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5話
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少女はあの日から変わった。身体が成長し、つくものもついている。腰は細く、肌は相変わらず白い。髪の色も変わった。悪魔との誓いから漆黒の髪が真っ白になってしまった。
少女の生活も変わり、名前も新しく悪魔につけられ過ごしている。
「刹那。 起きて、朝だよ」
「ぅう~ん、ねむぃ」
彼女の新しい名前は刹那。寝返りを打ち、また寝ている。
「刹那。起きないと、キスするよ?」
刹那はその声で飛び起きる。
「おっ、おはよう」
「おはよう」
この誰でも魅力する微笑みを浮かべる男の名前はセツ。本名はもう少し長く、私はその本名を覚えずとも心の中に刻み込まれているために忘れることはない。
セツは前に私が起きなくてキスするといったとき、本気ではやらないと思って二度寝したらキスされた。
それも深いもの。
朝からこんなことやられたらたまらないから、その日以来起きるようになった。彼の言葉を嘘だとは思ってはいけないと思うようにもなった。
私が生き返った日、悪魔と契約を結んだ。決して逃れられない強力な契約。互いに相手の血をのみ、名前を交わすこと。ただし、相手の名前を悪魔が握った場合は新しい名前を相手に与えること。
悪魔が相手の本名を握っている時は、より拘束力を持つ強固な契約になる。
悪魔の名前はセツ・ラフィリア・オーウェン。少女の本名は愛姫、与えられた名前は刹那とユア。
少女が悪魔に与えた人間として過ごすときの名前は雪。
これ全てが契約というもので結ばれる。
今は、拘束という絆。
「ユア。お腹空いたら我慢するなよ? お前は俺の、俺だけの悪魔になったんだから」
そう、あの日に刹那という人間はユアという悪魔にもなった。人間の姿と変わらないが、セツと同じ悪魔になったのだ。
悪魔の血を飲んだときに、身体が作り変わった。お腹を満たすのに必要になったのは、血と魂。
人間の生活はできるが、主な食事も変わってしまった。人間が食べるご飯も食べるが、悪魔としての食事も必要だ。
前に、我慢して理性を失って、セツの血を貪ったことがある。人間としての自分を失うのが嫌で我慢していたが、獣が出てきた。悪魔としての本性。
彼の血を貪った後、血まみれの唇と紅くなった目が鏡に映った。まさに、獣だと思った。もう、人間ではないのだと思ってしまったんだ。
彼は、私の中の獣を理解させるために強硬的な手段をとって私に認識させた。私の中の獣は危ないのだと、お前はもう人間ではないとあの一瞬で判らせてしまった。
その後、私は彼に吸血されながら、涙を流した。彼は私が涙を流していたことに気づいていただろうが、何も言わずにいてくれたんだ。
それから、私は悪魔としての食事をするようになった。セツがたまにとってくる死んだ人間の澄んだ、汚れていない魂を食べて、それがなく、お腹が減ったときは彼の血をもらう。
もう、彼なしで私は生きられなくなってしまったんだ。
彼の巧妙なやり方に憎らしくも思うが、逃れることはできないと思っているため諦めに似たものも感じる。
複雑な感情だが、彼とともに生きていこうと心の中で心地良く感じているのも事実だ。
「今はお腹空いてない。それにあの時からちゃんと食事するようになったでしょ?」
彼女は小さな笑みを浮かべて彼の方を見る。彼も、彼女を愛おしそうに見て、薄く笑った。
「そうだね。俺が食い殺されるとこだったけど、俺が仕組んだことだから。君に理解せるために……」
彼は彼女の頬に手を当てて触れるだけのキスをした。彼女もそれに目を閉じて応える。
少女と悪魔の生活は少女の家族が殺され、少女が死んだ日から、少女が悪魔と契約した時から、彼女の中の獣を彼女が認識した日から変わっていったんだ。
大きな変化と小さな変化をしながら……。
少女の生活も変わり、名前も新しく悪魔につけられ過ごしている。
「刹那。 起きて、朝だよ」
「ぅう~ん、ねむぃ」
彼女の新しい名前は刹那。寝返りを打ち、また寝ている。
「刹那。起きないと、キスするよ?」
刹那はその声で飛び起きる。
「おっ、おはよう」
「おはよう」
この誰でも魅力する微笑みを浮かべる男の名前はセツ。本名はもう少し長く、私はその本名を覚えずとも心の中に刻み込まれているために忘れることはない。
セツは前に私が起きなくてキスするといったとき、本気ではやらないと思って二度寝したらキスされた。
それも深いもの。
朝からこんなことやられたらたまらないから、その日以来起きるようになった。彼の言葉を嘘だとは思ってはいけないと思うようにもなった。
私が生き返った日、悪魔と契約を結んだ。決して逃れられない強力な契約。互いに相手の血をのみ、名前を交わすこと。ただし、相手の名前を悪魔が握った場合は新しい名前を相手に与えること。
悪魔が相手の本名を握っている時は、より拘束力を持つ強固な契約になる。
悪魔の名前はセツ・ラフィリア・オーウェン。少女の本名は愛姫、与えられた名前は刹那とユア。
少女が悪魔に与えた人間として過ごすときの名前は雪。
これ全てが契約というもので結ばれる。
今は、拘束という絆。
「ユア。お腹空いたら我慢するなよ? お前は俺の、俺だけの悪魔になったんだから」
そう、あの日に刹那という人間はユアという悪魔にもなった。人間の姿と変わらないが、セツと同じ悪魔になったのだ。
悪魔の血を飲んだときに、身体が作り変わった。お腹を満たすのに必要になったのは、血と魂。
人間の生活はできるが、主な食事も変わってしまった。人間が食べるご飯も食べるが、悪魔としての食事も必要だ。
前に、我慢して理性を失って、セツの血を貪ったことがある。人間としての自分を失うのが嫌で我慢していたが、獣が出てきた。悪魔としての本性。
彼の血を貪った後、血まみれの唇と紅くなった目が鏡に映った。まさに、獣だと思った。もう、人間ではないのだと思ってしまったんだ。
彼は、私の中の獣を理解させるために強硬的な手段をとって私に認識させた。私の中の獣は危ないのだと、お前はもう人間ではないとあの一瞬で判らせてしまった。
その後、私は彼に吸血されながら、涙を流した。彼は私が涙を流していたことに気づいていただろうが、何も言わずにいてくれたんだ。
それから、私は悪魔としての食事をするようになった。セツがたまにとってくる死んだ人間の澄んだ、汚れていない魂を食べて、それがなく、お腹が減ったときは彼の血をもらう。
もう、彼なしで私は生きられなくなってしまったんだ。
彼の巧妙なやり方に憎らしくも思うが、逃れることはできないと思っているため諦めに似たものも感じる。
複雑な感情だが、彼とともに生きていこうと心の中で心地良く感じているのも事実だ。
「今はお腹空いてない。それにあの時からちゃんと食事するようになったでしょ?」
彼女は小さな笑みを浮かべて彼の方を見る。彼も、彼女を愛おしそうに見て、薄く笑った。
「そうだね。俺が食い殺されるとこだったけど、俺が仕組んだことだから。君に理解せるために……」
彼は彼女の頬に手を当てて触れるだけのキスをした。彼女もそれに目を閉じて応える。
少女と悪魔の生活は少女の家族が殺され、少女が死んだ日から、少女が悪魔と契約した時から、彼女の中の獣を彼女が認識した日から変わっていったんだ。
大きな変化と小さな変化をしながら……。
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