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4章 訳あり人妻さんとたいへんなお使いのお話
64:夕
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アリアは、自らも濡れたモスグリーンのローブの紐を、ゆっくりとした、どこか芝居がかった仕草で解き始める。ローブが肩から滑り落ち、続いて濡れて肌に張り付いたドレスを脱ぎ捨てると、そこには簡素な木綿の下着に包まれた、熟れた果実のように豊満な肉体が姿を現した。
暖炉の炎が、その乳白色の肌を艶めかしく照らし出す。薄い布越しにさえ、その圧倒的な存在感を主張する豊満な双丘。その頂きは、小屋の冷気にか、あるいは若者の熱い視線にか、硬く尖っている。きゅっと引き締まったくびれから、丸く張り出した豊かな臀部へと続く滑らかな曲線は、どのような彫刻家も再現不可能な、生命そのものが持つ官能的な美を湛えていた。
リオは息を呑んだ。目の前の光景が信じられなかった。聖母のように優しく、貞淑な人妻であるはずのアリアが、今、ほとんど無防備な姿で、自分にその肢体を晒している。暖炉の炎に照らされて湯気を立てるその肌は、まるで甘い蜜を滴らせているかのように艶めかしく、彼の未熟な理性を根こそぎ焼き払おうとしていた。彼は必死で視線を逸らし、自らの股間で急速に熱を持ち始めた存在を悟られまいと、不自然なほど固く身体をこわばらせた。
「ふふっ……」
アリアは、そんなリオの初々しい反応を見て、楽しそうに喉を鳴らした。全てを見透かしているかのような、その悪魔的なまでに優雅な微笑み。彼女は濡れた衣服を暖炉のそばに広げて干すと、平然とした様子でリオの隣に腰を下ろした。だが、その横顔に浮かぶ穏やかな表情とは裏腹に、彼女の視線もまた、リオの股間にそそり立つ、若さゆえの隠しようもない猛々しい主張を捉えていた。その布越しにさえ分かる熱量と硬質な輪郭に、アリアは思わずごくりと喉を鳴らす。夫トーマスのそれとは比べ物にならない、若さと活力に満ち溢れた雄の証。それを前にして、貞淑な人妻の仮面の下で、かつて幾多の男を受け止めてきたその身体の奥深くが、歓喜に打ち震えるのを彼女は感じていた。しかし、彼女は気づかないふりをした。あくまでも、嵐をやり過ごすだけの、ただの心優しい宿の女将として。
ぎこちない沈黙を破ったのは、アリアだった。彼女は荷物の中から、昼食の残りである硬い黒パンと、干し肉、そして石のように硬いチーズを取り出す。ライ麦の一種で、高地の痩せた土地でも力強く育つ「鉄粒麦」を挽いて作られた黒パンは、ずしりと重く、噛みしめるほどに素朴な穀物の香りが口に広がる。山羊の乳から作られ、洞窟でじっくりと熟成されたチーズは、独特の強い香りと、舌をピリリと刺激する濃厚な塩気を持っていた。どちらも決して贅沢な食事ではない。だが、凍えた身体には何よりのご馳走であった。
「さあ、腹ごしらえでもしようか。冷えた身体には、栄養を摂るのが一番だよ」
アリアはそう言って、暖炉の前に無造作に置かれた粗末な木箱の上に、それらを並べた。そして、ドワーフの醸造長ボルタクからおまけに貰った、あの小さな瓶をこともなげにその横に置く。
「そんなに固くならずに、お食べよ。あんたがしっかりしてくれなきゃ。」
