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目が覚めて視界に入ったのは、金色の綺麗な瞳。そして、身体を起こそうとして、重くて起き上がれないことが分かる。
「やっと、起きたね」
眼は覚めたが、身体が起き上がることはできないためになんか微妙な言葉だと思った。だが、彼の笑顔には目を離すことはできない。きっと、顔が赤くなっているはずだ。
「あっ、あの! えっと……」
「焦らないでいいよ。大丈夫」
優しく頭を撫でてくれる。とても気持ちよくて目を細めてしまう。また、少し余裕ができたのか、彼の服を見てしまった。
「やっ!」
少女から出たのは拒絶の声。自分の家で働いていた使用人の服装をしていたから。声を上げた時に男の手は離れた。そして、震える声で、動けない身体をどうしようと考える。
「いやっ! ち、近寄らないで!」
目の前の男は微笑む。
「君を傷つけたりしないよ。それに、そんな怖がらないでよ。君を生き返らせたのは、僕だよ? わざわざ大きな力を使って生き返らせた人間を刺し殺したりしないって!」
「で、でも! 私にもっと苦痛を与えて殺す気かも……」
男は動けない少女をもう1度撫でた。少女の身体は固まる。
「確かにまた、君を絶望に突き落とすのにはいいけど、僕はそんなことしないよ」
言ったでしょ? 大きな力を使ったのに殺したりしないって。
少女はまだ男を警戒していたが、自分を生き返らせた男なので信じることにした。
「警戒心あるのかないのかわからなくなってくるよ」
男は少女を撫でる手を止めて、少女の頬に手を当てて顔を覗き込む。
少女には男の顔しか視界に入らなくなった。また、恥ずかしそうに、頬を赤く染めた。
「僕の質問に嘘偽りなく答えてね? 君は自分の名前を覚えてる?」
「な、まえ? なまえってなに?」
少女は何かを失ったように悲しそうに涙を流す。視界がぼやけて見える。そんな少女に気にかけることなく淡々と進んでいく。
「次の質問。君は僕に心をくれると言ったよね? ねぇ、僕に心をくれる証を頂戴? できなかったら、また、死ぬだけだけど」
少女は怯えた。死と言うものに。また、殺されるということに……。
「あっ、証ってどうすればいいの?」
「さぁ? 君が考えた証を頂戴? 後、もう動けると思うよ」
男は少女から身を引いて立ち上がる。少女も本当に起きあがれるのか内心疑惑を持ちながら起き上がった。何故か、重かった身体は軽くなっていて、男の方を見ると、笑みが返ってくる。
男の身長は、一八五センチくらいだろう。銀色の髪が月明かりで照らされていて、その月明かりの中で立つ男の姿は神秘的に見えた。
「きれい……」
思わず声に出してしまうが、相手には届いていないのかどこか遠くをじっと見ている。ふと、男がこちらを向き、【決まったの】と聞いてきた。
私はそれに答えず、男に手を伸ばす。男は少女がしようとしていることに気づいたのか少女が届く距離にしゃがみ込んだ。
少女は無意識に唇を男の頬に寄せていた。男は満足したように喜び、少女は自分は今なにをしたのかと慌てる。
「ちゃんと、心をくれる証はもらったよ。ふふっ、嬉しくて仕方がないよ」
男は心底可笑しそうに笑い出した。
「クククックッ、フフフフハハハハハッ! あー、可笑しっ!! ねぇ、お前にいいこと教えてあげるよ」
少女の身体は固まった。何が可笑しいのか少女にはさっぱり分からない。
「一つ、生き返るために、お前は名前を捨てたんだよ。存在を強く証明するものをお前は自ら捨てた。名前を捨てたら、生き返っても死んでるようなものだ」
「二つ、俺に心を明け渡すってことは、命を差し出すことと同義なんだよねー。俺、悪魔だから。心を悪魔に渡したら食い殺されて終わるよ。 ほとんど。だって、理性の弱い悪魔だったら獲物が目の前にあったら止められなくなっちゃうしね? 心を悪魔に渡すってことは……」
《命を握られたと同義なんだよ》
「えっ? ど、どうしてそうなるの?」
「相手の心を縛ることができるから。悪魔を相手にする時は決して心を明け渡してはいけない。心を悪魔に握られたものは必ず死するものなりってね?」
少女は目を見開く。自分の心が悪魔という存在にもうすでに握られてしまっていたから。少女は男の巧妙なやり方に、引っかかってしまっているから。
少女は後ずさる。相手の豹変に、自分が殺されるという恐怖に……。
「安心してよ。さっき、殺す気はないって言ったでしょ? 君は俺のお気に入りになったから、俺が飽きるまで死ぬことはできないだけだ」
男は俯いている少女の顎を掴み、自分の方へ向かせる。少女の頬を静かに流れる滴を彼は指で拭う。優しく、大切なものを扱うように……。
「死ぬことはできないってどういう……。もう分からないよ!」
「今は知る必要はないよ。最後に誓ったでしょ? 俺が説明すること以外は聞いてはいけない。だから、お前はこの質問の答えを現在得ることはできない。残念だね? 誓いの意味をちゃんと考えれば良かったのにね?」
「でも、貴方はその内容に頷かなければ、生き返らせてはくれなかった」
「そうだけど、自分の頭で考えて行動とかした方が良い。全てを相手に任せていたらどうなるか分からないからね。対等に交渉することも大事だ。相手が与えられて得てばかりではね。まぁ、幼いお前にはまだ、難しいか。 (だからこそ、狙って、こうしてお前を捕まえている。お気に入りだから、丁寧に丁寧に扱うよ。でも、俺のお前に惹かれる何かを裏切ったなら……)」
殺しちゃうかもね?
男の少女に向ける目は温かみがあったが、心中では冷たく鋭い思いを持っていた。
「やっと、起きたね」
眼は覚めたが、身体が起き上がることはできないためになんか微妙な言葉だと思った。だが、彼の笑顔には目を離すことはできない。きっと、顔が赤くなっているはずだ。
「あっ、あの! えっと……」
「焦らないでいいよ。大丈夫」
優しく頭を撫でてくれる。とても気持ちよくて目を細めてしまう。また、少し余裕ができたのか、彼の服を見てしまった。
「やっ!」
少女から出たのは拒絶の声。自分の家で働いていた使用人の服装をしていたから。声を上げた時に男の手は離れた。そして、震える声で、動けない身体をどうしようと考える。
「いやっ! ち、近寄らないで!」
目の前の男は微笑む。
「君を傷つけたりしないよ。それに、そんな怖がらないでよ。君を生き返らせたのは、僕だよ? わざわざ大きな力を使って生き返らせた人間を刺し殺したりしないって!」
「で、でも! 私にもっと苦痛を与えて殺す気かも……」
男は動けない少女をもう1度撫でた。少女の身体は固まる。
「確かにまた、君を絶望に突き落とすのにはいいけど、僕はそんなことしないよ」
言ったでしょ? 大きな力を使ったのに殺したりしないって。
少女はまだ男を警戒していたが、自分を生き返らせた男なので信じることにした。
「警戒心あるのかないのかわからなくなってくるよ」
男は少女を撫でる手を止めて、少女の頬に手を当てて顔を覗き込む。
少女には男の顔しか視界に入らなくなった。また、恥ずかしそうに、頬を赤く染めた。
「僕の質問に嘘偽りなく答えてね? 君は自分の名前を覚えてる?」
「な、まえ? なまえってなに?」
少女は何かを失ったように悲しそうに涙を流す。視界がぼやけて見える。そんな少女に気にかけることなく淡々と進んでいく。
「次の質問。君は僕に心をくれると言ったよね? ねぇ、僕に心をくれる証を頂戴? できなかったら、また、死ぬだけだけど」
少女は怯えた。死と言うものに。また、殺されるということに……。
「あっ、証ってどうすればいいの?」
「さぁ? 君が考えた証を頂戴? 後、もう動けると思うよ」
男は少女から身を引いて立ち上がる。少女も本当に起きあがれるのか内心疑惑を持ちながら起き上がった。何故か、重かった身体は軽くなっていて、男の方を見ると、笑みが返ってくる。
男の身長は、一八五センチくらいだろう。銀色の髪が月明かりで照らされていて、その月明かりの中で立つ男の姿は神秘的に見えた。
「きれい……」
思わず声に出してしまうが、相手には届いていないのかどこか遠くをじっと見ている。ふと、男がこちらを向き、【決まったの】と聞いてきた。
私はそれに答えず、男に手を伸ばす。男は少女がしようとしていることに気づいたのか少女が届く距離にしゃがみ込んだ。
少女は無意識に唇を男の頬に寄せていた。男は満足したように喜び、少女は自分は今なにをしたのかと慌てる。
「ちゃんと、心をくれる証はもらったよ。ふふっ、嬉しくて仕方がないよ」
男は心底可笑しそうに笑い出した。
「クククックッ、フフフフハハハハハッ! あー、可笑しっ!! ねぇ、お前にいいこと教えてあげるよ」
少女の身体は固まった。何が可笑しいのか少女にはさっぱり分からない。
「一つ、生き返るために、お前は名前を捨てたんだよ。存在を強く証明するものをお前は自ら捨てた。名前を捨てたら、生き返っても死んでるようなものだ」
「二つ、俺に心を明け渡すってことは、命を差し出すことと同義なんだよねー。俺、悪魔だから。心を悪魔に渡したら食い殺されて終わるよ。 ほとんど。だって、理性の弱い悪魔だったら獲物が目の前にあったら止められなくなっちゃうしね? 心を悪魔に渡すってことは……」
《命を握られたと同義なんだよ》
「えっ? ど、どうしてそうなるの?」
「相手の心を縛ることができるから。悪魔を相手にする時は決して心を明け渡してはいけない。心を悪魔に握られたものは必ず死するものなりってね?」
少女は目を見開く。自分の心が悪魔という存在にもうすでに握られてしまっていたから。少女は男の巧妙なやり方に、引っかかってしまっているから。
少女は後ずさる。相手の豹変に、自分が殺されるという恐怖に……。
「安心してよ。さっき、殺す気はないって言ったでしょ? 君は俺のお気に入りになったから、俺が飽きるまで死ぬことはできないだけだ」
男は俯いている少女の顎を掴み、自分の方へ向かせる。少女の頬を静かに流れる滴を彼は指で拭う。優しく、大切なものを扱うように……。
「死ぬことはできないってどういう……。もう分からないよ!」
「今は知る必要はないよ。最後に誓ったでしょ? 俺が説明すること以外は聞いてはいけない。だから、お前はこの質問の答えを現在得ることはできない。残念だね? 誓いの意味をちゃんと考えれば良かったのにね?」
「でも、貴方はその内容に頷かなければ、生き返らせてはくれなかった」
「そうだけど、自分の頭で考えて行動とかした方が良い。全てを相手に任せていたらどうなるか分からないからね。対等に交渉することも大事だ。相手が与えられて得てばかりではね。まぁ、幼いお前にはまだ、難しいか。 (だからこそ、狙って、こうしてお前を捕まえている。お気に入りだから、丁寧に丁寧に扱うよ。でも、俺のお前に惹かれる何かを裏切ったなら……)」
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