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5章 人妻エルフとえっちな呪いのお話
81:執務室
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男たちの粘つくような視線に淫紋を高ぶらせ、その冷めやらぬ熱を、誰にも知られずゲストルームで処理する。そんな背徳的な日々が、幾日も続いた。
かつて囚われの彼女を盗賊団から救い出し、その忌まわしい記憶を、さらに強大な快楽で塗り潰したあの男――モブ=オジは、今アストリナにはいない。遥か北方の魔王領との境界付近に、特異な生態を持つ驚異の魔獣が出現したとかで、ギルドが総力を挙げて編成した遠征討伐隊に、最高戦力として招聘されたのだという。彼ならば、その規格外の力で、この呪いの渇きを癒してくれたかもしれない。そんな淡い期待は、彼が街を去ったという報せと共に、脆くも崩れ去った。
満たされぬ欲望が、リーゼの精神を少しずつ蝕んでいく。カウンターに立つその淑やかな微笑みの裏で、彼女の思考は常に、男たちの劣情と、自らの内に渦巻く熱に支配されていた。
ギルドマスターが、そんな彼女を執務室に呼んだのは、秋も深まり、肌寒い風がアストリナの石畳を吹き抜ける、ある日の昼下がりのことであった。彼女の内に燃え盛る炎が、もはやどうしようもないところまで高まり、その理性の堤を焼き切る寸前まで来ていた、まさにその時だった。
ギルドマスター、アシュワースの執務室は、彼の内面をそのまま具現化したかのような空間であった。壁一面を埋め尽くすのは、黒檀の書架に整然と並べられた、おびただしい数の魔導書や古文書の類だ。その背表紙には、もはや解読できる者がほとんどいない古代語(エンシェント・ルーン)や、禁忌とされる魔族の象形文字が、禍々しい金文字で刻まれている。部屋の隅には、水晶や奇妙な金属で組み上げられた、用途不明の魔導具の数々が、鈍い光を放ちながら無造作に置かれていた。床に敷かれた深紅の絨毯は、高名なドワーフの職人が織り上げた逸品で、足音を完全に吸い込んでしまう。この部屋では、彼の許可なくして、いかなる音も存在を許されないのだ。
重厚なマホガニーのデスクに向かうリーゼは、その圧倒的な空間の圧力と、それ以上に自らの内側から燃え盛る淫紋の熱によって、もはや正気でいることすら困難だった。早くこの場を立ち去り、誰にも知られず、あのゲストルームで自身を慰めなければ。その焦燥感が、彼女の思考を支配していた。
「あの、マスター。どういったご用件でしょうか」
かろうじて紡いだ言葉は、自分でも情けないほど上擦っていた。淑やかな受付嬢の仮面は、すでに剥がれ落ちかけている。
書類の山に視線を落としていたアシュワースが、芝居がかった仕草でゆっくりと顔を上げた。その抜け目のない目が、まるで獲物を定める爬虫類のように、リーゼの全身をねぶり尽くす。その粘つくような視線が彼女を射抜いた瞬間、下腹部の淫紋が、待ってましたとばかりに灼熱の疼きを迸らせた。
「♡ぅ...っ、あ゛♡...っぁ゛...っ♡♡う゛...♡」
ああ、だめ。声が漏れる。意思とは無関係に、喉の奥から甘く濡れた吐息がこぼれ落ちた。制服の白いシャツの下で、乳首が硬く尖り、布地を押し上げているのが自分でもわかる。スカートの中で蠢く秘裂からは、じゅわ、と熱い蜜がまた一筋、滲み出すのを感じた。あの冒険から帰還して以来、何度となく顔を合わせていたはずなのに、これほどまでに強烈な欲望を彼に向けられたことはなかった。彼は、知っているのだ。今の自分が、雄の欲望に対してどれほど無力で、淫らな反応しか返せない雌の肉体であるということを。
『リーゼ君。どうしたのかね?顔が赤いようだが』
アシュワースは、人の悪い笑みを浮かべてにこやかに問いかける。だが、その瞳の奥には、氷のように冷たく、それでいて粘着質な、どす黒い欲望の光が揺らめいていた。彼がよからぬ意図をもって自分をこの密室に呼んだのは、もはや疑いようのない事実だった。
「あ、あの、わ、私、今日は早く帰らなくちゃいけなくって……」
言い訳をしながら、震える脚で椅子から立ち上がろうとする。その必死な姿が、彼の嗜虐心をさらに煽ることになるとも知らずに。そんなリーゼの目の前に、一冊の古びた本が、音もなく差し出された。
見覚えがある。黒い革で装丁された、手のひらより一回りほど大きな本。あの忌まわしい輸送任務に出る前、「冒険者の心得が書かれている」と、そう言って、彼が持たせたものだ。
『リーゼ君。まあ待ちたまえ。急ぐことはないだろう』
アシュワースは、逃げ道を塞ぐようにゆっくりと立ち上がると、リーゼの背後に回り込んだ。
『わざわざ魔力通信で問い合わせがあってね。これが、ヴェールウッドのギルドから送られて来たのだよ。どうやら、こちらの街の冒険者の落とし物ではないか、と。心当たりは、あるかね?』
男はページを開くと、その表面を指でなぞりながら、低く、しかし明瞭な声で、いくつかの古代語の単語を紡いだ。それは、記録された事象を再生させるための起動呪文、『記憶の喚起』。
