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11章 宿屋娘が憧れの先輩と一緒にとろとろえっちになってしまうお話
211:仕事
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「それから、一つだけ、注意してほしいことがある」
不意に、領主の声が、少しだけ低くなりました。
「この屋敷の南塔には、私の義父、つまり先代領主のオットーが隠居している。義父は……その、まあ、色々と、うん……癖の強い人でね。ユーノの教育には、なんというか、あまり良くない趣味を持ってるんだ。だから、君たちも、なるべく南塔には近寄らないでもらえると、助かる」
その言葉には、どこか歯切れの悪い、不穏な響きが混じっていました。アストリナの民の間でまことしやかに囁かれる、「女癖以外は完璧」と謳われた先代領主の噂。その影が、この華やかな領主邸にも、確かに落ちていることを、二人は感じ取ったのです。二人のメイド服に添えらえた場違いで煽情的な下着。これはもしかしたら先代領主の差し金かもしれません。
「――と、まあ、堅苦しい話はこれくらいにして!」
領主は、再び人の良い笑顔に戻ると、ぱん、と手を叩きました。
「さあ! 私の自慢の息子を紹介しよう! おーい、ユーノ!」
彼が呼びかけると、謁見の間の大きな扉が、ゆっくりと開かれました。
そして、そこから、一人の少年が、てとてと、と可愛らしい足音を立てて、駆け込んできたのです。
「お父様! 新しいおねえちゃんたちが来たって、本当ですか!」
絹のように艶やかな金色の髪。透き通るような白い肌。そして、大きな青い瞳は、好奇心にきらきらと輝いています。その姿は、まるで物語に出てくる王子様のようでした。
「おお、ユーノ。紹介するよ。今日から君の先生になってくれる、エレナ先生と、リリア先生だ」
少年――ユーノくんは、二人の前に立つと、こてん、と不思議そうに首を傾げました。そして、次の瞬間、ぱあっと花が咲くような、満面の笑みを浮かべたのです。
「わあ!二人とも、とっても綺麗なおねえちゃんだ! 僕、ユーノです! よろしくお願いします、エレナおねえちゃん、リリアおねえちゃん!」
その、あまりにも無邪気で、愛らしい笑顔。
その破壊力は、どんな強力な魔術よりも、エレ観さんとリリアさんの心を、強く、そして深く、貫いたのでした。
(まあ……なんて、可愛らしい……♡)
エレナさんの胸の奥で、母性とも、あるいはそれとは少し違う、もっと甘く、疼くような感情が、むくむくと湧き上がってくるのを感じます。
(この方が、ユーノ様……。わたくし、この方のためなら、なんだって……♡)
リリアさんの眼鏡の奥の瞳も、熱っぽく潤み、その頬は微かに上気していました。
こうして、二人の美しき魔術師は、まだ幼いご主人様と、運命的な出会いを果たしたのです。
二人は早速、顔を見合わせると、どちらが先に言うでもなく、ユーノくんを挟んで、これからの教育について、嬉々として語り合い始めました。
「では、歴史と地理、それからいくつかの国の言葉は、わたくしが担当させていただきますわ。物語を交えながら、楽しく学べるように工夫いたします」
エレナさんが優雅に微笑むと、リリアさんも負けじと口を開きます。
「でしたら、わたくしは、算術と、錬金術の基礎、それから夜空の星々について、お教えします。実践を交えながら、ユーノ様の知的好奇心を刺激してみせますわ」
「あら、リリアさん、頼もしいですわね」
「エレナ先輩こそ。では、肝心の魔術は、わたくしたち二人で、手取り足取り、教えて差し上げましょう」
その瞳には、次期領主の家庭教師という重責への覚悟と、そして、この愛らしい少年を、自分たちの手で、いかに優れた男に育て上げるかという、甘美な競争心が、静かに燃え盛っていたのでした。
不意に、領主の声が、少しだけ低くなりました。
「この屋敷の南塔には、私の義父、つまり先代領主のオットーが隠居している。義父は……その、まあ、色々と、うん……癖の強い人でね。ユーノの教育には、なんというか、あまり良くない趣味を持ってるんだ。だから、君たちも、なるべく南塔には近寄らないでもらえると、助かる」
その言葉には、どこか歯切れの悪い、不穏な響きが混じっていました。アストリナの民の間でまことしやかに囁かれる、「女癖以外は完璧」と謳われた先代領主の噂。その影が、この華やかな領主邸にも、確かに落ちていることを、二人は感じ取ったのです。二人のメイド服に添えらえた場違いで煽情的な下着。これはもしかしたら先代領主の差し金かもしれません。
「――と、まあ、堅苦しい話はこれくらいにして!」
領主は、再び人の良い笑顔に戻ると、ぱん、と手を叩きました。
「さあ! 私の自慢の息子を紹介しよう! おーい、ユーノ!」
彼が呼びかけると、謁見の間の大きな扉が、ゆっくりと開かれました。
そして、そこから、一人の少年が、てとてと、と可愛らしい足音を立てて、駆け込んできたのです。
「お父様! 新しいおねえちゃんたちが来たって、本当ですか!」
絹のように艶やかな金色の髪。透き通るような白い肌。そして、大きな青い瞳は、好奇心にきらきらと輝いています。その姿は、まるで物語に出てくる王子様のようでした。
「おお、ユーノ。紹介するよ。今日から君の先生になってくれる、エレナ先生と、リリア先生だ」
少年――ユーノくんは、二人の前に立つと、こてん、と不思議そうに首を傾げました。そして、次の瞬間、ぱあっと花が咲くような、満面の笑みを浮かべたのです。
「わあ!二人とも、とっても綺麗なおねえちゃんだ! 僕、ユーノです! よろしくお願いします、エレナおねえちゃん、リリアおねえちゃん!」
その、あまりにも無邪気で、愛らしい笑顔。
その破壊力は、どんな強力な魔術よりも、エレ観さんとリリアさんの心を、強く、そして深く、貫いたのでした。
(まあ……なんて、可愛らしい……♡)
エレナさんの胸の奥で、母性とも、あるいはそれとは少し違う、もっと甘く、疼くような感情が、むくむくと湧き上がってくるのを感じます。
(この方が、ユーノ様……。わたくし、この方のためなら、なんだって……♡)
リリアさんの眼鏡の奥の瞳も、熱っぽく潤み、その頬は微かに上気していました。
こうして、二人の美しき魔術師は、まだ幼いご主人様と、運命的な出会いを果たしたのです。
二人は早速、顔を見合わせると、どちらが先に言うでもなく、ユーノくんを挟んで、これからの教育について、嬉々として語り合い始めました。
「では、歴史と地理、それからいくつかの国の言葉は、わたくしが担当させていただきますわ。物語を交えながら、楽しく学べるように工夫いたします」
エレナさんが優雅に微笑むと、リリアさんも負けじと口を開きます。
「でしたら、わたくしは、算術と、錬金術の基礎、それから夜空の星々について、お教えします。実践を交えながら、ユーノ様の知的好奇心を刺激してみせますわ」
「あら、リリアさん、頼もしいですわね」
「エレナ先輩こそ。では、肝心の魔術は、わたくしたち二人で、手取り足取り、教えて差し上げましょう」
その瞳には、次期領主の家庭教師という重責への覚悟と、そして、この愛らしい少年を、自分たちの手で、いかに優れた男に育て上げるかという、甘美な競争心が、静かに燃え盛っていたのでした。
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