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14章 ドジっ子くのいち娘が遊郭っぽい施設でたいへんえっちになるおはなし
317:客
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男はそんな中でも臆することなく、小雪さんのために、小さな硝子の杯に注がれた、ルビーのように赤く透明な液体を注文しました。
「これはエンブレスの地下を流れる地脈の熱で、じっくりと熟成させた特別な果実酒だ。身体が芯から温まる」
男に促されるまま、その杯をそっと口に運びます。すると、芳醇で甘酸っぱい香りがふわりと鼻腔をくすぐり、液体が喉を通り過ぎるのと同時に、身体の内側からじわじわと、しかし抗いがたい熱が込み上げてくるのを感じました。男は何も言わず、ただ小雪さんの杯が空になるたびに、新しい酒を静かに注いでくれました。
「このお酒は、飲むと身体が熱くなって、とろけちゃうって、聞いたことがあります…♡」
小雪さんが、潤んだ瞳で男を見上げながらそう言うと、男は「ふっ」と悪戯っぽく笑い、その指先で小雪さんの艶やかな黒髪にそっと触れました。その指が、露わになったうなじの白い肌を、まるで蛇が這うかのようにゆっくりと撫で上げた瞬間、
「ひゃぅっ♡♡」
ゾクゾクゾクッ、と全身に雷が落ちたかのような甘い痺れが走り、思わず小さな悲鳴が漏れてしまいました。
酒場を出ると、今度は射的場に立ち寄りました。男が、この地方で使われる火薬式の短銃を模した銃を構えると、その筋骨隆々とした腕の筋肉が、まるで意志を持つかのようにピクリ、と盛り上がります。小雪さんは、そのたくましい腕から放たれる圧倒的な雄の魔力に、思わずごくりと喉を鳴らしました。
乾いた発射音と共に、的が小気味よく倒れます。そのたびに、男はちらりと小雪さんの方を見て、その表情を確かめるように挑戦的に微笑むのです。
「ユキも、やってみるか?」
促されるまま、小雪さんも銃を手に取ります。シノビの技である手裏剣術とは全く違う作法に戸惑いながらも、集中して狙いを定めると、放たれた弾はかろうじて的に命中しました。
「すごいじゃないか」
男はそう言うと、まるで良い子を褒めるように、優しい手つきで小雪さんの頭をくしゃりと撫でました。その、あまりにも優しい仕草が、まるで極上の褒美のようで、小雪さんの身体は、熱い喜びで震えました。
二人は、その後も様々な遊戯に興じました。景品のぬいぐるみを目がけて投げる投げ輪、酒を賭けたダーツ、そして金貨を賭けたカードゲーム。不思議なことに、男はどんな遊びでも必ず小雪さんを勝たせてくれるのです。そして、そのたびに、小雪さんの手を優しく握ったり、そっと肩を抱き寄せたり、耳元で「ユキは本当にすごいな」と甘い言葉を囁いたりしました。
小雪さんは、男のあまりにも巧みな誘惑と、まるで本物の恋人同士であるかのような優しい扱いに、いつしかシノビとしての任務のことも、自らの矜持も忘れ、ただこの甘美な時間に、永遠に溺れていたいと願うようになっていました。この夜が、どうか明けないでほしいと、心の底からそう願ってしまうほどに。
◇◇◇
やがて、二人は夢のような喧騒を背に、再び「黒蝶楼」の重厚な門をくぐりました。
先ほどまでとは打って変わって静まり返った廊下を抜け、客間へと通されると、男は小雪さんの頬にそっと手を添え、その熱っぽい吐息がかかるほどの距離で、優しく言いました。
「ユキ。今日は、君に、最高に幸せな夜をプレゼントしてあげたいんだ」
その言葉は、まるで上質な蜂蜜のように甘く、とろりとした熱を帯びて小雪さんの鼓膜を震わせ、心を蕩かしていきます。しかし、その言葉の裏には、獲物を前にした狩人のような、抗いがたい圧と鋭い光が隠されているように感じられ、小雪さんの身体は、期待と恐怖で微かに震えました。
「あ、あの…」
かろうじて、か細い声を絞り出します。
「わ、私には…♡許嫁が、いるのです…♡」
その言葉を口にした瞬間、脳裏に故郷に残してきた許嫁、早瀬くんの顔が思い浮かびました。朴訥で、不器用で、けれど誰よりも優しい笑顔。彼にだけは操を立てると、固く心に誓ったはずでした。しかし、目の前の男の、優しくも傲慢な光を宿した瞳は、そんな彼女の小さな貞節など意にも介さないように、ただ愉しげに細められるだけでした。
男は何も言わずに、ただ小雪さんの頬に添えた手に、ほんの少しだけ力を込めます。そして、まるで言い聞かせるように、ゆっくりと顔を近づけました。
「いいかい、ユキ。そんなことは、どうでもいいんだ。君は、ただ俺の言うとおりにすればいい」
その声は、優しく、甘く、それでいて抗いがたいほどの支配的な響きを帯びていました。まるで、対象の精神の隙間に直接作用する、ごく微量だが極めて高純度の魔力が練り込まれているかのようです。小雪さんの身体は、男の言葉にびくりと大きく震え、思考が白く霞んでいくのを感じました。頭がくらくらと眩暈を起こし、まるで男の言葉が、魂に直接刻み込まれる魔法の呪文であるかのように、小雪さんの理性を、その根底から容赦なく砕いていくようでした。
