剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

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4章 訳あり人妻さんとたいへんなお使いのお話

63:夕

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帰り道は、来た時とは比較にならないほど馬車の速度が落ちていた。大量の酒樽を積み込んだことで、馬の負担は限界に近く、陽が西の山々に傾き始め、空が茜色に染まる頃には、まだ山間の道を半分も抜けることができていなかった。
そして、追い打ちをかけるように、天候が急変する。それまで晴れ渡っていた空に、にわかに暗雲が垂れ込め、生暖かく湿った風が吹き始めたのだ。山の天気は変わりやすいとは言うが、その変化はあまりに急激であった。大粒の雨が、ぽつり、ぽつりと馬車の幌を打ち始め、瞬く間に激しい風を伴った豪雨となった。

「くそっ、間に合わなかったか!」
リオが悔しげに舌打ちする。雨は滝のように降り注ぎ、視界は白く煙って数メートル先も見通せない。轍の道はぬかるんで泥の川と化し、馬車の車輪を容赦なく捕らえる。これ以上の前進は危険だと判断した二人は、幸運にも道端に小さな山小屋を見つけ、そこに避難することにした。それは、かつて猟師が獣を避けるために建てたものであろうか、苔むした丸太を組んだだけの粗末な小屋であった。

積み荷の酒樽は、ドワーフの職人技の結晶であり、心配はなかった。水を通さないことで知られる「鉄鋼木」の分厚い板で組まれ、その表面には防水と腐敗防止を目的とした「保存のルーン」が幾重にも刻み込まれている。その上から、リオが念入りに防水布をかけてくれた。この程度の雨で品質が落ちることはまずありえないだろう。リオは馬を小屋の脇にあった粗末な厩に繋ぐと、ずぶ濡れのままアリアに告げた。
「アリアさんは先に中で火を。俺は念のため、周囲を警戒してきます。この雨では、魔物もそう活発には動けないでしょうが、何があるか分かりませんから」
そう言い残し、彼は再び激しい風雨の中へと駆け出していった。小屋の中に一人残されたアリアは、震える手で暖炉に火をおこす。ぱちぱちと乾いた薪のはぜる音が、心細い空間に温かな光と、そして確かな生命の音をもたらした。
炎を見つめながら、アリアの胸は高鳴っていた。自分を守ろうとするリオの真摯な姿。その頼もしさ。その若さ。その全てが、平穏な日常に慣れきった彼女の心を強く揺さぶる。夫のトーマスも、善良で優しい、素晴らしい男だ。彼を愛していることに偽りはない。しかし、この胸のときめきは、夫に向ける愛情とは明らかに質の違う、もっと熱く、もっと背徳的なものだった。いけない。あたいは貞淑な妻で、慈愛に満ちた母でなければならないのに。夫への罪悪感が、冷たい水のように胸に広がる。だが、その罪悪感すらも、この燃え上がるような興奮の前では、かえって薪をくべる役割しか果たさなかった。

しばらくして、リオが小屋に戻ってきた。その全身は、まるで嵐の海から引き上げられたかのように、びしょ濡れであった。
「幸い、魔物の気配はありませんでした。当分、ここで雨が弱まるのを待つしか……うっ……」
安堵の言葉も最後まで続かなかった。張り詰めていた緊張の糸が切れたのと、急激に体温を奪われたのとで、彼の身体はがくがくと震え始め、唇は紫色になり、顔は紙のように青ざめている。

暖炉の中で燃える炎だけが、この隔絶された山小屋における唯一の生命の兆候であった。外では、世界を洗い流さんとするかのような激しい雨が降りしきり、風が獣のような呻き声を上げて、粗末な丸太の壁を揺さぶっている。その暴力的な自然の音とは裏腹に、小屋の中は奇妙な静寂と、そして濃密な緊張感に満たされていた。

ぱちり、と乾いた薪が甲高い音を立ててはぜ、オレンジ色の火の粉が舞い上がる。その揺らめく光が、ずぶ濡れで青ざめた顔をした若い冒険者、リオの横顔を不安げに照らし出していた。

「馬鹿だね、あんたは。そんなになるまで……。さあ、こっちへおいで。濡れた服を脱いで、早く火に当たるんだよ」

アリアの声は、どこまでも優しく、そして有無を言わせぬ母親のような響きを持っていた。だが、その慈愛に満ちた微笑みの奥、銀縁の伊達メガネの向こう側で細められた瞳には、リオの若く精悍な肉体を品定めするかのような、ねっとりとした熱が宿っている。彼女は、意地を張って濡れた服を脱ごうとしない若者の前にゆっくりと屈み込むと、まるで悪戯好きの子供に言い聞かせるように、その氷のように冷え切った手を取った。暖炉の揺らめく炎が、雨に濡れて頬に張り付いた彼女の金色の髪を照らし、その慈母のような微笑みの奥に、妖しい光を灯していた。

「で、ですが……アリアさんも、その……」
「あたいのことはいいからさ。あんたは護衛なんだろう? あんたが風邪でも引いたら、誰があたいを守っておくれなんだい?」

有無を言わせぬその口調と、悪戯っぽく細められた瞳に見つめられ、リオはもはや抵抗できなかった。アリアに促されるまま、彼は震える指で濡れた革鎧の留め金を外し、重い音を立てて床に置く。続いて、ぐっしょりと水を含んで肌に張り付いたシャツを、苦労しながら脱ぎ捨てた。

その瞬間、暖炉の光に照らし出された若く逞しい上半身が、アリアの眼前に露わになる。まだ少年っぽさを残す滑らかな肌の下で、日々の鍛錬によって培われたであろう胸や腕の筋肉が、しなやかな獣のように隆起している。その若さと生命力に満ちた肉体は、アリアの身体の奥深く、とうに忘れ去ったはずの渇きを呼び覚ますのに十分すぎるほどの力を持っていた。
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