21 / 34
21話
しおりを挟む
スピリトは焦るセツを押しとどめた。
「セツ、急ぐっていうけど、デアちゃんの居場所は知ってるの?」
ぐいぐいとスピリトを引っ張っていたセツは、その言葉にピタリと足を止めた。
「むぅ~、図星だあ! どこにいるのかわからないのに、闇雲に探しても時間がかかるだけだよ。ここは僕に任せて。試してみたいことがあるんだ」
今度は、スピリトが動かなくなったセツを引きずっていく。セツより小さいスピリト。どこから彼を引きずるだけの力を出しているのか。不思議でならない。
他の悪魔にはできないことをやれるだけの力が僕にはある。この力で人探しなんて余裕。しかし、材料は必要なのだ。何事も一から作るのは大変である。ある魔法の使用には、欠かせない材料なのだ。
僕はさっそく鍋を用意し、そこに六つのものを入れる。僕のコレクションルームの一つから取ってきている貴重なものもある。保存するのは楽ではないよ。
六つの材料は以下のものである。人工スライムや天然水、デアちゃんの魔力の塊、悪魔の血、人間の骨、塩。
デアちゃんの魔力の塊はデアちゃんから奪っておいたものだし、悪魔の血は死亡した者から抜き取ったもの。自分自身の血を使うのはやだ。痛いの嫌いだから。ええっと、人間の骨を粉々に砕いておかないと……。
僕が丹精込めて作った色なしスライムと多量の天然水を鍋に入れて、沸騰させます。悪魔の血を三リットル程、砕いた人間の骨をまばらに振り少しずつ鍋の中に投入していく。適量の塩を振り、トロトロの状態になるまで溶かす。その後、デアちゃんの魔力の塊をゆっくり慎重に沈めていく。完成は近い。
セツはボコボコと鳴る鍋の様子を見ていた。スピリトが嬉々として何かを作る姿はとても恐ろしい。材料も普通なら収集しないものだ。個体差によるが悪魔の血には力が宿っている。一歩間違えれば、一つの街が消えかねない。そのため、悪魔の血など集めて利用する者は少ないのだ。だいたいどうやってデレアスモスの魔力の塊を得たのだろうか。
俺は何も言えずにいる。ニヤニヤと笑い、恍惚とした表情をするスピリトは放置しておくべきだ。自分自身の身の安全のために、目をそらせ。
「よいしょっと」
鍋を持ち上げ、その中身を用意していた約五十センチメートルある人の形をした型に流し込んだ。隙間がないかを確認して、高熱で焼く。固められたものに、僕が魔法をかけたら完成するのは、案内役。デアちゃんの下にいくのに便利な子ができる。
僕は適当にイメージをして、魔法をかけた。デアちゃんの魔力の塊は左胸のあたりにある。それはこの案内役の心臓だ。
僕の魔法で完成したものは、全体的に丸い形をしている、全長約五十センチメートルの童のような子。長い前髪が顔を覆っていた。また、真っ赤な髪の色であった。
「よし、君は今日からチェサくんだ。 君のやるべきことは君の魔力の素を探すこと。デアちゃんを見つけることがチェサくんの使命だ!」
こくん、と首と思われるところを縦に振るチェサ。生まれたばかりのその子のはじめて発した言葉は――。
「なんもわかんない。なんも感じない」
外界から切り離されている空間で何かを感じることは誰でもできないと思う。そのことに気づいたのは、子を作った主人ではなく、セツであった。
「セツ、急ぐっていうけど、デアちゃんの居場所は知ってるの?」
ぐいぐいとスピリトを引っ張っていたセツは、その言葉にピタリと足を止めた。
「むぅ~、図星だあ! どこにいるのかわからないのに、闇雲に探しても時間がかかるだけだよ。ここは僕に任せて。試してみたいことがあるんだ」
今度は、スピリトが動かなくなったセツを引きずっていく。セツより小さいスピリト。どこから彼を引きずるだけの力を出しているのか。不思議でならない。
他の悪魔にはできないことをやれるだけの力が僕にはある。この力で人探しなんて余裕。しかし、材料は必要なのだ。何事も一から作るのは大変である。ある魔法の使用には、欠かせない材料なのだ。
僕はさっそく鍋を用意し、そこに六つのものを入れる。僕のコレクションルームの一つから取ってきている貴重なものもある。保存するのは楽ではないよ。
六つの材料は以下のものである。人工スライムや天然水、デアちゃんの魔力の塊、悪魔の血、人間の骨、塩。
デアちゃんの魔力の塊はデアちゃんから奪っておいたものだし、悪魔の血は死亡した者から抜き取ったもの。自分自身の血を使うのはやだ。痛いの嫌いだから。ええっと、人間の骨を粉々に砕いておかないと……。
僕が丹精込めて作った色なしスライムと多量の天然水を鍋に入れて、沸騰させます。悪魔の血を三リットル程、砕いた人間の骨をまばらに振り少しずつ鍋の中に投入していく。適量の塩を振り、トロトロの状態になるまで溶かす。その後、デアちゃんの魔力の塊をゆっくり慎重に沈めていく。完成は近い。
セツはボコボコと鳴る鍋の様子を見ていた。スピリトが嬉々として何かを作る姿はとても恐ろしい。材料も普通なら収集しないものだ。個体差によるが悪魔の血には力が宿っている。一歩間違えれば、一つの街が消えかねない。そのため、悪魔の血など集めて利用する者は少ないのだ。だいたいどうやってデレアスモスの魔力の塊を得たのだろうか。
俺は何も言えずにいる。ニヤニヤと笑い、恍惚とした表情をするスピリトは放置しておくべきだ。自分自身の身の安全のために、目をそらせ。
「よいしょっと」
鍋を持ち上げ、その中身を用意していた約五十センチメートルある人の形をした型に流し込んだ。隙間がないかを確認して、高熱で焼く。固められたものに、僕が魔法をかけたら完成するのは、案内役。デアちゃんの下にいくのに便利な子ができる。
僕は適当にイメージをして、魔法をかけた。デアちゃんの魔力の塊は左胸のあたりにある。それはこの案内役の心臓だ。
僕の魔法で完成したものは、全体的に丸い形をしている、全長約五十センチメートルの童のような子。長い前髪が顔を覆っていた。また、真っ赤な髪の色であった。
「よし、君は今日からチェサくんだ。 君のやるべきことは君の魔力の素を探すこと。デアちゃんを見つけることがチェサくんの使命だ!」
こくん、と首と思われるところを縦に振るチェサ。生まれたばかりのその子のはじめて発した言葉は――。
「なんもわかんない。なんも感じない」
外界から切り離されている空間で何かを感じることは誰でもできないと思う。そのことに気づいたのは、子を作った主人ではなく、セツであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる