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第91話 天空神殿の戦い
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ゼノン王国の王都は、すでに死の都と化していた。
神聖教団によって完全に掌握された王都には、人の気配がなく、ただ不気味な静寂だけが支配している。そして、その中心、かつて王城があった場所の上空には、信じがたい光景が広がっていた。
巨大な、白亜の神殿。
それは、いくつもの浮遊する島々によって構成され、それ自体が一個の城塞となって、空に浮かんでいた。常に淡い光を放ち、神々しいまでの荘厳さを誇るその建造物こそ、神聖教団の本拠地【天空神殿】だった。
「……あれが、敵の本陣か」
アストレア連合軍の先頭で、俺は馬を止め、その異様な光景を見上げた。
兵士たちが、息を呑むのが分かる。あまりに規格外で、あまりに神々しい敵の本拠地を前に、誰もが圧倒されていた。
「ふん。悪趣味なことだ。神を気取るには、うってつけの舞台というわけか」
俺の隣で、リリアが吐き捨てるように言った。その瞳は、冷静に敵の戦力を分析している。
「ユウト様! なんだか、すごく強そうなオーラを感じます! ワクワクしますね!」
アリアは、聖剣エクスカリバーの柄を握りしめ、その瞳を挑戦者のように輝かせていた。
俺たちが神殿を睨みつけていると、やがて、神殿から無数の光の点が、こちらへ向かってゆっくりと降りてきた。
それは、光そのもので編まれたかのような鎧をまとい、白く輝く翼を持つ、美しい人型の存在だった。その数、およそ三千。彼らは、寸分の狂いもない動きで陣形を組み、その手に持った光の剣を、一斉にこちらへ向けた。
「……天使、か」
誰かが、そう呟いた。
だが、その姿は、神話に語られるような慈愛に満ちたものではない。彼らの顔には、表情というものが一切なかった。ただ、創造主の命令を待つだけの、美しい自動人形。それが、教団の狂信者たちが操る、天使の軍勢だった。
「全軍、戦闘準備!」
俺の声が、戦場に響き渡る。
兵士たちの間に、緊張が走った。
リリアが、軍師として鋭く叫ぶ。
「怯むな! あれは、魔力で動くただのゴーレムだ! 感情も、恐怖も知らぬ、ただの人形! 我らの結束の前では、烏合の衆にすぎん!」
その言葉に、兵士たちの顔に、決意の色が戻った。
アリアが、聖剣エクスカリバーを高く掲げた。剣先から放たれた黄金の光が、連合軍全体を優しく包み込む。
「みんな! 私が道を切り開きます! ついてきてください!」
そうだ。もはや、恐れるものなど何もない。
俺は、天に浮かぶ偽りの神殿と、その使者たちを、まっすぐに見据えた。
そして、国王として、連合軍の総大将として、最後の号令を下す。
「我らの未来は、我らの手で掴み取る! アストレア連合軍、総員、突撃ぃぃぃっ!」
「「「うおおおおおおっ!!」」」
俺の号令を皮切りに、千の雄叫びが、大地を震わせた。
最初に動いたのは、一筋の光だった。
アリアが、聖剣エクスカリバーを構え、天使の軍勢のど真ん中へと、弾丸のように突っ込んでいく。
「はぁぁぁっ!」
彼女が放った聖剣の一閃は、黄金の光の奔流となって、天使たちの陣形を薙ぎ払った。光に触れた天使たちは、悲鳴一つ上げることなく、光の粒子となって霧散していく。
「今だ! 続けぇ!」
魔族兵士団が、アリアの開いた突破口から、怒涛の如く雪崩れ込む。
テルミナの騎士団は、重厚な盾の壁を作り、味方の側面を守る。
獣人の遊撃隊は、その俊敏さを活かして敵陣を攪乱し、天使たちの連携を分断していく。
「――塵と化せ! 『獄炎烈破(フレア・バースト)』!」
城壁の上から、リリアの魔法が炸裂した。
巨大な炎の渦が、天使の軍勢の一角を飲み込み、一瞬にして数百の敵を焼き尽くす。
開戦直後、戦いの主導権は、完全に我ら連合軍が握っていた。
だが、敵は怯まない。感情がないのだから、当然だ。
一体倒せば、天空神殿から、また一体が補充される。その数は、まるで無尽蔵であるかのように。