「これはエンブレスの地下を流れる地脈の熱で、じっくりと熟成させた特別な果実酒だ。身体が芯から温まる」
男に促されるまま、その杯をそっと口に運びます。すると、芳醇で甘酸っぱい香りがふわりと鼻腔をくすぐり、液体が喉を通り過ぎるのと同時に、身体の内側からじわじわと、しかし抗いがたい熱が込み上げてくるのを感じました。男は何も言わず、ただ小雪さんの杯が空になるたびに、新しい酒を静かに注いでくれました。
「このお酒は、飲むと身体が熱くなって、とろけちゃうって、聞いたことがあります…♡」
小雪さんが、潤んだ瞳で男を見上げながらそう言うと、男は「ふっ」と悪戯っぽく笑い、その指先で小雪さんの艶やかな黒髪にそっと触れました。その指が、露わになったうなじの白い肌を、まるで蛇が這うかのようにゆっくりと撫で上げた瞬間、
「ひゃぅっ♡♡」
ゾクゾクゾクッ、と全身に雷が落ちたかのような甘い痺れが走り、思わず小さな悲鳴が漏れてしまいました。
酒場を出ると、今度は射的場に立ち寄りました。男が、この地方で使われる火薬式の短銃を模した銃を構えると、その筋骨隆々とした腕の筋肉が、まるで意志を持つかのようにピクリ、と盛り上がります。小雪さんは、そのたくましい腕から放たれる圧倒的な雄の魔力に、思わずごくりと喉を鳴らしました。
乾いた発射音と共に、的が小気味よく倒れます。そのたびに、男はちらりと小雪さんの方を見て、その表情を確かめるように挑戦的に微笑むのです。
「ユキも、やってみるか?」
促されるまま、小雪さんも銃を手に取ります。シノビの技である手裏剣術とは全く違う作法に戸惑いながらも、集中して狙いを定めると、放たれた弾はかろうじて的に命中しました。
「すごいじゃないか」
男はそう言うと、まるで良い子を褒めるように、優しい手つきで小雪さんの頭をくしゃりと撫でました。その、あまりにも優しい仕草が、まるで極上の褒美のようで、小雪さんの身体は、熱い喜びで震えました。
二人は、その後も様々な遊戯に興じました。景品のぬいぐるみを目がけて投げる投げ輪、酒を賭けたダーツ、そして金貨を賭けたカードゲーム。不思議なことに、男はどんな遊びでも必ず小雪さんを勝たせてくれるのです。そして、そのたびに、小雪さんの手を優しく握ったり、そっと肩を抱き寄せたり、耳元で「ユキは本当にすごいな」と甘い言葉を囁いたりしました。
小雪さんは、男のあまりにも巧みな誘惑と、まるで本物の恋人同士であるかのような優しい扱いに、いつしかシノビとしての任務のことも、自らの矜持も忘れ、ただこの甘美な時間に、永遠に溺れていたいと願うようになっていました。この夜が、どうか明けないでほしいと、心の底からそう願ってしまうほどに。
◇◇◇
やがて、二人は夢のような喧騒を背に、再び「黒蝶楼」の重厚な門をくぐりました。
先ほどまでとは打って変わって静まり返った廊下を抜け、客間へと通されると、男は小雪さんの頬にそっと手を添え、その熱っぽい吐息がかかるほどの距離で、優しく言いました。
「ユキ。今日は、君に、最高に幸せな夜をプレゼントしてあげたいんだ」
その言葉は、まるで上質な蜂蜜のように甘く、とろりとした熱を帯びて小雪さんの鼓膜を震わせ、心を蕩かしていきます。しかし、その言葉の裏には、獲物を前にした狩人のような、抗いがたい圧と鋭い光が隠されているように感じられ、小雪さんの身体は、期待と恐怖で微かに震えました。
「あ、あの…」
かろうじて、か細い声を絞り出します。
「わ、私には…♡許嫁が、いるのです…♡」
その言葉を口にした瞬間、脳裏に故郷に残してきた許嫁、早瀬くんの顔が思い浮かびました。朴訥で、不器用で、けれど誰よりも優しい笑顔。彼にだけは操を立てると、固く心に誓ったはずでした。しかし、目の前の男の、優しくも傲慢な光を宿した瞳は、そんな彼女の小さな貞節など意にも介さないように、ただ愉しげに細められるだけでした。
男は何も言わずに、ただ小雪さんの頬に添えた手に、ほんの少しだけ力を込めます。そして、まるで言い聞かせるように、ゆっくりと顔を近づけました。
「いいかい、ユキ。そんなことは、どうでもいいんだ。君は、ただ俺の言うとおりにすればいい」
その声は、優しく、甘く、それでいて抗いがたいほどの支配的な響きを帯びていました。まるで、対象の精神の隙間に直接作用する、ごく微量だが極めて高純度の魔力が練り込まれているかのようです。小雪さんの身体は、男の言葉にびくりと大きく震え、思考が白く霞んでいくのを感じました。頭がくらくらと眩暈を起こし、まるで男の言葉が、魂に直接刻み込まれる魔法の呪文であるかのように、小雪さんの理性を、その根底から容赦なく砕いていくようでした。
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