剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

文字の大きさ
209 / 370
10章 危ないお店に潜入したら当然のごとくぐちょぐちょえっちになってしまうお話

204:売人

しおりを挟む
 レイスは、満足げに小雪の亡骸のような身体を見下ろし、汗で額に張り付いた黒髪を乱暴に掻き上げると、その顎を指でつまんで顔を上げさせた。そして、最後の宣告をするように言った。

「これで分かっただろう、ユキ。お前はもう、俺様の所有物だ。俺と一緒に来てもらうぞ」

 男の言葉は、もはや小雪の耳には届いていなかったかもしれない。ただ、その声の響きだけが、壊れた心に深く染み込んでいくようだった。

 レイスは、まるで壊れた人形のようにベッドに横たわる小雪の姿を、満足げに、しかし何の感情も込めずに見下ろしていた。爬虫類を思わせる冷たい目が、意識を失った彼女の無防備な寝顔を、まるで査定するように観察する。艶やかな黒髪は汗と体液で乱れ、白磁のようだった肌には、昨夜の狂乱を物語る無数の赤い所有の印が、まるで毒の花のように咲き乱れていた。半開きの唇は熟れた果実のように赤く腫れ上がり、そこから漏れる寝息には、まだ男の精液と自身の蜜が混じり合った、むせ返るような背徳の香りが微かに漂っている。

 男は、ベッドの脇に落ちていた、くしゃくしゃの部屋着――おそらくは店が客用に用意している、安価な植物繊維で織られたリネン生地の簡素なワンピースだろう――を拾い上げると、それを意識のない小雪の身体に、まるで屠殺した家畜の亡骸に布をかけるかのように無造作に着せた。肌に刻まれた生々しい痕跡を隠すように、しかしその所作には一片の労りも、人間に対する敬意も感じられない。ただ、これから「輸送」する所有物としての商品価値を損なわないための、最低限の処置といった風情であった。衣服が肌を擦るたびに、小雪の身体がぴくりと微かに痙攣したが、レイスはそれに気づく素振りも見せなかった。

◇◇◇

 外は、夜の闇が朝の光に駆逐される、その狭間の時間であった。港湾要塞都市アストリナの繁栄から完全に見捨てられたスラム街全体を、冷たく湿った朝霧が、まるで死者のための弔いの布のように深く覆い始めている。視界は白く閉ざされ、どぶ川の腐臭や汚物の匂いさえも、その湿った空気に吸い込まれていくかのようだ。音という音が消え失せた、墓場のような静寂の中、赤煙亭の裏口に、一台の質素だが、明らかに堅牢な造りの馬車が、音もなく滑るように到着した。

 黒く塗装された車体は、火山灰や硫黄に耐性を持つという黒鉄木で組まれており、霧の中でその輪郭をぼやけさせながらも、不気味なまでの存在感を放っている。御者台には人影はなく、馬もまた、まるで影が実体化したかのような漆黒の軍馬で、魔術的な訓練を受けているのか、吐く息さえも白くならず、ただ静かに佇んでいた。火山地帯の悪路を踏破するために特別に誂えられたのであろう、太い車輪には鉄の帯が巻かれ、強化された車軸は、並の馬車のそれとは比較にならないほどの重厚さである。馬車の側面には、奇妙な紋章――二つ頭の蛇が絡みついた髑髏のような、悪趣味な意匠――が、霧の中にうっすらと浮かび上がっていた。それは、この地方の裏社会で恐れられる人身売買組織、あるいはそれに連なる盗賊団の印とも噂されていた。

 レイスは、部屋着姿の小雪を、まるで米俵でも担ぐかのように軽々と肩に担ぎ上げた。ぐったりとした小雪の身体は、男の意のままに揺れる。その肢体からは、まだ微かに昨夜の交合の残り香が、甘くも淫靡に漂っていた。男は、軋む階段を慎重に、しかし確かな足取りで降りていく。階下では、店長が脂汗を流しながら、まるで死刑執行人を待つ罪人のように縮こまって待っていた。その手には、小雪がこの店に来る際に持っていた、わずかな荷物――シノビとしての任務に必要な最低限の装備や、個人的な着替えなどが入っているであろう革袋――が握られている。店長は、レイスの姿を見ると、恐縮したように深く頭を下げ、そそくさと荷物を馬車の荷台へと放り込んだ。その動作は、厄介な代物を一刻も早く手放したいと願う、恐怖に支配された者のそれであった。

 レイスは、担いだ小雪を馬車の内部へと、まるで荷物を放り込むかのように押し込んだ。狭い車内には、なめし革と、微かな薬品――おそらくは「商品」を長距離輸送する際に意識を混濁させ続けるためのものだろう――の匂いが漂っている。そして、それらに混じって、前の「乗客」が残したであろう、恐怖と絶望の残り香が微かに感じられた。小雪の身体が、硬い座席にぐったりと沈み込む。男は、車内の様子を一瞥すると、自らも乗り込み、重々しい音を立てて扉を閉めた。内側から鍵がかけられる、無機質な金属音が響く。

 霧に包まれたまま、馬車は再び音もなく動き出した。太い車輪が、ぬかるんだ地面を静かに、しかし確実に踏みしめ、スラムの迷路のような路地を抜けていく。その行き先は、エンブレス――火山に囲まれた、放棄された古代魔法文明の都市遺跡。人身売買の一大拠点と噂される、盗賊団の根城だ。馬車は、朝靄に紛れて人知れず街を離れ、東へと向かう古びた街道を進んでいく。その黒い影が、完全に霧の中に溶けて見えなくなるまで、そう時間はかからなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...