孤独な船長、AIと異星存在と海賊と教団と偉い人といろいろに巻き込まれて仲間ともども大変えっちなことになりました

アレ

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8章 王子様の側近とくんずほぐれつ

239:勧誘

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『それで、このニュー・テラーノへ?』セブンは、核心を突くように問いかけた。
「はい…」ナイアは頷いた。「この星系の総督…ロード・ヴァレンティヌスは、このような辺境に身を置いていますが、実は王国で最も力を持つ大貴族、アルビオン公爵家の嫡男なのです。彼の後ろ盾を得ることができれば、敵対勢力に対して圧倒的に有利になります。王子は、その最後の望みを託して、この地へ…」
ナイアの声には、必死さが滲んでいた。セブンという、人間を超えた存在に対して、王国の複雑な政治状況を理解してもらおうと、懸命に言葉を尽くす。
「わ、わたしは…没落した貴族の末裔で、ご覧の通り近衛騎士団の一士官に過ぎません。権力闘争に加わる力などありません…ただ、幼い頃から王子のお側に仕え、そのお人柄と、王国への真摯な想いを誰よりも存じ上げております。だから…だから、王子をお守りしたいのです…!」
ナイアの瞳からは、大粒の涙が溢れ落ち、濡れたシーツに染みを作った。それは、忠誠心だけではない、明らかに個人的な、深い愛情から来る涙であった。セブンに抱かれ、快楽に堕とされた後でも、彼女の心の中核には、エリオ王子への一途な恋心が、確かに存在し続けていたのだ。
「セブンさま… わたし、王子のためなら…なんだって…♡ ん゛ぅ…♡♡♡」
涙ながらに訴えるナイアの身体は、セブンの存在を意識するだけで、再び甘く疼き始めていた。

ナイアが涙ながらに王子への想いと窮状を訴えている間、ベッドの反対側では、リリスが静かに目を覚ましていた。彼女もまた、セブンのコロイドによる影響で、身体の感覚は鋭敏になり、精神はセブンへの絶対的な服従状態にあったが、同時に、彼女本来の明晰な分析能力は少しも失われていなかった。ナイアの話を聞きながら、リリスの脳裏には、一つの疑念が急速に形を結び始めていた。
(…海賊の襲撃。あのタイミングは、あまりにも出来過ぎていたわ…)
サイレンス・ツインズ星系での、総督を訪問するエリオ王子を狙ったかのような海賊の襲撃。そして、このニュー・テラーノの総督が、王国内で絶大な力を持つ貴族の嫡男であるという事実。それらが、リリスの頭の中で結びつく。
(もし、総督が…王子の敵対勢力と既に手を結んでいたら? 王子をこの辺境の地に誘い込み、排除するために…)
それは、十分にあり得るシナリオであった。辺境星系の総督という地位は、中央の目から逃れて陰謀を巡らすには好都合だ。そして、王国最大の貴族の後ろ盾があれば、敵対勢力にとってもこれ以上ない協力者となるだろう。

リリスは、ゆっくりと身体を起こした。セブンのコロイドで満たされた身体は、気怠さの中にも奇妙な充実感があり、以前よりも活力に満ちているように感じられた。彼女は、隣でまだ涙ぐんでいるナイアの肩に優しく手を置いた。
「ナイアさん、あなたの王子への忠誠心、よくわかったわ」リリスの声は、落ち着いていて、知的な響きを持っていた。「でも、少し気になることがあるの」
リリスは、セブンの方へと視線を向けた。その瞳には、科学者としての鋭い光と、セブンの「所有物」としての甘い服従の色が同居している。
「セブン…あなたも気づいているでしょう? あの海賊襲撃。そして、この総督の存在。偶然にしては、出来過ぎていると思わない?」
『…肯定する』セブンの合成音声が、即座に返ってきた。彼の量子脳もまた、同様の結論に達していたのだ。『総督ヴァレンティヌスが敵対勢力と通じている可能性は、73.4%と算出される。エリオ王子は、危険な罠に自ら足を踏み入れた可能性がある』

「なんですって…!?」ナイアは、リリスとセブンの会話を聞き、顔面蒼白になった。総督が敵である可能性など、考えもしなかったのだ。「そ、そんな…王子は…!」
パニックに陥りかけるナイアを、リリスは落ち着かせるように優しく撫でた。
「落ち着いて、ナイアさん。まだ確定したわけではないわ。それに、地上にはシックスもいる。あの子がいれば、王子自身の身に危険が及ぶ可能性は低いでしょう」リリスは冷静に状況を分析する。「でも、万が一ということもある。それに、サラたちも心配だわ」
リリスは再びセブンに向き直った。
「セブン、ヘルメスIVの改修状況は?」
『船体構造の最適化、兵装システムの統合、ワープドライブの効率改善、全て完了している。自己組織化機械群による自己修復・進化能力も安定稼働中だ。現在のヘルメスIVは、王国軍の巡洋艦級に匹敵、あるいはそれ以上の戦闘能力を有する』セブンは、淡々と報告した。
「そう…なら、決まりね」リリスは、決然とした表情で言った。「私たちも地上へ降りて、サラたちと合流しましょう。状況を確認し、必要なら介入する。総督の真意を探り、王子の安全を確保するのよ」

「わ、私も行きます!」ナイアが、涙を拭い、強い意志を込めて言った。「王子をお守りするのが、私の使命です! セブンさま、リリスさま、どうか、私にも同行させてください…!」
昨夜の出来事を経て、ナイアの中でセブンとリリスは、単なる救助者や協力者ではなく、自身が仕えるべき新たな主君のような存在へと変化していた。王子への忠誠心はそのままに、彼女はこの新たな主たちと共に戦うことを決意したのだ。
「おねがい、します… わたし、なんでも、しますから…♡」
懇願するナイアの声は、再び甘く媚びるように震え、その瞳は潤んでセブンを見上げていた。

『…許可する』セブンは、ナイアの申し出を承認した。彼女の戦闘能力と、王子に関する知識は、地上での活動において有用であると判断したからだ。そして何より、彼女のこの絶対的な服従心は、セブンにとって好ましいものであった。『リリス、ナイア、地上降下の準備を。目標地点は、サラたちが向かった総督府周辺とする。ヘルメスIVは軌道上で待機し、必要に応じて火力支援を行う』
「了解したわ、セブン」
「は、はい! セブンさま!」
リリスとナイアは、セブンの指示に即座に応えた。部屋には、新たな任務への緊張感と、しかしそれ以上に、セブンという絶対的な存在の下で一つになった三者の、奇妙な連帯感が漂い始めていた。複雑に絡み合ったそれぞれの思惑と欲望を乗せ、ヘルメスIVは、惑星ニュー・テラーノの地表へと、その影を落とそうとしていた。
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