61 / 370
3章 受付嬢も冒険者になってえっちな冒険に挑むお話
57:救出
しおりを挟む気が付くと私は、どこかのホテルの一室らしき場所に寝かされていました。
ふわりと鼻腔をくすぐるのは、日に干した清潔なリネンの香りと、微かに薫る高級な香油の匂い。あれほど私の心身を支配していた、むせ返るような汗と鉄と男たちの欲望の匂いは、嘘のように消え失せています。ごわごわした革紐で縛られていたはずの手足は解放され、私の肌を包んでいるのは、肌触りの良い柔らかな夜着でした。
窓の外からは、午後の柔らかな陽光が差し込み、部屋の中の埃をきらきらと輝かせています。壁には趣味の良い風景画が飾られ、テーブルの上には磨き上げられた銀の水差しまで置かれていました。昨日までの、薄暗く湿った石と黴の匂いが支配する盗賊のアジトとは、何もかもが違います。
「……夢?」
掠れた声で呟いて、ゆっくりと身体を起こしました。心地よい倦怠感はあるものの、不思議と痛みはありません。それどころか、身体の奥から力がみなぎってくるような、奇妙な感覚さえあります。
その時、部屋の隅の椅子に腰かけていた人影が、静かに立ち上がりました。逆光で顔はよく見えませんでしたが、その筋骨隆々としたシルエットには、見覚えがありました。
「オジさま……?」
そうです。先日私をめちゃくちゃに犯し、私の心に決して消えない背徳の悦びを刻み付けた、あのモブ=オジさまです。 なぜ、この人がここに? 私の混乱をよそに、彼はぶっきらぼうに口を開きました。
「おぉ。やっと起きたか。」
「あの、わたしは……」
「帰りが遅いあんたを心配したギルドが、調査と救助の依頼を出してた。俺がたまたまそれを受けた、ただそれだけだ」
どうやらそういうことのようです。 オジさまはこともなげに、事の顛末を説明してくれました。 彼が単身で盗賊団のアジトに乗り込み、私を救出してくれたこと。 盗賊団の皆さんは、私の記憶をほどよく抜き取られた上で、ヴェールウッドの衛兵に引き渡されたこと。 私の荷物は、オジさまが私の姿に変身してヴェールウッドの街の教会に届け、ギルドにも「リセ・シルバリーは任務を終え、無事アストリナに帰還予定である」と、すでに連絡を入れてくれたこと。後は私が何事もなかったかのようにギルドに顔を出すだけで、すべてが丸く収まる、と。
信じられませんでした。あれほどの数の盗賊団を、たった一人で? 記憶の操作? まるで吟遊詩人が歌う英雄譚のようですが、この人ならやりかねない、という妙な説得力がありました。
「久しぶりに『ちーとすきる』を色々使ったから、ちょっと疲れたが」
そう言って、オジさまはごきり、と首の骨を鳴らしました。
「あの……助けていただいて、ありがとうございました」
私が深々と頭を下げると、彼がゆっくりとこちらに振り返りました。 そして、その瞳が私の姿を捉えた瞬間、彼の内側で、急速にどす黒い欲望が膨れ上がっていくのを、私は「感じて」しまいました。
・・・
そうです。あの忌まわしい、けれど今は愛おしくさえある呪い……『蕩婦の嘆き』の淫紋は、いまだに私の下腹部に、その禍々しい存在を主張し続けていたのです。 オジさまの欲望に呼応して、淫紋がずくん、と熱く脈打ち、私の体の奥から、じゅわん、と甘い蜜がとろけ出してくるのがわかりました。
どうやらこれから、『うわがきわからせえっち』というのを、していただけるみたいです。親方様や、盗賊団の皆さんに与えられた快楽の記憶。それを、この方の、さらに強大で圧倒的な快楽で、すべて上書きしてくださる、と。そういうことなのでしょう。私の体は、もう、それを待ち望んでしまっているのです。
あなた。ごめんなさい。
わたし、あなたの元へ帰るために、もっともっと、いやらしい女にならなければいけないみたい。
まだまだギルドには帰れそうにありません♡
10
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる