猫は恋したので、カフェに行く(仮)

月詠世理

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山城先輩が戻ってきた(15話)

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 冷たい飲み物の準備は終わった。これで注文が来てもしばらくは補充しなくて済むはず。注文のものを用意するのに専念できるだろう。飲み物は作りすぎても作らなさ過ぎてもだめだから調節が難しいところだ。
 それから私は奥村先輩のサポートだったり、私自身の判断でできることをしたりと動いていた。協力はできていると思う。困ったときは先輩が的確な指示をくれるから問題はなかった。いつかは指示がなくても動けるようになれるといいな。

「奥村くん、猫宮さん、お疲れ様。風間くんは来てる?」

 突然、声がかけられた。振り向くとそこには山城先輩がいた。

「お疲れ様です」
「お疲れ様です、山城先輩。来てますよ。先輩が呼んでくださったんですね。助かりましたが、もっと早く戻ってきていただけていたら――」

 私の返事の後に、奥村先が質問に答えていた。続く言葉に山城先輩は申し訳なさそうな表情で。

「ごめんね。先生がなかなか動いてくれなくて大変だったの。それで風間くんを呼んだのよ。今の時点では一人でも多くの人がいるのが良いし、正解だったと思う」

 私も山城先輩には早めに戻ってきてほしかった。けれど、無理だからこそ、助っ人に連絡を入れたのだろう。判断が早い。流石、先輩だ。できる人。

「まあ、先輩のその判断が適切だったとは思いますよ。でも、珍しいですね。すぐ悪知恵を働かせて了承しそうな先生が動かないのは」
「休憩してたんでしょうね。机に突っ伏して寝てたわ。そのせいで起こしたら不機嫌で。困ったものよ」
「機機取り、お疲れ様です」

 奥村先輩が知っている椿先生とは違っていたようで不思議そうにしていた。先生の様子が話されたことで納得していたが。私は山城先輩に労わりの言葉をかけた。寝起き最悪な人に触れるのは遠慮したいことだと思うもの。

「ありがと。まあ、それだけじゃなくて店内用のお知らせを作っていたのもあるけど。コレ、人目につきやすいところに貼り付けておくね。それじゃあ、人手足りそうだったらこっちに戻って来るわ」

 山城先輩は紙を見せてきた。それにお知らせの内容が書かれているのだろう。何て書かれているのかまでは見れなかった。先輩は扉を開けて、表へ行く。何枚かの紙を持って。お知らせを一人でも多くの人が見てくれることを願う。

「妖精の隠れ家からのお知らせ。何回か放送します。まずは、妖精の隠れ家にご来店いただきまして誠にありがとうございます。次に、ただいまシステムに問題が生じており、ご来店いただいた方々にはご迷惑をおかけしております。この度は、大変申し訳ございません。お手数おかけしますが、ご注文は口頭にて承っております。最後に、事前にアプリでご決済いただいた方には調査終了次第、後日返金という対応をさせていただきます。ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします」

 椿先生の声が流れた。このカフェ全体へのアナウンスのようだ。普段こんな放送したら、苦情が来そうなものだけど、これで来店している多くのお客様に伝わるだろう。一人の声には限界があるもの。
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