悪戯っぽく笑いかけるアリアに、リオは俯いたまま、こくりと頷くことしかできない。暖炉の炎が、すぐ隣に座るアリアの豊満な肉体を、生々しく照らし出している。薄い木綿の下着越しにさえ分かる、その圧倒的な乳房の存在感。その頂は、小屋の冷気のせいか、あるいは自分の熱い視線のせいか、硬く尖り、布地を押し上げている。きゅっと引き締まったくびれから、豊かな円を描いて張り出す臀部への滑らかな曲線。その全てが、まだ女を知らない若者の目に毒であった。彼は自らの股間で急速に膨張し、主張を強める熱い塊をアリアに悟られまいと、必死で身を縮こませる。パンを千切る彼の指先は、小刻みに震えていた。
そんなリオの初々しい反応を、アリアは自身の内に燻る背徳的な興奮を覚えながら、楽しんでいた。貞淑な女将の仮面の下で、身体が歓喜と期待に疼く。彼女は、チーズを切り分けるふりをして、その豊満な胸をリオの腕にぐっと押し付けた。
「ひっ……!」
リオの肩が、驚きにびくりと跳ねる。柔らかく、それでいて弾力のある肉の感触が、濡れたシャツ越しにさえはっきりと伝わり、彼の思考を焼き切った。アリアは、そんな彼の反応に気づかないふりを装い、あくまでも穏やかに、慈母のような微笑みを浮かべる。
「おや、すまないね。手が滑っちまった」
食事の間、会話らしい会話はなかった。外では風雨がますます勢いを増し、小屋の壁がみしりと悲鳴を上げる。暖炉の薪がぱちぱちとはぜる音だけが、二人の間の息が詰まるような沈黙を埋めていた。
やがて、硬いパンと干し肉を腹に収め終えると、アリアは待っていましたとばかりに、あの小瓶を手に取った。
「『妖精の吐息』……。ドワーフの女衆に評判がいいって話だったけど、どんな味がするんだろうね」
アリアは小瓶の蝋封を、艶かしい仕草で爪を立てて器用に剥がし、コルクの栓を抜いた。その瞬間、ふわりと、むせ返るほど甘く、それでいてどこか野性的な花の香りが、小屋の空気に満ち満ちた。それは、ただ甘いだけではない。収集癖のドワーフ達が隠し持つ幾多の素材を特殊な酵母で発酵させたこの液体は、嗅いだ者の本能を直接揺さぶり、理性の奥底に眠る原始的な欲動を呼び覚ますような、危険な魔力を秘めていた。液体そのものは、まるで溶かした月光のように、淡い黄金色に妖しくきらめいている。
暖炉の炎が、その乳白色の肌を艶めかしく照らし出す。薄い布越しにさえ、その圧倒的な存在感を主張する豊満な双丘。その頂きは、小屋の冷気にか、あるいは若者の熱い視線にか、硬く尖っている。きゅっと引き締まったくびれから、丸く張り出した豊かな臀部へと続く滑らかな曲線は、どのような彫刻家も再現不可能な、生命そのものが持つ官能的な美を湛えていた。
リオは息を呑んだ。目の前の光景が信じられなかった。聖母のように優しく、貞淑な人妻であるはずのアリアが、今、ほとんど無防備な姿で、自分にその肢体を晒している。暖炉の炎に照らされて湯気を立てるその肌は、まるで甘い蜜を滴らせているかのように艶めかしく、彼の未熟な理性を根こそぎ焼き払おうとしていた。彼は必死で視線を逸らし、自らの股間で急速に熱を持ち始めた存在を悟られまいと、不自然なほど固く身体をこわばらせた。
「ふふっ……」
アリアは、そんなリオの初々しい反応を見て、楽しそうに喉を鳴らした。全てを見透かしているかのような、その悪魔的なまでに優雅な微笑み。彼女は濡れた衣服を暖炉のそばに広げて干すと、平然とした様子でリオの隣に腰を下ろした。だが、その横顔に浮かぶ穏やかな表情とは裏腹に、彼女の視線もまた、リオの股間にそそり立つ、若さゆえの隠しようもない猛々しい主張を捉えていた。その布越しにさえ分かる熱量と硬質な輪郭に、アリアは思わずごくりと喉を鳴らす。夫トーマスのそれとは比べ物にならない、若さと活力に満ち溢れた雄の証。それを前にして、貞淑な人妻の仮面の下で、かつて幾多の男を受け止めてきたその身体の奥深くが、歓喜に打ち震えるのを彼女は感じていた。しかし、彼女は気づかないふりをした。あくまでも、嵐をやり過ごすだけの、ただの心優しい宿の女将として。
