結婚するのは自分の利益のためで王子さまは付随物です

月詠世理

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ある男と女の出会い(男の語り)

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 僕は花のような妖精に会ったんだ。
 父が決めた婚約者は全く可愛くない。
 無愛想で笑わないし、何を考えているのかもよくわからない。黒い髪に黒い目を持つ婚約者。彼女の着ている服は華美なものではなく質素なものばかり。豪華絢爛な衣装を作って着てみれば、もうちょっと僕も近づいてあげてもいいと思える。あんな地味なやつといたら、僕も地味だとみなされてしまうもの。そんなのは嫌だから、僕はあいつと一緒にいたくないんだ。

 僕は父の決めた婚約者が大嫌いだ。僕に寄り添って、僕の言うことも聞かない反抗的な人間。そんな人間処分すればいいのに、父に言っても臣下に言っても耳を傾けない。何もかも上手くいかない。全部父の決定した婚約者のせいだ。恋愛の国でなぜ政略結婚なんてしないといけないのか。甚だ疑問だ。父も母と恋愛結婚をしたのに、僕だけ理不尽じゃないか。
 政略結婚自体にも、自分の政略結婚の相手にも嫌悪感が募ってきた。日々の苛立ちを他人にぶつけていた頃。僕は見つけたんだ。僕だけの妖精を。

 学園の一角、運命的な出会い。僕が一人くつろいでいる中で邪魔してくる女がいた。最初は無礼者と罵ってやろうと思っていた。だが、彼女は金の髪に青い瞳を持っていた。婚約者とは違い、目立つ容姿。一目見て、この女は僕と一緒にいるのが相応しいと思った。
 そんな運命の彼女の名前は、ルリアナ。メロドアダ男爵家の娘だ。
 彼女は王族である僕を最初は警戒していた。だが、僕が相談に乗って欲しいというとキョトンとした顔をして快く了承してくれた。その時のほころんだような笑顔は一生忘れない。素直で純粋な女の子。第一印象も良かったが、関わってみた印象も最高だ。
 ルリアナは僕の物だ。僕の言うことも胡散臭そうにしないで聞いてくれる。僕の言うことを真っ向から突っぱねて叱ったり、くどくど説教したりしない。こんなに僕に従順な可愛い女の子を放置しておいたら駄目だ。僕は決めた。ルリアナを僕のお嫁さんにすることを。
 
 政略結婚なんて知ったことか。あんな父の決めた婚約者が僕の妻になるなんてことは許せない。地味女に罪悪感なんて湧かないよ。それに、ここは恋愛の国。恋愛によって多くのものが結ばれ、夫婦になっているなら、僕も恋愛結婚していいはずだ。もう父の決めた婚約者は用済みである。僕の人生は僕が決めるのだから。

 次の王様の座はもう決まっている。僕しか王族の血を継いでいるものがいない。だから、次の王様は僕しかいない。そう考えると、気分は最高だった。

 ルリアナは僕を「愛してる」って言ってくれたよ。
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