毎日無料10連ガチャスキルでスローライフのはずが、排出率0.0001%の【建国】スキルを引いてしまい、美少女魔王やポンコツ勇者が集まってきた

夏見ナイ

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第97話 最後のガチャ

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「それが、お前の最後の悪足掻きか。良いだろう。存分に引くがいい。お前のちっぽけな希望が、いかに無力であるか、その身に刻みつけてくれるわ」

大司教の嘲笑を背に、俺はスクリーンに浮かび上がった十個の光の玉を、食い入るように見つめた。
光が一つ、また一つと弾けていく。

【N:枯れ葉】
【N:使い古しの雑巾】
【N:ただの小石】
【R:少しだけ綺麗な石】

絶望的なまでに、ゴミしか出ない。
まるで、俺の今の心を映しているかのように。
俺の額から、冷たい汗が流れ落ちる。後ろで見ていた仲間たちも、この結果には息を呑むだろう。

【SR:ピカピカに磨かれた石】

金色の玉から出たのは、ただの綺麗な石だった。
もはや、笑う気力さえ起きない。
九個目まで、全てが、石、石、石。様々な種類の、しかし何の役にも立たない石ころのオンパレード。

「ククク……ハッハッハ! 見たか! それがお前の奇跡か! 神々さえも、お前を見放したのだ! お前は、ただ石ころを生み出すだけの、哀れな道化よ!」
大司教の高笑いが、玉座の間に響き渡る。

そして、最後、十個目の玉。
それは、何の変哲もない、ただの白い光を放っていた。
光が弾け、スクリーンに表示されたのは、やはり、見慣れた文字だった。

【N:石ころ】

終わった。
俺の最後の希望は、ただの石ころと成り果てた。
俺は、その場に、膝から崩れ落ちた。
「……ああ」
力なく、声が漏れる。
仲間たちの顔が、脳裏をよぎる。ごめん。みんな、ごめん……。

「さあ、絶望の味はいかがかな? これで、心置きなく、儀式を始められる」
大司教が、黒い刃を手に、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。
俺の、終わり。そして、世界の、終わり。

全てを諦め、目を閉じた、その時だった。

【――警告。未確認の因果律干渉を検知。アイテムの再鑑定を開始します】

脳内に、いつものシステムメッセージとは違う、無機質な音声が響いた。
え……?
俺が目を開けると、最後のガチャ結果、【N:石ころ】のカードが、激しく明滅を繰り返していた。
そして、そのレアリティ表示が、Nから、Rへ、SRへ、SSRへ、そしてURへと、凄まじい勢いで書き換わっていく。

【レアリティ特定不能。エラー。エラー。カテゴリ分類不能】
【アイテム名:『始まりの石』】
【説明:世界が創造される以前、混沌の中に最初に存在した、全ての概念の原点。あらゆる「有」は、この「無」から生まれた。スキル【毎日無料10連ガチャ】――すなわち「創世の遺物」の、制御核そのものである】

「……始まりの、石……?」

その説明文を読んだ瞬間、俺の頭の中に、電流が走った。
理解した。
俺のスキルは、「無から有を生み出す」力。
そして、この石は、その力の源泉であり、暴走するエネルギーを唯一制御できる、「鍵」なのだ。

大司教の狙いは、俺のスキルを「暴走」させ、世界の理を破壊すること。
だが、もし。
もし、この石を使って、力の方向を「破壊」ではなく、その逆――「安定」に向けることができたなら?

神々のゲーム盤そのものを、この石で固定し、安定させてしまえば。
世界の理が確定してしまえば、【神の脚本】のような、現実を書き換えるスキルは、介入する余地を失うのではないか?

それは、賭けだった。
だが、今の俺に残された、唯一の、そして最高の一手。

「……まだだ!」
俺は、最後の力を振り絞り、立ち上がった。
「まだ、終わってなんかいない!」

俺は、ガチャのスクリーンに向かって叫んだ。
「スキル発動! だが、何も出すな! 全てのエネルギーを、この『始まりの石』に注ぎ込め!」
俺の意思に、スキルが応える。
【創世の遺物】が、初めて、その真の力を解放した。

俺の体から、眩いばかりの光の奔流が溢れ出し、インベントリから実体化した「始まりの石」へと、凄まじい勢いで吸い込まれていく。
それは、何かを「排出」するためのエネルギーではない。
世界の理そのものを、「構築」し、「固定」するための、創世の力だった。

「な、何をしている!? その力は、世界を破壊するためのものだぞ!」
大司教が、初めて、焦りの声を上げた。
「私の脚本が……! 世界が、言うことを聞かん! 固まっていく……! なぜだぁぁぁっ!」

彼のスキルが、その力を失っていくのが分かった。
神々のゲーム盤は、今、この瞬間、俺という名の「バグ」によって、完全に固定され、神々の干渉から、切り離されたのだ。
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