毎日無料10連ガチャスキルでスローライフのはずが、排出率0.0001%の【建国】スキルを引いてしまい、美少女魔王やポンコツ勇者が集まってきた

夏見ナイ

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第61話 ゼノン王国軍、侵攻

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決戦の日の朝は、不思議なほど静かだった。
夜明け前の薄闇の中、アストレアの城壁には、武装した兵士たちが静かに配置についていた。彼らの顔に恐怖の色はない。ただ、固い決意だけが宿っていた。
俺は、リリア、アリア、フィーネと共に、城門の真上に立つ。眼下には、静まり返った大地がどこまでも広がっていた。

やがて、東の空が白み始めたその時。
最も高い見張り台から、甲高い警鐘が鳴り響いた。

「敵襲! 北西より、敵軍接近! その数……およそ、一万!」

報告を聞いた兵士たちの間に、緊張が走る。
地平線の彼方が、黒い線となってうごめいていた。それはやがて、統率の取れた巨大な軍勢となって、津波のようにこちらへ押し寄せてくる。
鋼鉄の鎧が朝日を鈍く反射し、無数の槍先が天を突く。地を揺るがすほどの足音と、馬のいななき。それが、大陸最強と謳われるゼノン王国軍の威容だった。

「……来たか」

俺は、乾いた唇を舐めた。
一万。その数は、想像を絶するプレッシャーとなって、我々にのしかかる。

軍勢の先頭には、あの忌々しいアルフォンス侯爵の姿があった。彼は、前回とは打って変わって、本国から取り寄せたであろう、魔法の加護を受けた豪奢な鎧に身を包んでいる。その顔には、勝利を確信した、醜悪な笑みが浮かんでいた。

「ふん。数だけは揃えてきたようだな。虫けらの大群か」
リリアが、冷ややかに呟く。その手には、ドルガンが彼女のために特別に作った、黒曜石の杖が握られていた。

「ユウト様! いつでもいけます!」
アリアは、背負った大剣の柄を握りしめ、まるでこれから祭りでも始まるかのように、目をキラキラと輝かせている。

ゼノン王国軍は、アストレアの城壁からおよそ一キロの距離で、完璧に統率の取れた動きで停止した。そして、包囲するように陣形を展開していく。その動きには一切の無駄がなく、彼らが歴戦の精鋭であることを物語っていた。

アルフォンス侯爵が、高く手を掲げた。
すると、軍勢の中から、ローブをまとった一団――魔法兵団が、前に進み出てきた。その数、およそ五百。彼らが一斉に杖を構え、詠唱を開始する。

「ほう、最初の一手は魔法か。愚かな」
リリアが嘲笑する。

だが、彼らが集束させる魔力の量は、尋常ではなかった。
空がみるみるうちに暗雲に覆われ、大気がビリビリと震える。五百人分の魔力が一つに束ねられ、巨大な黒い球体となって、魔法兵団の上空で渦巻き始めた。
それは、小都市の一つや二つ、跡形もなく消し去ってしまえるほどの、破滅的なエネルギーの塊だった。

アストレアの兵士たちが、息を呑むのが分かった。
あの黒い球体が、今、自分たちに狙いを定めている。

アルフォンス侯爵が、勝ち誇ったように、ゆっくりと手を振り下ろした。
それが、開戦の合図だった。

「撃てぇい! 愚かな蛮族どもに、我がゼノン王国の力を見せてやれ!」

詠唱が完了する。
世界から、音が消えた。
次の瞬間、空に渦巻いていた巨大な破壊の球体が、全てを飲み込む漆黒の光線となって、アストレア目掛けて放たれた。
絶望的なまでの破壊の光が、我々の頭上へと迫る。その光景は、まるで世界の終わりのようだった。
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