激しく、そして終わりの見えない、消耗戦の幕が、今、切って落とされた。
神聖教団によって完全に掌握された王都には、人の気配がなく、ただ不気味な静寂だけが支配している。そして、その中心、かつて王城があった場所の上空には、信じがたい光景が広がっていた。
巨大な、白亜の神殿。
それは、いくつもの浮遊する島々によって構成され、それ自体が一個の城塞となって、空に浮かんでいた。常に淡い光を放ち、神々しいまでの荘厳さを誇るその建造物こそ、神聖教団の本拠地【天空神殿】だった。
「……あれが、敵の本陣か」
アストレア連合軍の先頭で、俺は馬を止め、その異様な光景を見上げた。
兵士たちが、息を呑むのが分かる。あまりに規格外で、あまりに神々しい敵の本拠地を前に、誰もが圧倒されていた。
「ふん。悪趣味なことだ。神を気取るには、うってつけの舞台というわけか」
俺の隣で、リリアが吐き捨てるように言った。その瞳は、冷静に敵の戦力を分析している。
「ユウト様! なんだか、すごく強そうなオーラを感じます! ワクワクしますね!」
アリアは、聖剣エクスカリバーの柄を握りしめ、その瞳を挑戦者のように輝かせていた。
俺たちが神殿を睨みつけていると、やがて、神殿から無数の光の点が、こちらへ向かってゆっくりと降りてきた。
それは、光そのもので編まれたかのような鎧をまとい、白く輝く翼を持つ、美しい人型の存在だった。その数、およそ三千。彼らは、寸分の狂いもない動きで陣形を組み、その手に持った光の剣を、一斉にこちらへ向けた。
「……天使、か」
誰かが、そう呟いた。
だが、その姿は、神話に語られるような慈愛に満ちたものではない。彼らの顔には、表情というものが一切なかった。ただ、創造主の命令を待つだけの、美しい自動人形。それが、教団の狂信者たちが操る、天使の軍勢だった。
「全軍、戦闘準備!」
俺の声が、戦場に響き渡る。
兵士たちの間に、緊張が走った。
リリアが、軍師として鋭く叫ぶ。
「怯むな! あれは、魔力で動くただのゴーレムだ! 感情も、恐怖も知らぬ、ただの人形! 我らの結束の前では、烏合の衆にすぎん!」
その言葉に、兵士たちの顔に、決意の色が戻った。
アリアが、聖剣エクスカリバーを高く掲げた。剣先から放たれた黄金の光が、連合軍全体を優しく包み込む。
「みんな! 私が道を切り開きます! ついてきてください!」
そうだ。もはや、恐れるものなど何もない。
俺は、天に浮かぶ偽りの神殿と、その使者たちを、まっすぐに見据えた。
そして、国王として、連合軍の総大将として、最後の号令を下す。
「我らの未来は、我らの手で掴み取る! アストレア連合軍、総員、突撃ぃぃぃっ!」
「「「うおおおおおおっ!!」」」
俺の号令を皮切りに、千の雄叫びが、大地を震わせた。
最初に動いたのは、一筋の光だった。
アリアが、聖剣エクスカリバーを構え、天使の軍勢のど真ん中へと、弾丸のように突っ込んでいく。
「はぁぁぁっ!」
彼女が放った聖剣の一閃は、黄金の光の奔流となって、天使たちの陣形を薙ぎ払った。光に触れた天使たちは、悲鳴一つ上げることなく、光の粒子となって霧散していく。
「今だ! 続けぇ!」
魔族兵士団が、アリアの開いた突破口から、怒涛の如く雪崩れ込む。
テルミナの騎士団は、重厚な盾の壁を作り、味方の側面を守る。
獣人の遊撃隊は、その俊敏さを活かして敵陣を攪乱し、天使たちの連携を分断していく。
「――塵と化せ! 『獄炎烈破(フレア・バースト)』!」
城壁の上から、リリアの魔法が炸裂した。
巨大な炎の渦が、天使の軍勢の一角を飲み込み、一瞬にして数百の敵を焼き尽くす。
開戦直後、戦いの主導権は、完全に我ら連合軍が握っていた。
だが、敵は怯まない。感情がないのだから、当然だ。
一体倒せば、天空神殿から、また一体が補充される。その数は、まるで無尽蔵であるかのように。
激しく、そして終わりの見えない、消耗戦の幕が、今、切って落とされた。
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