瞬間、冒険者としての注意事項が記されていたはずの羊皮紙の文字が、インクを水に垂らしたようにじわりと歪み、ページそのものが、まるで静かな水面のように揺らめき始めた。そして、その中にゆっくりと、ひとつの光景が映し出されていく。
かつて囚われの彼女を盗賊団から救い出し、その忌まわしい記憶を、さらに強大な快楽で塗り潰したあの男――モブ=オジは、今アストリナにはいない。遥か北方の魔王領との境界付近に、特異な生態を持つ驚異の魔獣が出現したとかで、ギルドが総力を挙げて編成した遠征討伐隊に、最高戦力として招聘されたのだという。彼ならば、その規格外の力で、この呪いの渇きを癒してくれたかもしれない。そんな淡い期待は、彼が街を去ったという報せと共に、脆くも崩れ去った。
満たされぬ欲望が、リーゼの精神を少しずつ蝕んでいく。カウンターに立つその淑やかな微笑みの裏で、彼女の思考は常に、男たちの劣情と、自らの内に渦巻く熱に支配されていた。
ギルドマスターが、そんな彼女を執務室に呼んだのは、秋も深まり、肌寒い風がアストリナの石畳を吹き抜ける、ある日の昼下がりのことであった。彼女の内に燃え盛る炎が、もはやどうしようもないところまで高まり、その理性の堤を焼き切る寸前まで来ていた、まさにその時だった。
ギルドマスター、アシュワースの執務室は、彼の内面をそのまま具現化したかのような空間であった。壁一面を埋め尽くすのは、黒檀の書架に整然と並べられた、おびただしい数の魔導書や古文書の類だ。その背表紙には、もはや解読できる者がほとんどいない古代語(エンシェント・ルーン)や、禁忌とされる魔族の象形文字が、禍々しい金文字で刻まれている。部屋の隅には、水晶や奇妙な金属で組み上げられた、用途不明の魔導具の数々が、鈍い光を放ちながら無造作に置かれていた。床に敷かれた深紅の絨毯は、高名なドワーフの職人が織り上げた逸品で、足音を完全に吸い込んでしまう。この部屋では、彼の許可なくして、いかなる音も存在を許されないのだ。
重厚なマホガニーのデスクに向かうリーゼは、その圧倒的な空間の圧力と、それ以上に自らの内側から燃え盛る淫紋の熱によって、もはや正気でいることすら困難だった。早くこの場を立ち去り、誰にも知られず、あのゲストルームで自身を慰めなければ。その焦燥感が、彼女の思考を支配していた。
「あの、マスター。どういったご用件でしょうか」
かろうじて紡いだ言葉は、自分でも情けないほど上擦っていた。淑やかな受付嬢の仮面は、すでに剥がれ落ちかけている。
書類の山に視線を落としていたアシュワースが、芝居がかった仕草でゆっくりと顔を上げた。その抜け目のない目が、まるで獲物を定める爬虫類のように、リーゼの全身をねぶり尽くす。その粘つくような視線が彼女を射抜いた瞬間、下腹部の淫紋が、待ってましたとばかりに灼熱の疼きを迸らせた。
「♡ぅ...っ、あ゛♡...っぁ゛...っ♡♡う゛...♡」
ああ、だめ。声が漏れる。意思とは無関係に、喉の奥から甘く濡れた吐息がこぼれ落ちた。制服の白いシャツの下で、乳首が硬く尖り、布地を押し上げているのが自分でもわかる。スカートの中で蠢く秘裂からは、じゅわ、と熱い蜜がまた一筋、滲み出すのを感じた。あの冒険から帰還して以来、何度となく顔を合わせていたはずなのに、これほどまでに強烈な欲望を彼に向けられたことはなかった。彼は、知っているのだ。今の自分が、雄の欲望に対してどれほど無力で、淫らな反応しか返せない雌の肉体であるということを。
『リーゼ君。どうしたのかね?顔が赤いようだが』
アシュワースは、人の悪い笑みを浮かべてにこやかに問いかける。だが、その瞳の奥には、氷のように冷たく、それでいて粘着質な、どす黒い欲望の光が揺らめいていた。彼がよからぬ意図をもって自分をこの密室に呼んだのは、もはや疑いようのない事実だった。
「あ、あの、わ、私、今日は早く帰らなくちゃいけなくって……」
言い訳をしながら、震える脚で椅子から立ち上がろうとする。その必死な姿が、彼の嗜虐心をさらに煽ることになるとも知らずに。そんなリーゼの目の前に、一冊の古びた本が、音もなく差し出された。
見覚えがある。黒い革で装丁された、手のひらより一回りほど大きな本。あの忌まわしい輸送任務に出る前、「冒険者の心得が書かれている」と、そう言って、彼が持たせたものだ。
『リーゼ君。まあ待ちたまえ。急ぐことはないだろう』
アシュワースは、逃げ道を塞ぐようにゆっくりと立ち上がると、リーゼの背後に回り込んだ。
『わざわざ魔力通信で問い合わせがあってね。これが、ヴェールウッドのギルドから送られて来たのだよ。どうやら、こちらの街の冒険者の落とし物ではないか、と。心当たりは、あるかね?』
男はページを開くと、その表面を指でなぞりながら、低く、しかし明瞭な声で、いくつかの古代語の単語を紡いだ。それは、記録された事象を再生させるための起動呪文、『記憶の喚起』。
瞬間、冒険者としての注意事項が記されていたはずの羊皮紙の文字が、インクを水に垂らしたようにじわりと歪み、ページそのものが、まるで静かな水面のように揺らめき始めた。そして、その中にゆっくりと、ひとつの光景が映し出されていく。
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