの潰し方を考えていた。
その日から、私の身の回りでは嫌なことが多く起こった。
知らないうちにノートや筆記用具がなくなったり、廊下を歩けば知らない男子生徒に足をかけられ転びそうになったり。
数回言葉を交わしたはずのクラスメイトの女子達からは目も合わせてもらえなくなった。
「あ~、セレシアまだ学園に居たのぉ?全然気づかなかったぁ!早く学園なんて辞めちゃえばいいのに~」
虐めはエミリーを中心とした、取り巻きたちに行われていた。エミリー以外は皆男性なので、力では勝てない。だが、彼らは子爵や男爵家で、伯爵家である私にそんなことがよく出来るなと言う話である。
きっと、皆でやれば怖くないの精神なのだろう。
それを見ながら優雅に紅茶を飲むエミリーに訴えた。
「エミリー…こんなことやめてよ。私が説教したのが気に入らないのでしょ?もう貴方に関わるのは辞めるから……」
「んー…やだ。いつも上から目線で気に入らないし、同じ学園、同じクラスなのも気に入らない!なんで私があんたに面倒見られなきゃいけないのか知らないけど、あんたより劣ってるって言われてるみたいで気に入らない!だから、やめないわ。
あんたが学園から消えてよ!私の邪魔をしないで!私は必ず伯爵家以上に地位のある家へ嫁ぐのだから!あんたより上になるのよ!!」
そう甲高く叫ぶと、飲みかけの紅茶を私に掛けた。
熱い紅茶は私の腕にしっかりかかり、痛みで腕を抑える。
「ふ、いい気味だわ!明日学園に来たら次は冷やすためにトイレの水を掛けてあげるわね。あはは!」
そう笑いながら、取り巻きを引連れどこかに言ってしまった。私は火傷した腕を押え、惨めに涙を流すことしか出来なかった。
これはあまりにも酷すぎじゃない。
そんなに私のことが嫌いになったの?
私はそんなに憎まれるほど貴方の邪魔をしてしまったの?
その後、手当てもしないまま、授業を受ける気になどなれず「体調不良」ということで早退した。
家に着いてからは、部屋へ閉じこもり1人ベットで泣いた。ずっと涙が出てきて、止まらなかった。
親友だった。妹のように、家族のように思っていた。だけど、彼女は変わってしまった。
もう、幼い頃には戻れない。私の好きだったエミリーは居なくなってしまった。
ボロボロと涙が止まらない。
コンコン
「セレシア?帰ってきたんだろう?」
聞こえたのはお兄様の声だった。
泣いているのを気づかれないように、手で口を抑える。今声を出せば、震えてしまい泣いているのもバレてしまう。寝ていると思ってくれれば…と思っていたのに、こういう時のお兄様の勘は鋭くて
「…セレシア。入るよ」
無理に入ってきたお兄様に泣いている姿を見られてしまった。いつもこうだ。お兄様は何故か、気づく。私が傷ついている時も、悲しい時も…
「お、おにいさま…うぅ」
「あぁあぁ、私のお姫様がこんなに目を腫らして…」
ギュッと抱きしめてくれる。
そのまま嗚咽を我慢できなくなった私は、小さい子供のように泣きじゃくった。それはもう思い出せば恥ずかしいくらいに泣いた。
お兄様はその間も、ハンカチで涙を拭きながら頭を撫でてくれた。
私が泣き止むまでそばに居てくれて、落ち着くまで私を抱きしめていた。
泣き疲れた私は、そのまま眠ってしまった。
「…私の大切な妹をこんなに泣かしたのはどこの馬鹿かな。」
彼女の手には真新しい火傷のあとがあった。
メイドを呼び付け冷やしたあと、柔らかい素材の布で丁寧手当をしておく。
泣き疲れて眠てしまったセレシアを見つめる。
学園に入った彼女の様子はおかしかった。
いつも思い詰めたように考えており、最近では食欲も少しずつ減ってきており痩せた気がする。
父も母もそれに気づいてはいたが、彼女が話してくれるのを待っていようと様子を見ていた。だが、痺れを切らした母が今夜にも2人きりになった時に聞くと豪語していた。
そのつもりが、彼女は学園から早退してきた。
何かあったのは明白だろう。少し無理矢理ではあるが部屋へ来たら、彼女が泣いていた。
彼女は強く、人前では涙を流さないようにする。いつも隠れて、一人で泣いているんだ。
何かあったのは間違いがない。
最近は笑う回数も減った。
元々、いつも笑っている子ではなかったが、たまに見せる笑顔がとても綺麗で、どの花にも形容しがたいほどに美しかった。
たまに笑ってくれるその笑顔を大切にしていたのに…
私の大事な妹から笑顔を奪った馬鹿を、始末しなくてはいけないね。
そのために、セレシアから話を聞かなくては。
すぅすぅと眠る彼女の髪を軽く整え、ベッドに寝かせる。目には痛々しいほどに涙のあとが残り、目元は赤く腫れてきていた。
メイドに温めたタオルを用意され、彼女が起きた時ように落ち着くハーブティーの用意をさせておく。
そうして、眠る彼女の傍らで馬鹿どもの潰し方を考えていた。
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