剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

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11章 宿屋娘が憧れの先輩と一緒にとろとろえっちになってしまうお話

240:監視

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秋の空はどこまでも高く澄み渡り、港湾要塞都市アストリナに吹きつける風は、日に日にその冷たさを増していた。領主邸の広大な庭園では、季節の終わりを惜しまうかのように、最後の薔薇たちが懸命にその花びらを広げている。

僕、アル・クーパーは、今日も今日とて、師匠であるアウレリウス様に命じられるまま、魔術師ギルドの地下深く、ひんやりとした空気が漂う監視室に一人こもっていた。壁一面に埋め込まれた黒水晶が、ぼんやりとした青白い光を放ち、部屋の中央に鎮座する巨大な制御盤の複雑な魔術回路を不気味に照らし出している。

僕の目の前にある、ひときわ大きな黒水晶には、領主邸の一室が、まるでそこにあるかのように鮮明に映し出されていた。これは、僕の憧れの先輩である、エレナ・シュミット先輩と、リリア・フローライト先輩の安全を守るための、重要な任務。師匠はそう言っていた。でも、本当は、ただの覗き見なんじゃないかって、罪悪感で胸がちりちりと痛む。

でも、その痛み以上に、僕の心を支配するのは、どうしようもない興奮だった。黒水晶の向こう側で、憧れの先輩方が、普段は見せることのない無防備な姿を晒している。その光景から、僕はどうしても目を離すことができないんだ。

◇◇◇

柔らかな秋の日差しが、領主邸の北塔にある実験室に、斜めに差し込んでいた。空気中をきらきらと舞う埃の粒が、錬金術に用いるフラスコやビーカーといったガラス器具に反射して、まるで妖精の粉のように見える。薬草の乾いた匂いと、触媒となる鉱物の微かな金属臭、そして魔力が凝縮された霊薬のかすかな甘い香りが混じり合った、知的好奇心をくすぐる独特の芳香が、この監視室にまで漂ってきそうだった。

その日の昼食後のことだ。水晶には、ユーノ様と、その家庭教師の一人であるリリア先輩が、この実験室で二人きり、錬金術のお勉強に励んでいる姿が映し出されていた。

「ですからユーノ様。この『月の石のかけら』を触媒として用いる場合、マナの定着率を高めるためには、水銀ではなく、この『月光花の露』で湿らせた白金を使うのが定石ですのよ?」

リリア先輩は、黒縁の眼鏡の奥にある知的な瞳を細め、お手本を示すように、ピンセットで小さな鉱石のかけらをつまんでみせる。その指先は、魔術師らしく繊細で、一切の無駄がない。黒を基調としたメイド服に、白いフリルのついたエプロンというお仕着せ姿は、彼女の真面目で勤勉な性格をよく表していた。

しかし、今日の彼女は、どこか様子がおかしかった。落ち着いた佇まいとは裏腹に、その美しい顔には、隠しきれない寝不足の色が浮かんでいる。時折、ふっと遠くを見るような、うつろな表情を浮かべるんだ。

僕が心配になって画面を食い入るように見つめていると、そんなリリア先輩の内心の葛藤など、露ほども知らないユーノ様が、ぱあっと、太陽のような笑顔を浮かべた。

「リリアおねえちゃん! あのね、僕、すごいものを作ったんだ! 見て見て!」

少年は、えっへん、と得意げに小さな胸を張ると、実験台の上に、二つの小さなガラス瓶を、ことり、と並べて置いた。

一つは、緑色の光を放つ液体が、とろりと揺めく小瓶。ラベルには、拙い文字で【げんきになるぽーしょん】と書かれている。
もう一つは、ルビーのように美しい紅色をした小瓶。こちらには【ちゃんとげんきになるぽーしょん】と書かれていた。

「こっちの緑色のはね、この前、寝不足の僕が飲んで、大変なことになっちゃったやつなんだ! 生命力だけが、ものすごく元気になっちゃうの!」
「こっちの赤色のは、それを改良して、魔力の循環効率を高めるようにしたんだよ! 小雪おねえちゃんが飲んで、とっても美味しいって、5本も飲んじゃったんだ!」

そのあまりにも無邪気な自慢話に、リリア先輩の顔が、ふっと赤くなったように見えた。

「どっちも、とっても美味しいんだけど、リリアおねえちゃんは、絶対に飲んじゃだめだよ? 特に、この緑色の方は、飲むと、すっごく、本当にげんきになっちゃうんだ! 約束だよ?」

潤んだ大きな青い瞳で、念を押すように見つめられて、リリア先輩の心臓が、どくん、と大きく跳ねたのが、その身体の微かな震えで分かった。だめ、と言われれば、余計に知りたくなるのが、魔術師の性。そして、女の性というものなのだろうか。

リリア先輩の目が、その緑色の液体が放つ妖しい輝きに釘付けになっている。その表情は、僕の心を嫉妬で黒く塗りつぶすには十分だった。彼女は無意識に太腿をすり合わせている。まるで、何かと戦っているかのようだ。

しかし、身体は正直だった。眼鏡の奥の瞳は、その緑色の液体が放つ、甘く、それでいて妖しい輝きに、完全に釘付けになってしまっていた。

「……ユーノ様。その、緑色の方のポーションですが」
リリア先輩は、ごくり、と喉を鳴らし、震える声で言った。
「錬金術師として、その成分を、少しだけ、分析させていただいても、よろしいでしょうか…? もちろん、口に含んだりはいたしません。匂いを嗅いで、マナの波長を調べるだけ、ですわ」

それは、あまりにも見え透いた、嘘だった。やめてくれ、先輩。そんなものに手を出したら、もう元には戻れない。僕の心の叫びは、もちろん届かない。
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