ぎこちない沈黙を破ったのは、アリアだった。彼女は荷物の中から、昼食の残りである硬い黒パンと、干し肉、そして石のように硬いチーズを取り出す。ライ麦の一種で、高地の痩せた土地でも力強く育つ「鉄粒麦」を挽いて作られた黒パンは、ずしりと重く、噛みしめるほどに素朴な穀物の香りが口に広がる。山羊の乳から作られ、洞窟でじっくりと熟成されたチーズは、独特の強い香りと、舌をピリリと刺激する濃厚な塩気を持っていた。どちらも決して贅沢な食事ではない。だが、凍えた身体には何よりのご馳走であった。
「さあ、腹ごしらえでもしようか。冷えた身体には、栄養を摂るのが一番だよ」
アリアはそう言って、暖炉の前に無造作に置かれた粗末な木箱の上に、それらを並べた。そして、ドワーフの醸造長ボルタクからおまけに貰った、あの小さな瓶をこともなげにその横に置く。
「そんなに固くならずに、お食べよ。あんたがしっかりしてくれなきゃ。」
悪戯っぽく笑いかけるアリアに、リオは俯いたまま、こくりと頷くことしかできない。暖炉の炎が、すぐ隣に座るアリアの豊満な肉体を、生々しく照らし出している。薄い木綿の下着越しにさえ分かる、その圧倒的な乳房の存在感。その頂は、小屋の冷気のせいか、あるいは自分の熱い視線のせいか、硬く尖り、布地を押し上げている。きゅっと引き締まったくびれから、豊かな円を描いて張り出す臀部への滑らかな曲線。その全てが、まだ女を知らない若者の目に毒であった。彼は自らの股間で急速に膨張し、主張を強める熱い塊をアリアに悟られまいと、必死で身を縮こませる。パンを千切る彼の指先は、小刻みに震えていた。
そんなリオの初々しい反応を、アリアは自身の内に燻る背徳的な興奮を覚えながら、楽しんでいた。貞淑な女将の仮面の下で、身体が歓喜と期待に疼く。彼女は、チーズを切り分けるふりをして、その豊満な胸をリオの腕にぐっと押し付けた。
「ひっ……!」
リオの肩が、驚きにびくりと跳ねる。柔らかく、それでいて弾力のある肉の感触が、濡れたシャツ越しにさえはっきりと伝わり、彼の思考を焼き切った。アリアは、そんな彼の反応に気づかないふりを装い、あくまでも穏やかに、慈母のような微笑みを浮かべる。
「おや、すまないね。手が滑っちまった」
食事の間、会話らしい会話はなかった。外では風雨がますます勢いを増し、小屋の壁がみしりと悲鳴を上げる。暖炉の薪がぱちぱちとはぜる音だけが、二人の間の息が詰まるような沈黙を埋めていた。
やがて、硬いパンと干し肉を腹に収め終えると、アリアは待っていましたとばかりに、あの小瓶を手に取った。
「『妖精の吐息』……。ドワーフの女衆に評判がいいって話だったけど、どんな味がするんだろうね」
アリアは小瓶の蝋封を、艶かしい仕草で爪を立てて器用に剥がし、コルクの栓を抜いた。その瞬間、ふわりと、むせ返るほど甘く、それでいてどこか野性的な花の香りが、小屋の空気に満ち満ちた。それは、ただ甘いだけではない。収集癖のドワーフ達が隠し持つ幾多の素材を特殊な酵母で発酵させたこの液体は、嗅いだ者の本能を直接揺さぶり、理性の奥底に眠る原始的な欲動を呼び覚ますような、危険な魔力を秘めていた。液体そのものは、まるで溶かした月光のように、淡い黄金色に妖しくきらめいている。
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